島原半島博物日誌

島原にある某施設のスタッフが綴る非公認・非公式の個人ブログです。

さばくさらかし岩

2015-01-23 11:28:38 | 民話・伝承
島原半島のものではありません。
先日の連休中時津に帰っており、撮影してきました。
長崎県時津町の文化財です。
ネットサーフィンをしていると、奇岩百景なるものを見つけました。
どうやら日本の奇岩を百個募集しており、現在は63個認定され、中には天草のおっぱい岩などもあった。
「これは面白いな」と思い、島原半島ジオパークにも幾つかの奇岩はあるものの、とりあえず私の地元にある超有名な岩を推薦することにした。
それが「さばくさらかし岩」です。
何故この岩が有名かというと、アニメ「まんが日本昔ばなし」に取り上げられたことがあります。
その時のタイトルは「さばくされ石」になっていますが。
「くさらかし」っていうのは長崎の方言なのかな?
うすうす気付いておられるかも知れませんが、“鯖をくさらせた岩”が語源です。
(以下、まんが日本昔ばなしより)
昔々、時津の浜の近くの村に、権助という怠け者の百姓が住んでいました。
時津の浜では年に一度だけ、百姓が海に出て漁をして良い日が決められていました。
代わりに山の畑には漁師が入り、野良仕事を楽しむことが出来るのでした。
この日、皆が楽しんでいるのを見て、権助も漁に出てみると、思いがけず鯖がたくさん獲れました。
権助は獲れた鯖を皆に分けることをせず、時津街道を通って長崎の町まで売りに行くことにしました。
権助が時津街道の山道を登って行くと、右手の斜面に大きな岩があって、その岩の上にもう一つ大きな岩が乗っかっている所にさしかかりました。
岩はぐらぐらと揺れて、今にも落ちてきそうです。
権助は途方に暮れて、行こうか戻ろうか何度も迷っているうちに、とうとう日が暮れてしまいました。
すると、権助が背負った籠の中からプ~ンと嫌な匂いが漂ってきました。
鯖は足が早い(腐りやすい)魚なので、籠の中の鯖は全部腐ってしまっていたのです。
権助ががっかりしていると、通りがかった村人が「この岩はぐらぐら揺れても決して落ちることはないんじゃ。このことを知らなかったのは、怠け者のお前だけじゃ。」と笑いました。

長崎市内から時津町へ向かう国道206号線から見ることができます。
車を運転していると、丁度正面に見えます。
赤い矢印の下です。
長崎バスの継石バス停のすぐ上にあります。
岩の真下にお菓子屋さんがあったのですが、ずいぶん前から営業していないようでした。

正式名称は「継石坊主」と言いますが、多分地元では伝わりません。
「さばくさらかし岩」じゃないと地元の人には分かってもらえないと思います。
一応行政の方で、安全のために固定しています。
ただし、ロマンを壊さないように公表はしていないそうです。
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