あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

百歳の力

2015-04-29 16:15:09 | 

   幻冬舎から『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』が出版され、また脚光を浴びていらっしゃる篠田桃紅氏。墨による抽象画が新しい領域を拓き、外貨準備もない1956年にアメリカ・ボストンのギャラリーの展覧会の招きで渡米、2年間アメリカに暮らし、多くの出会いが必然を招き、世界的に高い評価を得るに至った、現役の美術家です。本書を読めば、彼女は只者ではないと理解いただけると思います。それは、

 「常識の世界に暮らさなかった」

 「一貫して(自分に)正直でいた」

 「自分に依るほかないから、人と異なるものを、なんとか一つ持って生きていこう」

など、女性にとっては、生まれては父母に従い、嫁いでは主人に従い、そしては老いては子に従う、「三従の道」が真っ当な生き方の時代に、「自分に依って生きる」道を歩まれました。全くの「非属」の人です。だからこそ、

 「自由な気持ちで、さまざまなものと接する。何かにとらわれて、その範囲でやっていると、いいものまで見えなくなってしまう。自由な視点を持っている、つねに持ち続ける。」

姿勢を崩されない。禅僧のような視点でクリエイトしていくことは我々も参考にしなければなりません。

『百歳の力』(篠田桃紅著、集英社新書、本体価格700円)  

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どうせ死ぬのになぜ生きるのか

2015-04-23 15:44:25 | 

 仏教の教えが何であるか?色々な書籍に目を通しましたが、本書を読んでやっと理解を深めることが出来ました。

 著者の精神科医・名越康文氏は「どうせ死ぬのになぜ生きるのか」という問いに、子どもの頃から40年近く答えが出せないまま、仏教に実践レベルでの教えを得られました。

 仏教の教えの実践の大きな目標は、

 「後悔と不安をつくる自意識を、静かで落ち着いた穏やかな状態にする」

ことにあります。人間は過去への後悔と、未来への恐れや不安に苛まれ、三毒である「貧(欲深さ)」「瞋(怒り)」「痴(無知)」に陥ります。特に、怒りを静めることが大切であり、そのためには、自分の怒りを観察し、「行」をすることが必要です。「行」と言っても、アイロンをかけたり、掃除をしたり、そのことに夢中になるほど真剣にすることで行になります。

 さらに、無知は、仏教の教える法である「無常」を知らないことです。世の中の物事はすべてひと時も留まることなく変わり続けることを知らぬままに、こだわり、とらわれ、物事を正しく観ることが出来なくなります。これも行を通して、到達できます。行の中で最重要なものが「瞑想」になります。

 このように自分を律することができても、仏教における「悟り」には至りません。大乗仏教での「悟り」は「方便」で完成します。「方便」とは

 「迷いから目覚めようとする心を出発点として、生きとし生けるものすべてへの慈悲にもとづき、具体的な実践をする」

ことで、人や物、自然への親切、貢献になります。自分を高め、他利に行動することこそが仏教の悟りの境地であれば、在家でも十分に帰依できます。

『どうせ死ぬのになぜ生きるのか 晴れやかな日々を送るための仏教心理学講義』( 名越康文著、PHP新書、本体価格780円)

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ありがとう大臣とポストの神様

2015-04-21 17:00:17 | 

  「ありがとう」の思い、そして、言葉の大切さは年齢を重ねると共に腑に落ちるようになりますね。自分一人では生きていけないことへの理解、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざの通り、謙虚さや素直さは人間関係においての重要性は身に染みてわかります。

 「ありがとう」の反対語は「当たり前」です。「謙虚」に対する「尊大」と同じですね。例えば、家で母親が家事としてやってくれる炊事、洗濯、掃除などは、母親の役目だから「当たり前」と思っているのと、「いつもいつも本当にありがとう」と感謝の思いを応えるのでは雲泥の差です。

 このことを簡単に教えてくれるのが本書です。読み進むにつれて、反省然りです。

 さらに、「ありがとう」を伝えるツールとして最大の効果を示すのが「ハガキ」「手紙」です。電話やメールの方が簡単ですが、相手のことを想像し、言葉を紡ぐ時間を要し、紙として相手に残るものの方が価値が高い。便利になればなるほど、「手」と「心」をかけたものにこそ「感動」が生まれるはずです。私もハガキ書きの弟子になり、できるだけ毎日書きたいと思います。

