グローバル資本主義は効率を求めるために、大規模化と集中化を招き、弱肉強食の度合いが激しくなり、またデジタル化したため、商品は低価格になり、便利にはなりましたが、人類、あるいは人類の住む地球への悪影響が肥大化しています。それは格差の拡大であり、地球温暖化による異常気象の勃発です。
タコが身を食うように、人間自身が生きづらくなる世の中にしているのですが、これをいかに解消すればよいか。著者の森永卓郎氏はガンディーの思想に解決策を求めています。「どこまでの範囲の人の幸福を考えるか」という視点です。一人の人が全人類の幸福を考えることは不可能であり、「隣人をいたわり、気遣う」ことしかできない。つまり、消費や投資を通じて、近くの人を助けることにより、全人類の幸福につながります。「地域内再投資」の考え方です。地元で同じものが買えるのであれば、わざわざ通販で購入するのをやめる。投資する資金があれば、できるだけ地元の会社へ委ねる。ローカルへ、小規模へ、地域への分散を志向し、行動しなければなりません。
今回の新型コロナウィルスによるパンデミックもグローバル資本主義へのキツイ灸かもしれません。人口の集中していない、顔の見える度合いの強い地方には感染は拡大しません。
『グローバル資本主義の終わりとガンディーの経済学』(森永卓郎著、インターナショナル新書、本体価格800円、税込価格880円)