日本では「情けは人の為ならず」。「先義後利」、「盥の水の原理」など、「与える」ことの大切さが一般的になっています。しかしながら、グローバル経済の進展と共に、喰うか喰われるかの弱肉強食の環境では、「与える」ようないい人では相手に喰われかねない。それでも、「与える」のか?
本書では、人間を3種類に分類しています。「ギバー(人に惜しみなく与える人)」、「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」、そして、「マッチャー(損得のバランスを考える人)」です。アメリカでは「テイカー」でなければ生き残られないと考えられがちですが、それでも、
「ギバー(人に惜しみなく与える人)」
が最終的には成功すると、アメリカの36歳の組織心理学者・グラント氏は述べています。本書ではギバーとして活躍した人、テイカーとして評判の悪かった有名人を紹介して、理解を深めるように書かれています。さらに、
「成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくする」
存在になれる、つまりは関係者みんなが幸せを感じられる。では、ギバーになるにはどうすればいいか?一番大切な考え方は
「自分のものの見方にこだわるのではなく、他人の視点から見る能力」
を備えることです。自利ではなく、他利第一にすれば、ギバーへの道は開けるでしょう。そこには「繁栄の世界」があります。
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント著、楠木建監訳、三笠書房、本体価格1,800円)