あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

潜在意識を使いこなす人 ムダにする人

2017-07-25 15:32:44 | 

  潜在意識と顕在意識に関しては、海に浮かぶ氷山の絵で表現されるのが印象的で、現実に思うことや発言することが潜在意識に入っていくところまでは理解できても、その実像はよくわからないままでした。しかし、本書を読んで、霧が晴れました。

 自己実現を成し遂げている人々は潜在意識の存在を理解し、習慣化した行動や考え方がそれを活用していることはなんとなくわかるものの、その実態は何か?について、次のように明解に書かれています。潜在意識とは、

「エネルギー」であり、「知識の貯蔵庫」

であるということ。500人に1人しか完治しないサルコーマ病に冒されていたジョセフ・マーフィー(マーフィーの法則を生み出した)が必ず治してくれる医者がいると信じ、行ったことが、「本を読み、人の話を聞き、治療の道を探した」こと。これこそが潜在意識を発揮させるポイントだと著者は断言します。

 企業経営において、ミッション、ビジョン、ゴール(目標と期限)を設定するように、個人においても、同じように行うことを奨められています。こう考えるのは企業人としては、非常にわかりやすい。つまり、「心に強く願い、揺るぎない計画を立て、実行すること」であり、「現実は頭の中のイメージ以上の結果にはならない」ことから、高い目標を設定し、それに邁進することに集中すれば、いわゆるゾーンやフローの状態になるでしょう。さらに、ものごとを多方面から客観的に観察できる「鳥の目」を持つことの重要性を伝えてくれています。そのためにも、さまざまな考え方を勉強しなければなりません。

 人間関係においては、「同じ波長で振動しているものに同調する」共鳴の法則から、できるだけ知性を高めること、すなわち学びの大切さを教えてくれます。また、お金に関しても、自らのミッションに照らして、稼ぎ、使えということに大きな学びがありました。「少ないモノで暮らす」ことが流行していることも関連しますね。自分がぶれるから、安価に魅かれ、多くのモノに囲まれるのですね。

 最後に、アファメーションについても言及されていますが、いかにプラス思考な己に変われるかが重要であり、プラスの言葉は潜在意識を強化し、自らの夢実現のバックアップになります。

 こうして、潜在意識とは何かを考えると、人間、いかに生きるかの答えであり、本書を単純に自己啓発書だけに位置付けるのは誤りですね。当店での棚展開でも考え直さなければなりません。

『潜在意識を使いこなす人 ムダにする人 - 自己実現するための51のガイド』(井上裕之著、フォレスト出版、本体価格1,400円)

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仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則

2017-07-18 15:15:35 | 

  致知出版社さんでの著者の研修の講演がベースになっているようですが、職に就いている人が読むべき、仕事に対する心構え、はじめの一歩の書です。

   まずは、自己肯定感を抱こう!という提言。自信を持つためには、努力と行動がキーポイントであり、他人とは比較せず、自分自身の良さを引き出すことに専念すべし!
そこで、
①これだけは誰にも負けないという何かをつくる
②自分との約束を守る
③目の前にあることに全力をあげる
ことを挙げられています。

  次に、プラス思考です。人間の脳は、過去の後悔や将来の心配などを考えるためか、マイナスに考えやすい傾向がありますが、思いや言葉は潜在意識に貯金されるので、プラスの思いを想起し、プラスの言葉を発し続けなければなりません。一番いけないのは、4D、「でも」「だって」「だけど」「どうせ」のDとしています。

  そして、“ひいき”にされる存在になるためには、他人の目、判断、評価を忘れてはなりません。「笑顔」「プラス語」「返事」「挨拶」に注意すれば、自ら変わることができます。

  この本で一番印象的だったのが、「下りのエスカレーターをダッシュで駆け上がる」という表現。当たり前ではその他大勢に埋没するので、どこに全精力を注力し、スキマでもいいから他者とは違う自分を作り出していかねばなりません。ぼぉーとしていれば、下るだけなら、一点集中、一点突破しかありません。

『仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則』(井垣利英著、致知出版社、本体価格1,500円)

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その「もの忘れ」はスマホ認知症だった

2017-07-17 10:31:12 | 

  もの忘れ外来で10万人の脳を診断してこられた奥村歩先生の衝撃の書。現代のIT生活への警告を発しておられます。

  30~50代の人たちがもの忘れやケアレスミスが多くなった、また、だるさや疲労感、動悸、睡眠障害などの心身の異常を訴える外来患者を診ると、IT機器の依存的な使用が原因である人が目立つようになってきたそうです。そこで、「スマホなどのIT機器に頼りすぎることで脳の機能を低下させてしまう病態」を「スマホ認知症」と呼び、脳神経の見地から考察すると多くのことが明らかになってきました。 

   人間の記憶とは、情報をインプットして覚え(記銘)、それを仕分けして脳にストック(保持)し、必要な時にストック先から選んで取り出す(検索・取り出し)システムです。もの忘れとは、検索・取り出しがスムーズに行われなくなったことであり、その原因は

