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いい人ランキング

2024-04-24 14:18:36 | 

 中学生向けの小説。いじめの陰湿さ、それを乗り越える子どもたちに驚きながら、10代をどう過ごすかを考えさせられました。

 中学2年1組は文化祭でミスコンを開催予定していました。しかし、学校サイドからストップがかかり、「いい人ランキング」というコンテストに切り替えられました。クラスで各人が1票投票し、クラス1のいい人を選びます。母の再婚で2学期から木佐貫と名字の変わった桃が選ばれましたが、「いい人」というレッテルが貼られ、何でもかんでも頼みごとをされても応えなければならない「いじめ」に突入します。さらには誰からも話しかけられなくなり、桃は悩み、妹の鞠(まり)が師匠と読んでいる、2年4組の圭機(けいき)に相談します。彼はある策を提案します・・・。

 「いい人」になる必要なんてない。誰もが素敵な部分があり、そこではみんながいい人になる。人間には二面性があり、他人にとってはいい面と悪い面と評価されます。だからこそ、他人の目を気にせず、自分らしさを発揮したらよいとオジサンは考えますが、子どもたちは、心の中では「人目につきたい」活躍をしたいながらも、「人目につかない」存在になろうとしています。個性の時代と言われながらも、個性を消すスタイルが取られている矛盾を感じながら読了しました。

『いい人ランキング』(吉野万理子著、あすなろ書房、本体価格1,400円、税込価格1,540円)

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