あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

三河雑兵心得 1 足軽仁義

2022-04-28 14:27:51 | 

 親父が亡くなって、病弱の母親、弟、3人の妹の生活が長男である17歳の百姓・茂兵衛にのしかかり、気丈に生きようとすると、村の連中とは諍いが絶えないどころか、村に居れない状態になり、家康の家来の夏目家へ奉公に。長身で体格が良く、足が速い槍足軽として出世の道を歩みますが、当時の三河は家康と一向宗との戦いの真只中で、一向サイドに立っている夏目家は家康から見れば敵。野場城に籠城し、持ちこたえること半年。城内から密通者が現れ、あえなく落城・・・。

 家康は今後の三河統一を鑑み、敗残兵の武士を自陣に招き入れ、茂兵衛も家康の直轄軍となる旗本衆、主君の護衛部隊に組み込まれ、岡崎の本多平八郎忠勝の旗持足軽へと昇進していきました。

 この三河雑兵心得シリーズは現在全8巻ですが、累計50万部を突破する人気作品。百姓から足軽、そして、才覚を発揮して上昇気流を駆け上がる内容は世のサラリーマンや歴史小説ファンには面白いはずです。

『三河雑兵心得 1 足軽仁義』(井原忠政著、双葉文庫、本体価格630円、税込価格693円)

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大河への道

2022-04-27 15:46:43 | 

 千葉県香取市の地域おこしに、ゆかりの人である伊能忠敬をNHK大河ドラマの主人公にしようという企画「伊能忠敬大河ドラマ推進プロジェクト」を市役所の2名が携わります。五十話全話のプロットを企画書につけるアイデアに飛び乗ったものの、予算が限られているので、若手脚本家にお願いします。企画の進展と共に忠敬(ちゅうけい)さんのプロットを紹介する形で忠敬の逸話が語られていきます。

 明日が発表の日の前日、プロットは完成しますが、あらぬ方向へ。さすがは志の輔さんの軽やかなオチで幕切れが・・・。新作落語が映画になるとはガッテンとなりますか。

『大河への道』(立川志の輔著、河出文庫、本体価格680円、税込価格748円)

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絶望から希望へ 悩める若者と哲学者の"幸福"をめぐる対話

2022-04-25 14:21:20 | 

哲学ゼミ 受講生募集
テーマ「君には、世界を変える力がある」
講師: 岸見一郎
募集人数: 若干名
若者対象、社会人も歓迎

の貼り紙に3名の若者が受講を応募してきました。「この人生をどう生きるのか?」「どうすれば幸福に生きることができるのか?」への探求を進めていきます。

 結論から言えば、「自分が好きなことをして、幸福であることを強く実感する。それが結果的に周りの人にも役立っている」生き方をすれば良い。これを実行するにはどういった考えをしていけばよいのか?

 自分自身の今の現状をありのまま受け入れることが出発点になります。現実を客観的に見極めて、自ら考え、できることから始めていく。但し、何をするにも他者との関係が介在し、良好な人間関係を築き、人とつながっているという感覚が安心感を生みます。その上で、自分の価値のありかを自分の行動以前に、「生きていること」、存在の中に見い出し、存在していることが他者への貢献につながるという思いで生きていくことが大切です。doingではなく、being。過去や将来ではなく、「いまここ」に生きることに他なりません。

『絶望から希望へ  悩める若者と哲学者の"幸福"をめぐる対話』(岸見一郎著、大和書房、本体価格1,600円、税込価格1,760円)

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小説 星守る犬

2022-04-19 14:58:38 | 

 村上たかしさんの原作コミックを原田マハさんが小説にしました。人間と犬の固い絆の物語です。

 交差点で信号待ちの車から福祉ケースワーカーが見た、ビル壁面の電光掲示板には

「原野に放置されていた車の中から、身元不明の男性の白骨体が発見された。その遺体近くで、同じく一部白骨化した犬の死体も発見された。男性の遺体は死後一年以上が経過、犬の死体は死後三ケ月。」

と書かれていました。人と忠犬との関係はいかなるものかと思っていると、翌日、その身元不明の男性の遺体を引き取って、弔う依頼の着信が警察からありました。遺族を探す作業の中、なぜ、このような結末になったのかを個人的に調査したくなりました。それは彼にも犬との思い出があるためでした。

 「望んでも、望んでも、かなわないから、望み続ける。ただ、それだけ。」それが星守るということなら、死に逝く人と犬は「最期まで寄り添い、互いを思い、恐れずに愛した」仲で終えた、幸せなエンディングだったのでしょう。孤独死や、身内がいなく、1人で死去する人もいる現代、犬との間柄も大切です。

『小説 星守る犬』(村上たかしさん原作、原田マハ著、双葉文庫、本体価格600円、税込価格660円)