スマホなどのIT機器からの過剰な情報のインプットによる「脳過労」

だと分析しています。つまり、「情報メタボ」となり、脳内がゴミ屋敷化する、IT情報生活習慣病」です。莫大な情報量に前頭前野が働くことを放棄し、また、習慣化したスマホでの検索が、自らの脳を駆使せず、弱体化している形となります。つまり、思考力・判断力、集中力、意欲、創造力や企画力、学力、コミュニケーション力、感情コントロール、遂行実行機能などの低下を招きます。さらに、記憶における記銘が行われなくなるアルツハイマー型認知症の原因物質アミロイド-βの蓄積はIT機器の使用で助長されるので、依存的使用は本当の認知症の引き金になりかねません。

  その対策としては、

①情報のインプットの制限=スマホなどIT機器の使用時間を制限する
②全くしていない情報のアウトプットをする
③自分を見失ないためのモニタリングシステムと呼ばれている、前頭前野の「ぼんやり考える部分」であるデフォルトモード・ネットワークを働かせる

ことが必要です。具体的には、デジタルではなくリアルな人や自然とのつながりを五感を使って大事にし、昼寝や散歩、意識的にぼんやりする時間を持つなど、IT機器の使用から離れる環境を自ら作り出せば良い。

  マインドフルネスにおいて、呼吸では「吸う」よりも「吐く」ことに意識を持つことを重視するように、情報でもアウトプットをすることを優先的に考え、情報のインプットをすれば人間的な暮らしに戻れるのでしょう。「人間はアウトプットをたくさん重ねながら成長していく生き物であり、私たちの脳にとってアウトプットは絶対に欠かせない」のですから。

『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった 10万人の脳を診断した脳神経外科医が教える』(奥村歩著、青春新書、本体価格880円) 

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極上の人生

2017-07-10 13:45:13 | 

 朝日新聞の天声人語を担当されていた辰濃(たつの)和男さんの文章は心地良い。なぜだろうと考えると、この本にそのキーワードは書いてありました。

 「無心の美学」「ゆとりの美学」「懶さ(ものうさ)の美学」「隠り(こもり)の美学」にまとめられているエッセイは、

“ぼんやり” “ぶらぶら” “ゆったり” “ゆとり” “無心” “力を抜く”

などがベース味として書かれています。つまり、現代の「早い、効率良く」とは対極の次元です。例えば、ニュージーランドのオプショナルツアーで「入り江を渡る」というアクションをする場合、日本なら、橋を架けて、「三分の便利」を追求しますが、ニュージランドでは、架橋することで美しい風景を壊すのを避け、渡るための「四〇分の遊び」を選択する。どちらが良いか?

 価値観の違いと言ってしまえば、それまでですが、

自然や宇宙に立脚した視点か、自然に対抗する存在としての人間の視点

かで人生の歩みは全く異なります。極上と言えるのはどちらか、もう言うまでもないでしょう。

『極上の人生 人生を楽しむ四つの美学』(辰濃和男著、海竜社、本体価格1,400円)

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自分の番を生きるということ

2017-07-09 08:14:20 | 

  この6月28日に81歳の生涯を終えられた、小児精神科医の佐々木正美先生。自身の生涯を再考し、また、その内容とマッチする相田みつを先生の詩を付した本書は、佐々木先生の日本人への遺言書のような本です。

  ドイツの精神分析家エリクソンの「死の間際に人生を振り返り、自分の生命、あるいは人生に感謝できること」の言葉通り、佐々木先生の魂の根幹は子供時代からの父母から注がれた愛情にあります。どんなに貧しくても愚痴言わず、黙々と働き続けた父、食べ盛りの息子たちにはおかわりを与え、自身のひもじい思いは微塵も見せなかった母。医の道に進もうにも学費がないために、東京で働きながらの身の息子を最大限のバックアップをしてくれた父に感謝以外はないでしょう。

  だからこそ、子どもたちへは常に慈しみの目で診られたし、自分の周りの人たちとの人間関係においても円い感情で接してこられました。奥さまに対しては、「妻の喜びが私の喜び。お互いの想いを共有し、感謝し合って生きている」間柄であり、「まるごとの自分を受け入れてくれる」ことが「人を信じる」基本と述べ、「人間の幸福度の高さや質というものは、人間関係に比例する」と断言されています。

  日本人は物質的には豊かになりましたが、この人間関係には極端に貧しくなりつつあります。災害時には援け合いの手は差し伸べるも、平常時は素知らぬ顔に戻る。「他者の喜びを自分の喜びとし、他者の悲しみを分かち合う」という言葉に、もう一度、自分の生き方を見直したいと思います。

『自分の番を生きるということ 人生のおさらい』(佐々木正美著、相田みつを書、小学館、本体価格1,600円)

