カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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福島県浜通りで震度5弱

2010-03-14 20:08:24 | インポート

14日17時08分発生の地震の震央と各地震度分布図(東北地方中心)です。気象庁HPより引用。

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3月14日17時08分頃東北地方中心に強い地震がありました。

震源地は福島県沖 ( 北緯37.7度、東経141.9度)で震源の深さは約40km、地震の規模(マグニチュード)は6.6と推定されます。

この地震で、福島県浜通り地方にある、楢葉町北田では震度5弱を、そして、岩手県、宮城県、福島県、栃木県の広範囲で震度4を観測しました。14日19時現在、地震の影響で、山形新幹線が福島~米沢間 JR常磐線が、福島県~宮城県内一部で、鉄道施設や架線等の安全確認のため運転見合わせとなっていますし、首都圏でも、京浜急行や京成電鉄では、一時的に列車の運行がストップしました。

今回の地震は、東北地方が載っている北米プレートの下に沈みこむ太平洋プレートの境界付近で発生した地震であると推定されます。

今回の地震起きた地域では、昨日から地震が多発しています。また、来るべき宮城県沖地震の想定震源域の南端にも位置していますね。今後の地震活動の推移には充分な注意が必要ではないでしょうか。

幸いに、この地震で、目だった被害は発生していない様子ですが。


発達した低気圧関東沖を北東へ 仙台で24時間に25㎝降雪 全国的に天気荒れる 降雪時は雪質にも注意し

2010-03-10 12:54:50 | インポート

①3月10日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月10日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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9日に低気圧が発達しながら本州の南岸を東北東へ進み、10日未明に、関東沖に出て北東へ向きを変えて、更に発達しています。

このため、昨夜から関東甲信地方内陸部や東北太平洋側では大雪となり、所によっては24時間に40cmを超えた箇所もあり、10日9時までの24時間に、仙台で25cmを観測したほか、埼玉県秩父や、栃木県奥日光、そして、山梨県河口湖や長野県軽井沢では20cm以上の雪が新たに積もりました。

本ブログの昨日の記事で、低気圧の周辺の等圧線の走向や低気圧の等圧線の形に注目するべき!!と言いましたが、引用図①より、この低気圧の進行方向東~南東側には、高気圧が大きく張り出しています。このような場合、当該低気圧の温暖前線の北側でも、暖湿流が流れ込んで降水量がまとまる訳です。引用図②より、このことを裏つけるものとして、低気圧の中心の北~南東側に、ひときわ白く輝いた、発達した雲が広範囲に広がっていることが判りますよね。

また、このような場合、降雪になると、暖湿流が流れ込んでいるため、降る雪の性質は、水分を帯びた、湿り雪となってしまいます。

湿り雪は、雪としての比重が重く、電線や樹木等につくと、断線や樹木の倒木、更に、送電線の倒壊などを引き起こしやすくなります。風速が強いほど、その傾向は一層顕著になります。まったく、厄介なものです。

今後、大雪の範囲は、東北地方太平洋側から北海道の太平洋側へと広がりますが、風速も強いゆえ、電線断線や樹木の倒木、更に、送電線の倒壊などにも注意をされるべき!!ですね。

一方、引用図③より、日本海西部から東シナ海には寒気吹出しに伴う筋状雲がびっしりと現れて、日本海西部から山陰地方には帯状雲もかかっていますね。これは、この方面の上空に強い寒気が流れ込んできている証拠!本州の日本海側では、西から寒気吹出しに伴う大雪にも注意が必要ですね!!


低気圧発達しながら本州南岸を移動 各地で大荒れの天気 低気圧の素性を見極めることが大事です!!

