著者の西和彦さんは、我々、出版に携わる者なら知らない人はいないでしょうし、板宿の住民としては極めて馴染みが深い方です。アスキーのファウンダーであり、須磨学園さんの学園長です。半生記ならぬ反省記。西さんの人生とはいえ、日本のパソコンの勃興期からの歴史を物語り、後半はアスキーの転落記、そして、未来の教育への舞台に今は立つ、その姿はすさまじい。
機械を見れば分解する、IQ200の子どもはモノづくりに興味を持ち、コンピューターに魅せられて、大学生の頃にアスキーを立ち上げ、コンピューターの情報関連の泉となり、ソフト開発に足を踏み込み、マイクロソフトのビル・ゲイツと成功の果実を得る、その道のりはまさに凄い!しかし、袂を分かったビル・ゲイツと自らを比べてしまったがために、事業の拡大路線を突き進み、経営を活かすことが出来ずに、すべてを失いながらも、自らが育った実家の教育事業に帰結し、日本の、世界のデジタルの世界に強い人材育成に軸足を置いておられます。
本書から学んだ、人生の扉を開けるキーは、
「興味のある場所に行け!」
ということ。同好の士が集えば、自分にとって重要な情報は交換され、会いたいと思える人とも出会える。悩むより「行け!」ととてもシンプルであり、分かりやすい。ちょっとした決断を恐れずに、一歩前進することは大切です。
『反省記 ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄”で学んだこと』(西和彦著、ダイヤモンド社、本体価格1,600円)