店のスタッフにも、読書というインプットをしたら、必ず、「書評」というアウトプットをしなさい、人が食べたら排便、排尿ように、と伝えています。しかし、表現するのは難しい。書かれた文章を読んでも、会話を聞いても、何を言いたいのか不明の場合があります。つまり、「伝わる言葉」になっていない。そのことを電通のコピーライター梅田悟司さんが明確に解説しています。
言葉には、相手に伝える言葉である「外に向かう言葉」と、伝えるために自分で考える「内なる言葉」が存在すると定義されています。そして、『常に頭の中に浮ぶ「内なる言葉」の存在に意識を向け』、『意見を育てる必要』があり、『自らの思考をどれだけ広げ、掘り下げられたか』を考察しなければなりません。それは『その人ならではの「世の中を見渡す視点」』であり、しっかりと考える習慣を持つことを訴えられています。これは、実際は世の中に流され、定点で何も観察せず、ルーチンの生活を営み、考える時間を持たなくなった現代人へのお灸のようなものです。
後半は、内なる言葉を生み出す手法や、それを基にした外に向かう言葉の表現方法をプロの目から教授しています。
言葉を紡ぐ前に、常日頃からの思考を言葉に表現すること、これさえ実行すれば、書名の通り、「言葉にできる」は武器になります。
『言葉にできるは武器になる。』(梅田悟司著、日本経済新聞出版社、本体価格1,500円)