あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代

2016-11-30 15:58:03 | Weblog

  日本では「情けは人の為ならず」。「先義後利」、「盥の水の原理」など、「与える」ことの大切さが一般的になっています。しかしながら、グローバル経済の進展と共に、喰うか喰われるかの弱肉強食の環境では、「与える」ようないい人では相手に喰われかねない。それでも、「与える」のか?

 本書では、人間を3種類に分類しています。「ギバー(人に惜しみなく与える人)」、「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」、そして、「マッチャー(損得のバランスを考える人)」です。アメリカでは「テイカー」でなければ生き残られないと考えられがちですが、それでも、

 「ギバー(人に惜しみなく与える人)」

が最終的には成功すると、アメリカの36歳の組織心理学者・グラント氏は述べています。本書ではギバーとして活躍した人、テイカーとして評判の悪かった有名人を紹介して、理解を深めるように書かれています。さらに、

 「成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくする」

存在になれる、つまりは関係者みんなが幸せを感じられる。では、ギバーになるにはどうすればいいか?一番大切な考え方は

 「自分のものの見方にこだわるのではなく、他人の視点から見る能力」

を備えることです。自利ではなく、他利第一にすれば、ギバーへの道は開けるでしょう。そこには「繁栄の世界」があります。

『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント著、楠木建監訳、三笠書房、本体価格1,800円)

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徳川家康の名言

2016-11-28 15:05:35 | 

 NHK大河ドラマ「真田丸」でも、徳川家康は狸オヤジぶりを発揮していますが、最後には戦国の世を平定した英雄です。狡賢いように描かれるために、好きになれない多くの人も、生き様から滲み出されたこの名言集を読めば、家康の人格の高さを評価することになるでしょう。

 幼少期、今川家で人質の身に置かれ、また、信長からの疑いから、長男・信康と正妻・築山殿を死に至らされ、耐えることが信条のようになった家康は、8つある遺訓の中に3つ、

 『人の一生は重き荷を負うて遠き道をゆくがごとし。いそぐべからず』『不自由を常とおもえば不足なし』『堪忍は無事長久の基』

という言葉を残しています。ここで怒りを起こせば、最後に勝つことからは遠のくため、

 『いかりは敵とおもえ』

とも言っています。そして、欲望をコントロールすることにも言及し、

 『こころに欲おこらば、困窮したる時を思い出すべし』

とし、自分にとって必要な欲は「公欲」にして、志につなげていくことが大切です。さらに、家康は読書家であり、書籍を探し求めて学んだことから、

 『人倫の道明らかならざるより、自ずから世も乱れ國も治まらずして騒乱止む時なし、是の道理を悟り知らんとなれば、書籍より外にはなし、書籍を刊行して世に傳えんは、仁政の第一なり。』

と述べ、読書の大切さ、出版の高い位置付けをしています。書店人としても、家康は素晴らしい人だと言わざるを得ません。

『徳川家康の名言 最後に勝つ理由』(小野小一郎著、アイバス出版、本体価格1,200円)

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さかなクンの一魚一会

2016-11-19 14:39:35 | 

  ハコフグの帽子がトレードマークのさかなクンは東京海洋大学の客員准教授にして、名誉博士号。また、プロと共演するほどの腕前のバスクラリネット奏者でもある彼の自叙伝は極めて興味深い。自らの生い立ちから、今に至るまでの、魚や彼をめぐる友人や魚関係の人々との温かいエピソードで満載です。

  さかなクンが今の境遇にいる最大の要因は「好きになると一直線」の性格です。幼少の頃、お兄ちゃんと公園で一緒に泥団子を作った時も、お兄ちゃんはすぐに飽きて違う遊びに興じる傍ら、さかなくんは112個も泥団子を丸めました。小学校の授業中も家から持参した魚の図鑑を読み、絵を描くことに集中しているので、成績はさっぱり。しかし、魚の知識は玄人はだし。更なる知識を求めて、放課後は魚屋さんへ、休みの日には水族館へ詣でる生活を送っていました。「好きに勝るものなし」は彼への賛辞です。

  そして、第二の要因は、お母さんが彼を信じる深い愛情のある守り人であり、最大のファンであること。学校での三者面談で、担任の先生から成績の不振に話が及ぶと、普通の母親なら、「勉強しなさい。成績が良くなったら…」と言うはずです。 さかなクンのお母さんの答えはシンプルです。 「あの子は魚が好きで、絵を描くことが大好きなんです。だからそれでいいんです。」 

  第三の要因は、さかなクンが自分の使命を理解したこと。 「自分の役割はお魚の感動を伝えること」と明確になって、小学生の卒業文集の言葉が現実になりました。「東京水産大学の先生になって、調べたお魚のことをみんなに教えてあげたい。そして図鑑を作りたい。」

  この本でのさかなクンの最高のメッセージは、 「夢中になって一つのことに打ちこんだという経験はけっしてムダにはなりません。人生のどこかできっと役に立ちます。」もちろん、それができる環境も必要ですが、一心不乱な姿は周囲も変えていくことでしょう。

『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』(さかなクン著、講談社、本体価格1,300円)

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繁栄の法則 その二

2016-11-14 14:33:57 | 

 昨年の夏にこのブログで、北川八郎先生の前作『無敵の経営』を書かせていただきました。

http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/c396d0ac3aa2a63fd822f262359365b0

