『赤いモレスキンの女』(アントワーヌ・ローラン著)が面白かったので、前作も読みました。
フランスのミッテラン大統領がブラッスリーで黒のフェルト帽を置き忘れました。それを拾ったというか、持ち去ったうだつの上がらない会計士は社内で急に弁が立ち、みるみる昇進していきました。会計士は列車の中に帽子を忘れ、それを持ち帰った不倫を断ち切れない女はきれいに別れ、小説家となりました。その後、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男と持ち主は変わりますが、みんな幸運に恵まれる、不思議な帽子の力。最後の持ち主は誰になるのか?
愉快なストーリ展開に酔わされます。人の運はどこからやってくるかわかりません。世はモノ余りで、断捨離ばかり叫ばれていますが、神通力を宿すモノを持つ人になりたいですねぇ。
(アントワーヌ・ローラン著、新潮社、本体価格1,900円、税込価格2,090円)