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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

縁結び代官

2024-04-16 13:50:56 | 

 少子化対策で大成功を成し遂げた政治家(当時は代官)が江戸時代にいた!?

 江戸で御徒組頭の寺西封元(たかもと)は老中の松平定信に突然呼び出され、叱責されるかと案じたが、天領の陸奥国白川郡塙(はなわ)の代官に任ぜられます。飢饉のためでも年貢はそのままのために、暮らしが困窮を極めた民は出奔、もしくは子ができても間引く、悲惨な地への赴任。そこに一つ条件が付加されます。三年のうちに人口を増加せよ!という命題でした。

 封元は土地を歩き、民の生きる不安の解消に精一杯働きます。その根本に民への教育がありました。人の道を説く八か条は儒学と石門心学を基本にしたもので、今で言うクレドの如く、民は諳んじて言えるまでにしていきます。部下のしくじりもすべて封元の責任とした、優れた上司でもありました。弱者を援け、心を養い、今を楽しむ姿は塙の住民から絶大な人気を誇りました。

 現在の政治家に読んでもらいたい!

『縁結び代官』(土橋章宏著、角川文庫、本体価格800円、税込価格880円)

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