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華氏451度 

2022-04-18 13:25:39 | Weblog

 ロシアによるウクライナ侵攻に関するニュース報道に関して、特にロシア発のそれは真実か、フェイクかわからない。外国発のネットの情報などを得ているロシア国民にとっては疑問符が浮かんで、真偽を判断する余地はありますが、そうでなければロシアのマスコミ報道を信じることでしょう。

 さて、本書は国家が本を読むことを禁じ、本を持っていれば、家ごと焚書される近未来小説です。なぜ、本を読ませないのか?「あらゆるよけいな込み入った考え」を発する元になるからであり、情報に関しては「単純化」された中身しか国民に与えない。国家にとってはこの方が国民を牛耳りやすいはず。これは現在でも通じることです。焚書はしないが、読書離れに伴い読書をしない国民が増えることと共に、短文で省力されたものがSNSで発信されています。国家の施策ではなく、人間自らが本書の内容の引き継いでいます。人間にとっての読書の意味は明々白々です。焚書されるのであれば、本を暗記する、それを口伝えていく人々が存在することが未来への明るい灯になるところでストリーは終わります。

 本書の中にとても気になる箇所がありました。それは

「ぼくらは二〇二二年以降、二度、核戦争を起こして二度とも勝利した!」

であり、この通りにならないことを祈念します。

『華氏451度』(レイ・ブラッドベリ著、早川文庫、本体価格860円、税込価格946円) 

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板宿在住の絵本作家、金澤麻由子さんのグッズ販売を始めました。

2022-04-16 14:34:17 | Weblog

「さすらいのルーロット」の絵本作家、金澤麻由子さんのグッズ販売を始めました。

 

可愛らしいワンちゃんのイラストがプリントされた、文庫ブックカバー(税込1540円)

ペットボトルカバー(税込1760円)、スナップマスクケース(税込1760円)、

お薬手帳マルチカバー(税込2200円)を販売中です。

 

たくさんの種類があるので、お気に入りのワンちゃんをお買い求め下さい。お問合せは、井戸書店まで。

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教養のグローバル・ヒストリー

2022-04-11 13:05:04 | 

 『教養の書』(戸田山和久著、筑摩書房、本体価格1,800円、税込価格1,980円)の第16章歴史的センスの磨き方に、「教養への道を歩むための歴史の使い方と学び方」として、「グローバル・ヒストリー」がまず挙げられています。国別でも地域別でもなく、その時々の世界史を「文化交流と交易のネットワーク」という視点から、高校の世界史教科書を再考察したのが本書です。

 各国は国益や支配者層の権力維持のために、世界の産物、特に嗜好品を買い集めていました。そのためには交易路や海路、世界を股にかける商人、そして、言語や支払いなど、さまざまな存在が必要となります。国別や地域別での視点からでは零れ落ちる重要な物差しを持つことの意味を十二分に知りました。日本で産出した銀の価値、琉球の世界的な交流での地位、また、現代での各国間の歴史的な関係性も知り得ました。帝国主義以降の小国の国としての発展の道筋も西欧へのキャッチアップでしたが、これからは何が重要なファクターになるかも見定めないといけません。そして、ウクライナへのロシアの侵攻もグローバルからの俯瞰が不可欠です。

『教養のグローバル・ヒストリー  大人のための世界史入門』(北村厚著、ミネルヴァ書房、本体価格2,500円、税込2,750円)

 

 

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ボタニカ

2022-04-04 13:11:50 | 

 NHK2023年度前期 連続テレビ小説『らんまん』のモデルは日本の植物学の父、牧野富太郎。手掛けた植物図鑑のことしか知りませんでしたが、本書を読んで驚きの連続の人物でした。

 幕末の土佐の造り酒屋の一人息子として生まれた富太郎は虚弱体質ながら、植物に興味を持ち、野を駆け巡る子ども時代を経て、植物の同定が出来るまで日本の植物学の地位向上を目指し、日本の植物学の権威である東京帝国大学植物学教室に出入りします。但し、大学の蔵書や設備を使用できるも、職員でもないため、必要な書籍、自らの出版にかかる費用はすべて実家の酒屋に請求をする、いわゆる浮世離れした学業人生を歩んでいました。そのために酒屋は傾き、屋敷も売り払ってからは、質屋のお世話になり、植物研究に原因のある「一家植物心中」状態に陥り、今まで作成してきた膨大な植物標本を海外へ売ることによって借財を減らそうとしたところ、神戸の資産家の青年・池永孟(はじめ)氏が買い支える展開になりました。

 富太郎は植物の研究に一極集中し、地位や金には全く無頓着であり、「いったい、いつ役に立つか判然とせぬものを大切に見つめて考えて、この世に残していく」学問道に邁進しました。本当に自己中かもしれませんが、納得ある人生、「惚れ抜いたもののために生涯を尽くす」、本当に幸せな人生を全うされました。

『ボタニカ』(朝井まかて著、祥伝社、本体価格1,800円、税込1,980円)

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