カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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低気圧が発達しながら本州南岸を西から東へ 東北以西は大雨に注意!

2009-04-14 23:11:26 | インポート

①4月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月14日9時の気象庁発表AUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用

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③4月15日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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このところ、乾いた晴天が各地で続いていましたが、4月14日は、低気圧が発達しながら西日本の太平洋側に進んできました。

各地に待望のお湿りか?と言うところですが、お湿り通り過ぎて、4月15日にかけて、東北以西では、太平洋側を中心に、大雨となる所もありそうですね。

まず、引用図①をご覧ください。四国沖に低気圧がありますが、この低気圧、引用図①と引用図②(下側図)を見比べると、本州南海上から、上空1500m付近で気温が12℃以上、湿数が2以下(相当温位に換算すると、320K以上と、この時期にしては大変暖かく湿っています。)の気流が、南東風と南西とになって双方四国沖で合流し、当該合流地域付近で低気圧(引用図①より)が解析されています。こう言う、暖湿流が合流している地域は、雨雲がとりわけ発達しやすく、大雨となる危険性が高い地域と言えます。

このような、大雨の危険性が強い地域に解析されている低気圧が、引用図①③より、これから、発達しながら本州南岸を北東へと移動し、4月15日9時には、三陸沿岸に進む予想ですから、当該低気圧の進路に当たる、東北地方太平洋側から関東地方沿岸、東海地方や近畿地方南部では、大雨となり危険性が強いと言えるわけですね。低地浸水や山がけ崩れ、また、積雪の多い地域では、なだれに注意が必要です。

さらに、低気圧が発達することから、低気圧通過時をピークにして、強風や海上の高波にも気をつけましょう!

※ちなみに、引用図②下側図より、引用図①より、四国沖の低気圧の北西から西側でも、上空1500m」付近では等温度線が混んでいますね。このような箇所は、上空1500m付近で前線としての体裁を整えていて、雨雲が発達しやすい場所であり、地形的に地表付近で気流が収束しやすい、山陰沖や若狭湾沖に低気圧としてまとまりやすく、紀伊水道から大阪湾周辺でも局地的に強い雨が降りやすいものです。現に14日夕方、当該地域に強い雨が降りました。


本州の高温続く 東京では本年初夏日26・1℃

2009-04-11 23:50:45 | インポート

①4月11日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月11日9時の気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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本州各地で晴れて気温の高い状態が続いていますが、4月11日は、最高気温が、三重県の亀山では29・9℃と、真夏日寸前まで上がったのを初め、関東甲信越地方では、山梨県勝沼で29・1℃、群馬県館林で28・9℃を観測したほか、東京(気象庁のある千代田区大手町)でも、26・1℃の最高気温となり、本年初の夏日(最高気温が25℃以上となった日)を観測しました。

引用図①より、日本海北部に高気圧があり、一見、関東地方から見ると、件の 北東気流が流れ込みそうに思いますが、引用図②の下側図より、上空1500m付近で、日本海西部では時計回りの風の流れ(高気圧性循環と言います。)となっているのが判ります。他、引用図②の上側図より、上空3000m付近では、本州中部では、下降流が卓越していますめ。

そうです。地上天気図で高気圧が表現されていなくても、日本海西部に高気圧が隠されており、その隠された高気圧が東北地方から近畿地方にかけて広く覆ったと言え、本州各地で晴天となったわけです。更に、本州中部上空では下降流が卓越して、上空1500m付近で9℃以上と気温が上がったため、今回の高温となったわけです。

更に、東京のⅠ・前日4月10日9時から14時と Ⅱ・本日4月11日9時から14時までの気温と風向風速のデータを比較して見ましょう。

Ⅰ・ 4月10日・・・・・最高気温23・9℃                      

9時 20.1℃ 南南東 3 m           
10時 21.2℃  南南東 3m
11時 22.2℃  南 4m
12時 22.6℃  南南東 5m 
13時 22.4℃  南南東 6m
14時 21.9℃ 南南東 6m

