あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

読んだら忘れない読書術

2017-01-30 17:23:56 | 

  読書論、読書術に関しては多くの書籍が出版されています。本書はその中でも私の意見とほぼ同じです、電子書籍に関する点以外は。

  読書は心や脳へのインプットであり、そのインプットがなければ、心や脳への養分はありません。そのインプット量も月7冊読むだけで現代日本人の上位4%に入ります。それだけで知の世界では優位に立てます。また『「文章力」は絶対不可欠な「仕事力」』である、インターネットの時代では、「たくさん読んで、たくさん書く」しか文章力は鍛えられないという著者の論に大賛成です。インプットをし、アウトプットをしなければ、身体で例えると、便秘の状態。健康には良くないのは間違いありません。SNSやブログで感想を書いて、読者同士でシェアをすると、読書からの人のつながりも芽生えます。

  読書術で極めて参考になったのは、 「15-45-90の法則読書術」です。「高い集中力が維持できる限界が15分。普通の集中力が維持できる限界が45分。45分の間、少し休憩をはさめば、90分の集中も可能。」というような集中力を意識した読書は考えたことがありませんでした。これでスキマ時間を意識して、有効な読書タイムを形作りましょう。。

  月に7冊読めるように自分の時間を取り戻し、読書を有意義な人生を歩む糧にすることこそ、AI時代を迎える将来への橋渡しです。

『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑著、サンマーク出版、本体価格1,500円)

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こころの子育て

2017-01-28 12:24:36 | 

  大正13年生まれの91歳のばあちゃん助産師さんの出産、子育ての教えです。ただ単なるノウハウ本ではなく、人間洞察の鋭いことが満載されています。誕生の場面に立ち会い、その後の母子の成長を見守る目には狂いはありません。

  男の私にはできないこと、出産に関して、 「出産は神の領域や。」と言い切る。確かに受精してから誕生するまでを宇宙や地球の誕生になぞらえられたりするぐらいなので、人為の及ぶことではないでしょう。

  誕生してからは母親の苦労たるや測り知れません。以前なら3世代同居の家庭でしたので、信頼できる応援団が付いてくれていましたが、核家族になり、母親だけにその責任が圧し掛かっていル形になっています。 「0才児の赤ちゃんは神様や。」と思えば、神様を扱うように、また慕うように愛情を込めて遇せば、 「こころの根っこを育む」ことになります。 「子育ての本質は、つねにつねに祈りなんです。」とは、子どもへ「思いをかける」ことに集中せよ!、メールやSNS、テレビに気を逸らさず、赤ちゃんに全精神を傾けよ!というメッセージです。だからこそ、0才児の子育てができたら、あとは問題ないということになります。ここで坂本さんの至言が胸に突き刺さります。

「赤ちゃんはお母さんの合わせ鏡。」

「0歳の時の様子を見れば、どんな大人になるかがわかる。逆に大人を見れば、0歳の時にどんな養いをされたかがわかるもんや。」

  「子育てって、本来は伝承的なもの」でなくなろうとしている現代の家族形態なので、本書の貴重な考え方は本からでも次世代に伝達していかなければいけません。その根本にあるのがこころのオモイです。

「自分本位に考えるのは『思う』
相手の身になって考えるのは『想う』
相手の幸運を念じて祈るのは『念う』
オモウココロには、三通りあるな。」

  子育てだけでなく、人間が生きていく上では何事も『念う』気持ちで対していかなければなりません。

  『ばあちゃん助産師 こころの子育て』(坂本フジエ著、産業編集センター、本体価格1,400円)

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人生二度なし

2017-01-27 16:01:25 | 

 20~30代前半の若い社会人向けに書かれた人生指南書。とは言え、何歳になっても「人生二度なし」であることは間違いないので、年齢に関係なく読んで納得の一冊です。

 いかに生きるのかという命題に対して、考えること、職業、友、読書、趣味、先輩や指導者、結婚、そして、健康、時間などの項目別に森信三先生は語りかけています。いかに意義ある人生にするかに関しては、まず、

「人生二度なし」という真理に目覚め、

一生を貫いて、一つだけでも努力すべきことを持ち、

それが人のためになれば良い

と断じています。「人間は各自その素質・天分を発揮することを通して、世の中のために尽くすところ」は自分の職業を持って尽くせと述べられていることは、ただ単に生活費を稼ぐためだけではなく、職に関してどういう思い、理念を自分で抱くか常に考えなければなりません。大きな視野で職を全うする、その気持ちが大切です。

 私自身は、活字離れ、読書離れと言われて久しい日本で、読書推進の錦の御旗を振り続けたいと考え、書店業に勤しんでいます。

『人生二度なし 悔いなく生きるために』(森信三著、致知出版社、本体価格1,600円)

