室町時代の末期の天文18(1549)年~19(1550)年の中信濃を舞台にした戦国の物語。中信濃は大名になる手前の武士団の群雄割拠の状態で、南部に位置する遠藤吉弘の手腕で内政が行き届き、小さいながらも民から慕われていた領主。但し、軍事面では弱点がある遠藤家に豪傑な武将としても軍師としても名高い石堂一徹が加わることになります。遠藤吉弘には若菜という姫がおり、彼女の魅力も遠藤家には大きな存在となっていました。
一徹の力量で、遠藤家は四千石から二万四千石までのしあがり、小大名となります。四十万石の武田信玄が中信濃へ攻め入る前に、一徹は中信濃平定へと道を進めるも、吉弘は一徹の策を取らず、中信濃豪族連合軍で信玄に向かいます。さて、その後は・・・。
一徹と若菜の淡い恋も描きながら、「大志ある者のみが大業をなす」、「蟹は自分の甲羅に合わせて穴を掘る如く、人もまた、自分の器量に見合った穴がある」など、戦国前期の男の生き様はとても面白い。
『哄(わら)う合戦屋』(北沢秋著、河出文庫、本体価格790円、税込価格899円)
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