カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風4号は南西諸島近海へ 本州は広範囲に大雨の恐れ

2010-08-09 09:49:56 | インポート

①8月9日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月9日6時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③8月9日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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昨日8月8日夜に 南西諸島の南海上で台風4号が発生し、8月9日6時現在、南西諸島近海を北へ進んでいます。

台風が本州の南海上に顔を出すようになると、台風からのうねりもさることながら、台風の外縁を廻るようにして、南海上から本州には暖湿流(大雨の原動力となりますね。)が流れ込んできやすくなります。

引用図②より、南西諸島近海では台風を示す 半時計廻りの気流の流れとなっており、関東以西の太平洋側では、下層(上空1000m付近)で、東海道沿岸で風向が疎らとなっているものの、おおむね南よりの風向となっており、特に九州には南東風となって強めに吹いています。暖湿流が本州へ大量に流れ込んできていることを示すものですね。

引用図③より、8月9日6時の水蒸気画像より、南西諸島近海の台風4号がありますが、この台風4号の東側では、白くぼやけたように見える画像が、関東以西の太平洋側にかかっており、暖湿流の流れ込んでいる様子を表していますが、特に、a:四国から九州にかけて と b:東北から関東・中部地方にかけてはひときわ白く輝く雲の集団が見られます。これらの地域に暖湿流が特に集中して流れ込んで、雨雲が非常に発達している訳です。

前記bの雲の集団は、渦を巻いているように見えますが、この地域の上空5500m付近に寒冷渦があり、下層には、当該寒冷渦の前面に向かって南から流れ込む暖湿流が流れ込んでいるためですね。

暖湿流が流れ込んでいる場合 下層では

Ⅰ:海風前線や日中、地形的に気流が収束している箇所や地表付近で気流が収束氏やしている箇所がある場合。

Ⅱ:地形的に山の斜面にあたる地域のみならず、地形の鞍部となっている箇所に平行に気流が流れ込んでくる場合

以上、Ⅰ.Ⅱの条件を満たす地域では、暖湿流同士が収束して、大雨をもたらしやすくなるものです。とりわけ、Ⅰ、Ⅱの条件が同じ地域で長時間持続する場合、雨量が特に多くなりますから、充分な注意が必要です!

丁度、昨年の今日 平成21年8月9日の夜から8月10日未明にかけて、兵庫県作用町周辺で、局地的に記録的な豪雨に見舞われて、大きな被害を出しましたが、この豪雨も、前記した、下層の暖湿流同士が地底的に収束して、当該収束が長時間持続したことが大きな要因として挙げられます。