 「無敵」とは、「戦いとは無縁で、『好意の恩返し』の中で『味方だらけの世界』で経営する『戦わないで繁栄する』無敵」を意味します。数字ばかりに追われ、成長ばかりを考える戦い続ける土俵に嫌気がさしているのは事実です。というのも、「この時代、競合店が乱立し、これだけ商品があふれ、お店が街中にあり、日本中にある」わけですから、戦えば戦うほど消耗戦になり、日露戦争の二〇三高地のように、兵士の死を省みず、腕尽くで陣地を奪い合うしかありません。これでは規模の大小で勝敗を決するのは自明です。

 だからこそ、他社にない、「社員みんなが感謝の経営に参加している」仕組みにしなければなりません。そのためには、経営者自身が

 「『温かさ』に基づいた『笑顔』を社員や商品や接客に表していくこと」

としており、私は自省の海へ飛び込みました。権威を振りかざして接していなかったか~反省然りです。

 自店のクレドの一つの、「いつもニコニコ、笑顔は無料の贈り物」がスタッフ一同出来ているかどうかをちょうど確認していたので、素晴らしいヒントを戴きました。これからは、

 「信用と信頼を得ることを優先する」「自社の利よりも、相手の利に配慮する」「なせる善をすべてなす」思いで仕事に取組み、自分の生き方の棚卸をしなければなりません。

『繁栄の法則 その二  味方だらけの経営で栄える』(北川八郎著、致知出版社、本体価格1,600円)

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人工知能と経済の未来

2016-11-13 15:25:46 | 

  世の中、コンピューターやインターネットが浸透し、便利になる一方、雇用の問題も起きています。経済状況の変化だけでなく、今回のアメリカ大統領選の結果にも反映している通り、白人の中間所得層の労働が減っています。これは事務系の仕事がコンピューターやソフトの進歩で無くなっている現実を現わしています。仕事が肉体労働の低賃金と創造力や高い専門知識が必要な高賃金に二極化しています。

  さらに、2030年に社会的に広がっている特化型AI(人工知能)、そして、2045年の汎用型AIが労働環境にあると予想され、その結果、雇用は現在の1割になり、その雇用も「クリエイティヴィティ」(創造性)と「ソーシャル・インテリジェンス」(社会的知性)を有するものしか残りません。この前提でいかに生きるかを考えれば、教養を学んだ上で創造性や知性を発揮できる学習を積まなければなりません。そのためには読書は最重要視されると考えます。

  しかし、 1割に入らなければ、雇用から解放される存在になりますが、それではどうして生きていけばよいのか?真剣に考えなければなりません。人口減少が予想される日本国として、国民の生活をどう守るのか?著者はBI(ベーシック・インカム)、「労働者の所得を保証するための最もふさわしい制度」で、子供から大人まで一律の生活保障を支給する仕組みです。財源についても可能であるという説を展開されています。

 人が今、学ぶのは将来の雇用や生活の質を上げるためであるとされていましたが、2045年以降は今を楽しむために学ぶように変わります。人間が自然体になれる日が待ち遠しくもあります、30年先まで生きていることを期して。

『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』(井上智洋著、文春新書、本体価格800円)

 

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子どもは40000回質問する

2016-11-03 21:08:05 | 

 AIやコンピューターの技術の進歩により、人間の出る幕は消滅する可能性が在り得る現実が近づいていました。人間の存在意義は何か?人が人として活きる地平は開けるのか?

 「食と性と安全という三つの基本的欲求によって突き動かされている霊長類と人間が違うのは好奇心があること」という説明で明らかなように、好奇心を欠いたら人間ではなくなります。しかし、コンピューター、特にインターネットの恩恵を受け、疑問が即座に解決する幸せな世になりました。疑問に対して苦労せず答えが与えられると、さらなる疑問が生まれない、いやその答えが自身の記憶に残らない、もっと言えば、自分の脳みそをよそに預けるようになると、好奇心そのものが滅するかもしれません。

 しかし、AIが人類を凌駕する時代には、豊かな好奇心の持ち主が求められるはずです。既に、自分の好奇心が活かされるのが現実であることは、「さかなくん」の存在で明らかです。どんな、スキマの領域でも、「自ら学習し、問題を解決し、鋭い疑問を投げかける意欲のある人材」こそが必要になってきます。彼は、自分の興味をマスメディアの舞台で活かす創造的な人です。

 それでは、好奇心は如何に生まれるか?誰しも、子どもの頃にはわからないことを「なぜ?」と親に訊きます。親はわからず困りますが。探究心の第一歩である「拡散的好奇心」を胸に抱き、その中から自身の意識に残ることが「知的好奇心」になります。それを研究していくことが人の使命になるかもしれません。これが「学ぶ」に相通じ、その方法のことに言及しているのが本書です。

 「本を読み、専門家に相談するのは、グーグルで検索するよりも労力や時間がかかるし、フラストレーションも大きい。しかし、だからこそ、私たちはより深く学ぶのだ。」つまり、多くの知識を苦労して記憶に留め、それを「長期記憶」にすれば、知性と洞察力、創造力の根源になります。この源を持つ人こそが次代を創り出すと思います。安直に知ることは自分に残りません。「苦は楽の種」は真実です。

『子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力』(イアン・レズリー著、須川綾子訳、光文社、本体価格1,800円)

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