『ありがとう大臣とポストの神様』(阿川龍翔著、文屋、本体価格1,200円)

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ライフレシピ

2015-04-20 17:44:54 | 

  今、フランス人の本が人気ですね。『フランス人は10着しか服を持たない パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣』(ジェニファー・L・スコット著、大和書房)が54万部を超えたとか、講談社や幻冬舎からの著作がある ドミニック・ローホーさんも人気です。

 今回紹介する、『ライフレシピ Recettes de Vie フランス流「シンプルで豊かな暮らし」を手に入れる30のレッスン』の著者ジュリアン・パトリスさんは日本にビストロブームや「ル・クルーズズ等を紹介した、ライフスタイルデザイナー。この本もシンプル・イズ・ベストの香りが漂っています。

 彼の哲学は極めて理解しやすい。

 「いまいる場所、いまあるものをは、すべて自分の過去の“チョイス”の結果だし、全部が“自分の責任”なのだ。」

 そのためにも、「自分を常にセンターに置く」ことを主張しています。また、いまいる場を高めるために、「自然の秩序に逆らわない」「正しい調和を保つ」「その精神をキープする」「その場所をすっきりと片付けておく」など、タオ(老子)や禅の教えに近い。シンプルを目指すと、行きつくところは洋の東西に関係ないのでしょうね。

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女性自身に掲載されました。

2015-04-15 16:52:09 | お店

 昨日、4月14日発売の週刊女性自身4月28日号の

 特集『全国 街を面白くする!書店47巡り』

で井戸書店が掲載されました。96ページの3分の2のスペースに、当店の取り組みがコンパクトに書かれています。是非ご覧ください!

 なお、女性自身読者におすすめ書籍を1冊推薦してくださいというお願いに対して

 『クラウディアの祈り』 村尾靖子著、ポプラ社、本体価格1,400円)

を押しています。

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世界一かんたんに奇跡を体験する 潜在意識の授業

2015-04-13 16:08:56 | 

 「潜在意識」ってよく聞くけど、理解できないなぁと思っていた時に目に入ったのが本書。「世界一かんたん」と言う通り、わかりやすい!

 著者の山田浩典さんが京セラ在籍時に学んだ【稲盛和夫経営12か条~京セラ・フィロソフィー】に書かれていた、

 「強烈な願望を心に抱く 潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと」

を、セラミック産業機械部品開発営業でセラミック製の包丁を開発しているときに印象付けられました。開発がおぼつかない時点で、稲盛社長からの檄が

 「包丁が出来た場面を思い描け、繰り返し、繰り返し、繰り返し、強く思え!」

でした。ほどなく、ジルコニアという新素材ができたおかげで、セラミック包丁は開発でき、「強烈な願望を心に抱く」ことを体験されました。この実体験から、潜在意識を実験によって理解しやすく説明されています。実験の内容に関しては本書に譲り、言葉で以下に説明します。

 顕在意識は自分で意識できる意識、表面意識と呼ばれ、自分の身体、肉体を守るために存在します。

 それに対して、潜在意識は、自分で意識できない意識、無意識とも呼ばれ、自分の命を守るために存在しています。

 夢や願望を強く想うことによって、顕在意識の召使の潜在意識の扉を開くと、潜在意識は主人の頭にあるイメージに反応し、それが実現するように、人間がこの世に誕生して以来、命を守り生き残るために繰り返し行ってきた行動をエッセンス化し、分類し、集合化した「集合的無意識」まで動かしていきます。

 実際、夢をかなえるメカニズムは

 「夢を明確に完了形で大断定して紙に書き、感謝の言葉を後に加え、腹式呼吸法によって、潜在意識と顕在意識の境を無くした状態で、その夢を毎日、言葉を発してイメージする」

としています。念ずれば叶うということですね。言語で説明するだけでなく、実験を実際行うことでより深く理解できると思います。この本を読めて良かったと信じています。

『世界一かんたんに奇跡を体験する潜在意識の授業』(山田浩典著、きこ書房、本体価格1,300円) 

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いま伝えたい!子どもの心を揺るがす“すごい”人たち

2015-04-08 16:39:27 | 

 テレビニュースや新聞の記事にはダーティな意味ばかりの情報が溢れ、同じ人間がこうも悪いことが出来るもんだと思い、企業や団体の代表クラスが「誠に申し訳ございませんでした」と謝るシーンが子どもたちにいい影響を与えるはずはないでしょう。

