『幸福学』という学問の範疇が心理学や経済学、社会学から生まれています。心理学においてもどちらかと言えば、ネガティブな心理を研究していましたが、ポジティブな心理学こそが人が生きていく上で大切なこと、また、グローバル経済下においても人が幸せに暮していく上でいかに考えていけばよいか、そして、人間関係の構築次第で幸福感が変わることなどの研究結果が新しい領域を拓いています。
本書は、NHK「幸福学」白熱教室の内容を書籍化したものですが、「幸せのレシピ」を解き明かしてくれます。それは、
「人との交わり(social)・親切(kind)・ここにいること(present)」
の3つが大切な条件になります。つまり、「人との結びつきの強さ」、「人への親切な行動と人やモノへの感謝」、「目の前のことに集中する」ことが大前提になります。
その上で、幸せになるための収入金額やお金の使い方、仕事と仕事の関係、挫折や逆境からの立ち直り方、そして、最後に人間関係の築き方と幸せの相関について、多くの知見をもとに書かれています。読めば想定と違うと思いますが、これでこそ人間なんだと感じること必至です。
本書に合わせて、『幸せのメカニズム』(前野隆司著、講談社現代新書、本体価格800円)、『ごきげんな人は10年長生きできる ポジティブ心理学入門』(坪田一男著、文春新書、本体価格720円)、『幸運と不運には法則がある』(宮永博史著、講談社+α新書、本体価格933円)も併せて読んで頂けると、「幸福学」は深まります。
『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』(NHK「幸福学」白熱教室制作班、エリザベス・ダン、ロバート・ビスワス=ディーナー共著、KADOKAWA,本体価格1,500円)