『「生きがい」と出会うために 神谷恵美子のいのちの哲学』(若松英輔著、NHK出版、本体価格1,400円、税込価格1,540円)を読んで、原書も紐解きました。西洋の哲学、心理学、精神科学、またキリスト教を多く引用されており、難解でしたが、多くの学びを得ました。
『「生きがい」と出会うために 神谷恵美子のいのちの哲学』にも書かれていた通り、
自分の生は全人類の生の一部であり、自分は皆に対して意味と責任を担っていると思い至るとき、自分自身の内側にある生きがいの種が芽吹く
ということを知りました。自分の命は自分だけのものではなく、すべての命に通じている、そして、生きているという自覚よりも生かされているという認識を持つことが重要です。ハンセン病療養施設で診察した経験から、人間の尊厳についても、
『人間の存在意義は、その利用価値や有用性によるものではない。野に咲く花のように、ただ「無償に」存在しているひとも、大きな立場からみたら存在理由があるにちがいない』
と述べています。生きがいをうばい取るもの、生きがい喪失者の心、新しい生きがい求め方やその発見について考察されており、「なぜ生きるのか」「いかに生きるか」を問うている1冊です。
『生きがいについて』(神谷恵美子著、みすず書房、本体価格1,600円、税込価格1,760円)