 九州は宮崎に、みやざき中央新聞というミニコミ紙があります。大手メディアとの差別化のために、事件や事故などのニュースは載せず、政治や経済などにも関知せず、面白い講演会を取材して、その内容を掲載し続けています。素晴らしい人たちと出会うことにより、水谷もりひと編集長は良き社説を書くことができます。“感動の情報”を伝え続ける“魂の編集長”が選んだ“いい話”40編の社説集である本書は、読む人をホッとさせ、伝えられた感動から行動に起こす人を生んでいるでしょう。

 この本で2つのことを学び、納得させられました。

 その一つは「寝る子は育つ」。寝ているときに成長ホルモンの分泌や細胞の新陳代謝が活発に行われています。つまりは、「夜」であるオフにしっかり寝る事が大切です。これを人生のものさしで見ると、オンが勉強や仕事であれば、オフは感動や生きる指針を与えてくれる1冊の本や人との出会いを求めることが重要になります。

 もう一つは仕事観です。まずは食べるために仕事に就く、つまり、「ライスワーク」です。その仕事をやり続けていると仕事が好きになり、「ライクワーク」に変化し、さらには「ライフワーク」に繋がっていきます。そして、仕事を通しての理念の実現は社会や人々をよりよくするので、「ライトワーク」になれば、仕事人生は有意義なものでしょう。

 心を豊かにする社説集は、きっとあなたの背中を後押ししてくれます。

『いま伝えたい!子どもの心を揺るがす “すごい”人たち 魂の編集長が選んだ「教科書に載せたい」新聞の社説』(水谷もりひと著、ごま書房新社、本体価格1300円)

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運のいい人は知っている「宇宙銀行」の使い方

2015-04-06 17:00:20 | Weblog

 2007年3月に出版された、植西 聰著の『宇宙銀行』は当店のロングセラーでした。こんなちっぽけな店で212冊も買っていただきました。この本が文庫化したので、再度ご紹介したいと思います。

 植西 聡氏は成功を手にした人たちの行動習慣や、幸せに生きている人たちの考え方を長年にわたり研究し、「成心学」、すなわち「幸せになるための心の法則」を編み出しました。それを理解しやすいように銀行で表現しています。普通の銀行はお金を預けたり、借りたりし、預けれれば利息が付いてきます。これに対して、想像上のものの「宇宙銀行」を想定して、お金ではなく「徳」を預金することにより、積み立てられた徳が幸せを呼ぶしくみを作りだします。

 それでは、「徳」とは何か? 人が喜ぶことをする、人の役に立つこと、すなわち「他喜力」を発揮することになります。本書ではその預金の積み立て方を初級から上級まで解説しています。自利を優先に考える昨今、他利を先にすることを念頭に置いて行動しましょう!

『運のいい人は知っている「宇宙銀行」の使い方』(植西 聰著、サンマーク文庫、本体価格600円)

 

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THE BOOKS green

2015-04-02 15:50:25 | 

 日本中の書店店主もしくは書店員が、中高生たちへ「この一冊」を紹介するブックガイドです。1年365日、1冊ずつのオススメ本が本の世界の扉を開けてくれることでしょう。私にも依頼があったので、1冊紹介させていただきました。

 『発動せよ!変人(かぶきもの)感性』(小阪裕司著、ぼくら社、本体価格1,800円)は、若者に自信を付与する本です。日本の子どもは、「同調圧力」を過剰に受け、「協調性を持て」「空気を読め」と言われ続け、異端になれない環境に置かれています。既存の価値観だけが大手を振って闊歩し、効率化の重視一辺倒で、寄り道、みちくさはご法度。しかし、モノが余り、価値観が多様化する中、常識や慣習に囚われない、自由な感性を活かした変人が時代を変えています。そこで小阪さんが掲げた指標は「変差値」です。ものごとの本質を徹底的に考え、抽象的な概念を練り上げ、実行に移す、変人を目指そうと訴えています。みんな違って、みんないい!

 昨年の6月に紹介しています。そのページは下記の通りです。

http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/6d053b7410dfd07d320905c862a34da0

『THE BOOKS green
365人の本屋さんが中高生に心から推す「この一冊」』(ミシマ社、本体価格1,500円)

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