2010-03-09 22:58:01 | インポート

①3月9日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月9日9時の気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③3月9日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④3月10日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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3月9日は、低気圧が発達しながら本州の南岸を東北東へ移動してきました。

低気圧が本州付近に接近してくる時は、その低気圧はどういう素性(癖)があるのか?各種専門図や雲画像図等を駆使して、見極めることが大切と私は思いますね。

その低気圧が、発達するのか?大雨(大雪)を降らせるのか?強風をもたらすか?などなど ですよね。

さしあたって、今回の低気圧、引用図②③より、

Ⅰ:500hpaの正渦度極大域が、低気圧の西側にあり、この低気圧との渦管が西方向へ傾いている

Ⅱ:低気圧の中心の進行方向前側方向では上空3000メートル付近の上昇流が顕著であるか、進行方向後面では、逆に下降流が顕著である。

Ⅲ:雲画像を見ると、低気圧の中心付近から北東方向へ大きく お椀をかぶせた形(⌒型)に白く輝く雲が広がっていること・・・・・低気圧の中心付近で暖湿流が大量に上昇して、上空にて雲を形成した結果ですね。

以上、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲより、この低気圧は、間違いなく発達すると見られるでしょう。

このほか、低気圧や低気圧周辺の等圧線の走向・形にも注目!!です。

当該低気圧の進行方向前面で等圧線が ハ の字型になっていたり、高気圧が東~南東方向から張り出している場合は要注意! 当該低気圧に伴う温暖前線の寒気側でも、結構、暖湿流が流れ込みやすく、降水量が多くなります。関東以西の太平洋沿岸部では、件の 沿岸前線が発生・発達し易くなるのはこのパターンであり、当該沿岸前線付近で、局地的大雨や、竜巻、突風等のシビアーが現象を発生させることも多いものですね。

更に、低気圧自体を表現する等圧線の形が、東西方向に楕円状にならず、南北方向に楕円状になっていたり、ほぼ円形上になっている場合は、当該低気圧の中心の上空には寒気を伴っていることが多く、下層には暖湿流が流れ込んで、降水が多くなる傾向にあります。

9日も、関東以西の各地では、まとまった降水(内陸部では大雪)、沿岸部ではあちこちで瞬間で25mを超す強風に舞われました。10日は北日本の太平洋側を中心に大雪、また、全国的に強風が吹き荒れる予想です。今後の気象情報にはくれぐれもご注意を!!


今回のチリ地震津波の総括

2010-03-02 12:31:50 | インポート

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※引用図は3月1日10時33分気象庁発表の、2月28日の津波の全国各地の波高分布図です。気象庁HPより引用

南米チリ沖から、まる1日かけて、3月1日、日本各地にも津波が押し寄せてきました。

ただ、今回のチリの巨大地震は、震源の深さが60㎞と幾分深かったので、津波発生のエネルギーも幾分抑制されたように思いますね。

それでも、一時、青森県太平洋沿岸、岩手県太平洋沿岸、宮城県には、大津波警報(最大で3m以上の津波が予想)が出されましたが、岩手県久慈港と高知県須崎港で1m20cm、宮城県仙台港と鹿児島県志布志港で1・1mを観測したほか、北海道から沖縄までの太平洋沿岸の広範囲で、波高70センチ以上となりました。

一口に、波高50センチの津波といっても、水深30cm程度の海面で成人男性が受けると、立ってられず流されてしまいます。また、東北地方太平洋沿岸各地では、家屋の浸水や、漁業施設の損壊等多発しています。幸いに人的被害が無かったものの、今回の津波の破壊力たるもの、なかなかなものであったと言えそうですね。

私自身、本ブログで、津波は通常の海上の波と比較すると、波長が極めて長く、波自体のエネルギーは大きく、局地性が極めて強いと紹介しました。津波が移動する方向の海底や海岸の地形的特性に敏感に反応し、波が屈折して、波同士収束したりして、局地的には、津波の波高が相当高まるものです。

よく、各メデイアで紹介される津波の波高は、限られた地点での験潮所や検潮所で測定するもの。験潮所や検潮所は、海面潮汐を測定するものであり、津波の波高を正確に測定できません。実際の波高より低めに測定されると考えて間違いありません。

このような津波の特性や、津波観測の特性や問題点はあまり知られていませんよね。今回の津波は、それほど被害が甚大ではなかったことは幸いです。が、この点、津波防災上の今後の課題といえそうです。

最後に、今回の津波について、気象庁や政府危機管理室の対応を、「騒ぎすぎた。いたずらにパニックになっている」などとの記載をしている新聞がありました。如何なものでしょうか?不適切な表現ですよね。反省していただきたいものです。