私の本との出会いは、小学校6年生の時の伝記でした。家の2階の下駄箱の上に置かれていた、ポプラ社の伝記シリーズ。両親が読むか読まないかわからないが、息子が読むであろうと期待を込めて買っておいてくれたものでしょう。6年生で学ぶ歴史。戦国時代ではまってしまった私は、「織田信長」「豊臣秀吉」に手を出してから、このシリーズは完読した記憶があります。子供の時代に伝記を読むことの大切さは、自分の生きるモデルを夢想できることです。
「こんな人になりたいなぁ。大人になったらこんなことがしてみたいなぁ。」
本書は子どもたちに偉人の行き様を解説していますが、偉人の取り上げ方に感心しました。それは、
1.人に対する見方を破壊し、子どもの個性に合わせたモデルを紹介する
2.偉人を通して、子どもへの生き方を指南している
3.外人の偉人と同タイプの日本人を必ず取り上げている
ことが注目されます。
1については、外向的な気質の人がもてはやされますが、内向的な人にも優れた功績をあげている偉人の存在を紹介しています。コロンブスに対してのファーブルであり、坂本竜馬に対して南方熊楠。両者の長所、短所も合わせて説明していることは素敵ですね。
2については、ヘレン・ケラー、塙保己一の稿で、「この二人の生涯を見ていると、『~だからできない」「~だからもうだめだ」なんて簡単に言うのがいかに恥ずかしく、自分を駄目にすることがわかるよね。」と書き、子どもたちやこの本を読む大人にまでエールを送っています。
3については、上記にあげた人たちでわかるように、知らない外人より、身近な日本人と一緒に偉人を学べます。
偉人の生き方には志があり、その事をやり遂げる人間力を養うためにも、大人になっても偉人伝、伝記は読むべきですね。
『子どもたちが目を輝かせて聞く偉人の話』( 平光雄著、致知出版社、本体価格1,500円)