あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

人を導く最強の教え『易経』

2023-10-30 15:28:07 | 

 易経に関しては、『「経営に生かす」易経』(竹村亞希子著、致知出版社、本体価格1,800円)を読んで、この考え方、視点は身に付けときたいと考えてました。 竹村亞希子さんのお弟子さんの著者が書かれた本書は、副題の『「人生の問題」が解決する64の法則』としているので、ビジネス上で課題が出た場合や自分の置かれたポジションから考えて、どうすればよいかの辞書として座右の書にしたら良いかと思います。64もの法則があればどれかに関連するでしょう。

 易経の考え方で大切な点は、「ブレない判断軸を持つ」ということです。環境変化などで対応策を検討する時も、理念や志は不動にして考えなければなりません。正義を追求する姿勢ですね。また、陰と陽の視点の重要性は忘れてはいけません。「鳥の目」や「裏から見れば」というような「多面的な視点に立つ習慣」を付ける必要があります。陽ばかりが注目されますが、行動においては「陰徳」「謙虚」「脚下照顧」「縁の下の力持ち」「積善」「惜福」などの積み上げが陽を生みます。さらに、「一皮むける成長のきっかけの『修羅場経験』」を嫌ってはいけません。その経験は苦しいでしょうが、成長を楽しむ気概で乗り越えましょう!

 「世の中の役に立つこと」こそが出世と定義されており、自分を忘れて、他を思いやることは論語の教えに通じます。「成功はあくまで過去の蓄積によるもの」であり、「利は義の和なり」という思いの行動はブレない背骨を創りあげます。

『人を導く最強の教え『易経』 「人生の問題」が解決する64の法則」(小椋浩一著、日本実業出版社、本体価格1,800円、税込価格1,980円)

 

 

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みがわり

2023-10-23 15:03:28 | 

 駆け出しの小説家の律が絵本の文を担当し、テレビ出演したら、書店でのサイン会に熱烈なファンと称する主婦は涙を流し、抱き締めてきました。その主婦の、1年前に山で亡くなったとされる姉に瓜二つの顔だという理由で、律は姉の伝記の執筆依頼を受けました。

 主婦宅へ訪ね、娘や夫に会い、また、姉の残した絵や逸話を見聞きして、アウトラインを考えるも姉の像が浮かばない。関係した人たちに取材して話を聴くと、妹である依頼人の話しとは食い違いが生じ、その乖離は激しくなるばかりで、本当の姉はどんな人で、本当に亡くなったのか?

 最終章に書かれた伝記はとても奇異感を抱きますが、書名の「みがわり」は姉と妹の関係でしかないというところに落ち着きました。

『みがわり』(青山七恵著、幻冬舎文庫、本体価格790円、税込価格869円)

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習慣が10割

2023-10-19 11:10:23 | 

 習慣が大切なのはわかるけど、なかなか身につかないとお考えのあなたに朗報です。良い習慣が付くノウハウが満載しています。

 人生を生きていく上で明確なのは習慣が大切なこと。健康が生活習慣によって維持されるのと同じように、人生も習慣次第で良くも悪くもなります。「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差だけ」とは名言です。「今の自分は過去の習慣によって作り上げられたもの」ですから、将来の自分も今後の習慣で形付けられます。そして、習慣のポイントは脳の働きにあること。その仕組みがしっかりと書かれているので間違いありません。

 読書の習慣もまた大切です。今の自分は過去の読書の積み重ねで出来ていると言っても過言ではありません。

『習慣が10割』(吉井雅之著、すばる舎、本体価格1,400円、税込価格1,540円)

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親切は脳に効く

2023-10-16 17:15:52 | 

 親切を受けると気持ちいいし、親切するとを心地よい。親切を科学的に解明するといかなる答えが見いだされるか。本書は有機化学博士が親切の全貌をつまびらかに著わしました。

 脳内物質の観点から見ると、「親切は、プラスの感情にかかわる神経伝達物質『ドーパミン』や『セロトニン』の分泌量を増やし、絆のホルモンともいわれる『オキシトニン』もつくりだす」、とても人体にとっては幸せな行為です。親切は当事者の気分を良くするのはこのお陰ですね。

 このオキシトニンは心臓や血管を強くし、また、老化も遅らせる作用もあります。そのしくみは本書に譲りますが、これを知るだけでも親切をしたくなります。その上で、人間関係が良好になり、人間は親切をされたら親切をしたくなる性格があることもわかっており、このギスギスした世の中には無くてはならない徳目かも知れません。

 2500年前に孔子は「仁」「恕」を説きました。これは「思いやり」であり、己の欲せざる所は人に施す勿れとおっしゃいました。つまり、されたら嬉しいと思えることをしてやりなさいという教えは科学的にも証明されたわけです。

『親切は脳に効く』(デイビッド・ハミルトン著、サンマーク出版、本体価格1,500円、税込価格1,650円) 

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落語と私

2023-10-11 13:39:45 | 

 落語を始める、もしくは興味を持ったら、必ず読むべき本をいまさらながら読みましたが、やはり読む価値は大いにありました。この本がポプラ社から出版されたのが昭和50年ですから、もう半世紀経ちますが、落語コーナーには無くてはならない1冊です。

 落語についての質問に答えるスタイルで始まり、落語、寄席、そして、噺家の列伝など、東西に関わらずの内容になっています。「落語は人生の百科事典」であり、「落語は現世肯定の芸」とされています。世の常識からずれている登場人物に笑いを誘われ、あぁ~今日も無事に一日が終わったと感じる、そんな芸ですね。

 落語は同じネタでも演者の「演出」によって大きく変わります。演者の個性がにじみでるだけでなく、その落語をどう解釈するかで違う感じになります。また、同じ演者が歳を重ね、芸に深みを増せば、演出も自然と変化をする、つまり、異なったタッチのネタになります。

 米朝師匠は、「芸人は(中略)世の中の余裕ーおあまりで生きている」人であり、「すべての分野に、日常生活に、この余裕というものが乏しくなってきたのはさびしい」と評されています。便利でスピード感はあっても、「余裕」はますます失われていますよね。笑って生きていきましょう!

『落語と私』(桂米朝著、文春文庫、本体価格650円、税込価格715円)

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世界でいちばん透きとおった物語

2023-10-05 14:43:01 | 

 「電子書籍化絶対不可能!?」と帯に書かれていますが、そうでもないかなぁ~。

 推理小説ベストセラー作家の宮内彰吾が亡くなった。生前は多くの女性と浮名を流していた。彼のファンで校正者の藤坂恵美は彰吾との間に燈真という男の子を産んだ。燈真との二人暮らしだった母・恵美は2年前に交通事故で亡くなっており、燈真は彰吾と会ったことすらなかった。

 彰吾の息子から、「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」という電話があり、生前に彰吾が関係した人たちに会って、原稿のありかを調査する燈真。しかし、暗礁に乗りあがる中、母と一緒に仕事をしていた編集者の深町霧子がその小説の正体を推理し、燈真は衝撃の事実を知ることになる。

 父の子への愛情は深く、澱みがない。

『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光著、新潮文庫、本体価格670円、税込737円)

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