中国思想は難解なものが多いですね。しかし、ハーバード大学での東洋思想講座での講義内容の本書は、孔子、孟子、老子、荘子、荀子の教えを的確に解説してくれています。
例えば、孔子の論語は、生きていく上での各場面ごとに行う、「〈かのように〉の礼を通じて、まわりの人に親切にする術を感じとる能力」、つまり、「仁」、思いやりを醸成していくことがその根幹であることを教えてくれています。「礼」という型にはめることを嫌う人も多いでしょうが、「礼」を「守破離」のスタンスで応用すれば、「仁」が滲み出す人格形成がなされます。
また、荘氏の「物化」では、様々な物や生き物からの視点を自らに取り入れることにより、視野狭窄を打破し、「真の想像力と創造力を育てる心の状態が得られ」、理性からの解放と自発性の発揮に結びつきます。「広がりのある〈かのように〉の世界へとわたしたちをいざない、想像力をひらいてくれる」ためには、「流されるな、流れろ」という状態になることを求めています。
日本の禅も含めて、混迷の世界の課題の解決のヒントは東洋思想にあると思います。
『ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義』(マイケル・ピュエット、クリスティーン・グロス=ロー著、早川文庫、本体価格700円)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます