奈良で有名なお坊さんと言えば、薬師寺の高田好胤さん。生前にはテレビにも多く出演されていました。その高田好胤さんにスカウトされた、東京都江東区、浄土宗重願寺の次男坊だった大谷徹奘・薬師寺副執事長は年間400回の講演を全国で行われておられます。その「心の授業」を活字化した書籍は、仏の道に従った、幸せへの道筋を著しています。
お寺での教科書であるお経には「人生の歩き方」が説かれています。幸せの定義は
「身心安楽(しんじんあんらく)」
と述べられています。「身」には五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)があり、それらは外の刺激に反応します。その反応の仕方はもっと欲しいという欲望であったり、他と比較して自分には不足しているという気持ちを抱いてしまします。しかしながら、これでは「心」が落ち着かず、自分の精神の世界を静めるには
「与えられたものを受け止める心」「いまここに満足する心」
を持てば良い。そうすれば、身も心も安らかに、楽になるわけです。
幸福感を持てるには自分の人間関係が良好であれば問題はありませんが、個々に価値観が違うためになかなか納得できる関係を築けません。そこでお経から導き出した平和の言葉が、書名にもなっている
「よっぽどの縁」
です。「歓宿縁」(宿っている縁を歓べ)や「百千万劫難遭遇」(ありえないような出会い)という経文から、どんなに嫌な人間との関係も引き受けろという教えに只々平伏すしかありません。そのためにも、「自分で自分の心に目覚める」という「自覚悟」の悟りを持つことが大切になります。非常にシンプルな幸福へのステップを、我々も踏んでいきましょう!
『よっぽどの縁ですね 』(大谷徹奘著、小学館、本体価格1,204円)