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宇宙の法則と調和して生きる方法

2017-01-18 14:13:11 | 

 禅と易経から導かれた幸福への手引書です。著者自身、「幸福に至る小道についての本」と本書を位置づけています。禅や易経の解説と共に、如何にして生きればよいかを説いています。幸福論を述べる本の中でも秀逸な1冊だと私は考えます。

 「今ここに生き、二元論的な区分を取り払う」禅と、「ある状況は、肯定的な光に照らしてみたときのみ、好ましいものとなる。」という易経の考え方、そして、我々は宇宙の一部であり、138億年発展を遂げてきている宇宙の一員であるという強い意識を持つことを奨めています。宇宙の一員とは大風呂敷を広げてと思われますが、道元が「悟るとは万物と親密になる」と言ったように、宇宙との一体性を持つこと自体が悟ることに通じます。

   このことから、我々が宇宙の法則に則って生きれば幸福へ導かれると解釈しています。それでは、宇宙の法則とは、

「あらゆる行動は反応を生み出す。その反応は常に行動と調和する」という原因と結果の法則、

「何ものも失われたり、破壊されたりすることはあり得ない。ただ変化するだけだ。」というエネルギー保存の法則、

「人生という道に沿ってどのように身を処するかが、あなたの人生の展開を決定する。」というもう一つの基本法則

です。私たちの人生は、今までにしてきた一連の決断の結果ですから、人生の出来事に対してどう反応するかの個人的哲学に左右されます。その反応の結果がどうであれ、肯定的に考える思考を持つことが幸福への道につながります。つまり、

「自分の身に起きるあらゆる出来事は、起こり得る最善の出来事である。」

という認識の下、判断し行動することを重要視しています。これこそが宇宙と調和することのキーポイントであり、「宇宙と(人間との)コミュニケーションは出来事である。」「出来事は宇宙の言語である。」と考えれば、人生における試練も宇宙があなたにこれを経験しなさいと告げていると理解できます。

『宇宙の法則と調和して生きる方法』(クリス・プレンティス著、菅靖彦訳、サンガ、本体価格1,800円)

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一流の人は、本のどこに線を引いているのか

2017-01-11 15:52:47 | 

   ビジネス書の書評をアマゾン・ジャパンの立ち上げから書き続け、出版プロデュースもされる土井氏の著書を読んで多くのことを学びました。

  書店人としては、ビジネス書の8ジャンル、とその目利きのノウハウ。そして、出版業界の位置付け、書店の目指す方向性、書店人のなすべきことまで、しっかりと述べられています。

   次に、ビジネスに対する鋭い切り口。業界、業態ごとのセンターピン、すなわち、必ず押さえなければならないポイントへの視点は鈍らせてはなりません。

   最後に、私の刮目に値したのは、彼がアマゾン在籍時に学んだことである、

  「コンピューターには、結果を分析できても、その結果を招いた原因を作りだすことはできない。」

  「原因を作り出す作業こそ、人間の価値である。」

ということ。さて、その価値を持つために必要なことが教養ではないかと改めて感じました。多くの書籍を読み、著者独自のフィルターを知ることこそがなくてはならないことでしょう。

『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』(土井英司著、サンマーク出版、本体価格1,500円)

 

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習慣の力 The Power of Habit

2017-01-10 15:48:01 | 

  習慣には良いものと悪いものがあります。良い習慣はなかなか身に付かなくて、悪い習慣はやめたいけれどもやめれない。習慣って一体どんなものなのか?変えられるのもなのか?

  誰しも生まれてきてから決まった行動をするように親から教育を受けています。朝早く起きる、歯を磨く、よく噛んで食べるなどの行動は、成長と共に、誰に指図されずとも自動的に行っています。つまり、無意識のうちに行うことこそが習慣であり、それは、「習慣が形成されるのは、脳が常に楽をしようとしているから」と考えられています。

  では、習慣とはどういう仕組みなのか?「新しい習慣が生まれる過程は、きっかけとルーチンと報酬が結びつき、その後、欲求が生まれてループを作動させる」ことを理解し、この習慣を身に付ける、または習慣を変えるには、付けることができる、または、変えれるという「意志」が必要になるのは言うまでもありません。

  習慣は個人の問題だけでなく、コミュニティや組織、企業にも関与し、良き習慣が持続される集団はそれがその集団の特徴になり、集団を良質なものへと変えていきます。良き習慣のループさえあれば、なりたい自分や集団になれるはずです。

 「習慣とは自分が選んできたものであり、習慣こそが自分を表す。」習慣は疎かにしてはなりません。

『習慣の力』(デュヒッグ・チャールズ著、渡会圭子訳、講談社+α文庫、本体価格920円)

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