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楽しい縮小社会 

2017-07-07 16:05:12 | 

 失われた20年からの脱却のために、アベノミクスの成長戦略が推し進められています。輸出企業など大企業を中心に景気の良い話が漏れ聞こえてきますが、このまま成長し続けることができるのか?東南アジアからアフリカまで成長著しい風に乗っていますが、そのフォロンティアももうあと少しで満杯になります。資本主義の限界がやってきます。その間、70億人の生活水準は向上し、エネルギーや環境、食糧の需要は伸びるが、供給する地球が持たない状態になろうとしています。すなわち、「資源や環境の制約から永遠の成長は不可能」なのです。

 生物としてのヒトが、今後も子孫繁栄を願うのであれば、「縮小しか道なし」は自明の理です。「永遠に100年分の資源を残す」ことを目標にして、先進国は4%の縮小、その他の国も1%の縮小を実践しなければなりません。4%の内訳は、

                1% 人口減
                1% 技術革新(省エネ)
                2% 生活革新(見直し) →少欲/足るを知る精神

となります。「競争から共同」、「使い捨てからもったいない」、「金と物による安心からよい人間関係と助け合いによる安心」にシフトしていかなければなりません。また、人工知能時代になると、仕事がなくなるために、ベイシックインカムの仕組みと共に、江戸時代のように、人の時間の振り分けを、8時間は自分のために、8時間は仕事、8時間は地域ボランティアに変容していく必要があります。社会のOS(オペレーションシステム)をガラッと変えることを避けることはできないでしょう。日本の人口減少問題も、地球から見れば問題ではなく、希望なんですね。

『楽しい縮小社会 ─「小さな日本」でいいじゃないか 』(森まゆみ・松久寛著、筑摩書房、本体価格1,500円)

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スイッチ・オンの生き方

2017-07-05 14:16:40 | 

  井戸書店で毎月第4日曜日朝に開催している、「大人の人間学塾」の第23回目の課題図書にさせていただいた本書は、参加者に「読みやすく、わかりやすい」と好評でした。遺伝子の研究者の村上和雄先生が遺伝子を題材に、科学的見地も含めてお書きになっているため、非常に論理的で、スーッと頭に入ってくるからでしょう。

  生きものの設計図である遺伝子は、猿と人間では4%弱しか違わず、ほぼ同じですが、人間には理性が授けられています。この遺伝子を作り出すのは誰なのか?村上和雄先生は、「偉大なる何者か」「サムシング・グレート」と呼ぶ、目に見えぬ存在を想定されています。そして、その遺伝子の98%は活動停止のオフ状態で、このオフをオンにしてあげるだけでも、潜在能力は計り知れないものとなります。いわゆる、「火事場の馬鹿力」はその典型で、スイッチをオンにすることが可能性を拡大させてくれます。

  では、どのようにしたらオンになるか?第4章にはそれが明確に書かれています。それは、

①どんなときも明るく前向きに考える
②思い切っていまの環境を変えてみる
③人との出会い、機会との遭遇を大切にする
④感動する
⑤感謝する
⑥世のため人のためを考えて生きる

という態度で生きていけば、自ずと遺伝子は活性化して働くようになるのでしょう。ここでのキーポイントは、「集中」「継続」「常識には縛られない」の3つ。間違いなく、ゾーンに入って行きます。

  塾終了後、課題図書のエッセンスであるワンセンテンスを店頭に掲げるますが、今回の

「人の喜びを自分の喜びにとして感じるとき、よい遺伝子がオンになる」

は多くの方に目を留めてもらい、販売に繋がっています。遺伝子をオンにする意識を常に持ちましょう!

『スイッチ・オンの生き方』(村上和雄著、致知出版社、本体価格1,200円)

 

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子どもが「読書」に夢中になる魔法の授業

2017-07-03 16:09:25 | 

  読書離れは日本だけの問題だけではないらしい。アメリカ・テキサス州の国語教師・ドナリン・ミラー先生は読書による国語教育により、子どもたちの州での統一テストはトップクラスの好成績を収めています。その教育の考え方、そして、読書推進の方法を記したこの本は日本でも読まれ、実践されるべきだと考えます。

  アメリカでも、日本と同じように、授業はテストで評価するために位置付けられて行われており、子どもたちは受け身で学んでいます。ミラー先生は、「教室を読書のワークショップ」会場にして、子どもたちに主体性を持たせ、課題図書を読むのではなく、自分で選んだ本を読み、感想を述べ合います。ミラー先生は子どもたちのサーバントになり、本の情報源になったり、子どもたちの読書ライフをサポートする役割を担っています。1年間で40冊の読書をしよう!という運動は、子どもたちの読書量を増やし、国語力の向上につながっています。

   特に、注目すべきは、

①子どもの興味を優先し、どんなジャンルの本でもかまわないこと
②何を読み、何を読みたいか、そして、本の日記を書く「読書ノート」を活用していること
③読書好きにさせるために、大人が見習うべき読書人としてロールモデルになること

を口酸っぱく語っています。

 先生のもとには、卒業生が悩みを抱えて相談に来ても、「この本を読んだら解決するよ!」と、本の世界へ再び誘う、本当に素敵な先生です。

『子どもが「読書」に夢中になる魔法の授業』(ドナリン・ミラー著、高橋 璃子訳、高濱正伸解説、かんき出版、本体価格1,400円) 

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