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三人目の幽霊

2018-06-18 16:45:15 | 

 落語を下敷きにした小説は探せば、まだまだありますね。『三人目の幽霊』は第4回創元推理短編賞佳作受賞作である、表題作の「三人目の幽霊」が収録されています。

 こんな雑誌があったら定期購読したいなぁと私は思う、「季刊落語」編集部の一員となった間宮緑はこの異動に苦虫を噛み締めながらも、上司である牧編集長の推理力に目を見張ります。実際の落語会で起きるわけのない事件(事件と言っても、殺人なんてものはなく、出番の人が高座に上がれなくしたり、上がったは良いものの、落語を途中で止めざるおえない状態になったりという、いやらしい落語界のハプニング?)をこの二人で解決していくストーリー。落語のネタをベースに展開していくので、落語ファンにとっては推理&落語を楽しめます。推理ファンは、知らなかった落語の世界を知ることが出来ます。

 この物語の中にも、落語とは~というくだりが出てきます。

 「落語が講談とも浪曲とも違う点は、語り手がいなくなることだ。」
 「落語というのは、基本的には一発芸だ。落語を観て、そして語れるようになるためには、一瞬を見逃さない集中力とその芸を的確に評価できる客観性を持っていないといけない。」

 素人落語家の私にとってもためになる推理小説です。

『三人目の幽霊』(大倉崇裕著、創元推理文庫、本体価格760円)

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