Ⅱ・ 4月11日・・・・・最高気温26・1℃

9時 19.3℃ 北北西 2 m
10時 22.7℃  北東 3m
11時 23.5℃  北東2m
12時 25.0℃  北東 3m 
13時 25.2℃  南東 4m
14時 24.9℃ 南南東 6m

前日4月10日は9時で既に20℃を超えていますが、風向が南南東と、東京湾方面からの海風が吹き込んでおり、14時まで風向は南から南南東と風速は3mから6mとなっていて、海風が卓越している様子が判ります。

対して、4月11日ですが、9時の気温は10日より1℃近く低くなっていますが、風向は北北西と海風は吹き込んでおらず、12時まで風向は北東で推移し、風速も3m以下と弱目となっています。

これは、我々が天気図(地上天気図)上で表現される気流のスケールが北から北東であったため、通常、9時以降、日中、東京湾から都心部へ吹き込むはずの海風が、力学的(語弊ある表現かもしれませんが)に抑制された結果であると思われます。

実は、沿岸部では、海陸風が卓越して、日中、海風が吹きこむことは、気温の上昇度合いが抑制される働きをするものなのですね。海陸風が発達しやすい関東平野の沿岸部の地域はなおのことです。

このため、4月11日は、東京では気温がすんなりと上昇して、本年初の夏日を観測したと言うことです。

4月11日のように、上空1500m付近の気温が上がり、地表でも昇温が予想される際には、日中、地表の風向はどうなるか?気を配ることは、これからの時期、高温対策には重要なことであると私は思います。沿岸部では、日中、陸から海に向かって風が吹いている場合は、気温は上昇すると考えてください!


本州付近を帯状高気圧覆う 所々で初夏の陽気 帯状高気圧ってどんな構造?

2009-04-09 23:43:37 | インポート

①4月9日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月9日9時気象庁発表 AXFE578図(日本付近の ※上側図・・・・・上空5500m付近の等高度線と渦度分布図 下側図・・・・・上空3000m付近の鉛直方向気流動向図 と上空1500m付近の気温と風向風速分布図) 日本気象予報士会HPより引用

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4月9日は、本州付近を高気圧が東西に渡って帯状に覆い(帯状高気圧)、本州の所々で初夏を思わせる陽気となった箇所もありました。

日中の最高気温は、広島県の加計で26・9℃、三重県亀山で26・8℃、群馬県館林で26・2℃を観測しています。

春真っ盛りのこの時期、本日のように、本州付近を帯状高気圧が覆うことがたびたび発生しますが、

この、帯状高気圧(高気圧が東西に帯状に覆う状態)の際には、

本州付近では

●上空10000m付近の強風軸(ジェット気流)が本州の北と本州の南に2本あり、本州の東海上でおのおのの強風軸が合流している状態で発生します。

その際に

Ⅰ・上空10000m付近のジェット気流は、北側のはチベット高原を迂回している状態で、本州付近上空~中国大陸上空で風速が周囲よりも比較的弱めとなっており、

その結果

Ⅱ・帯状高気圧の位置する箇所の上空3000m付近で下降流が顕著になっていて、上空1500m付近の気温が周囲より高温となっているものです。

さらに、

Ⅲ・帯状高気圧に覆われている時間が長いほど、上空1500m付近の気温は上昇し(つまり地表付近も気温が上昇することになります。)、地表付近でもより高温となる。

以上3点の特徴があります。

引用図②の上側図より、本州付近上空では、等高度線が比較的開いており(風速が弱め)、本州の北と、本州の南海上で等高度線が狭まっている(風速が強め)状態となっており、下側図より、上空3000m付近で下降流が卓越(白地で-表示がある)しており、上空1500m付近では、本州付近上空から中国大陸上空にかけて、気温がおおむね9℃以上と高めになっていますよね。

引用図③より、あす4月10日も、本州付近は帯状高気圧に引き続き覆われて、各地で9日よりも気温が上昇しそうです。

こうなると、左党の私にとっては、これまでの熱燗から、冷酒か冷えたビール。う~ん。これまたたまらないですな!(笑)


寒冷低気圧本州を通過 寒冷低気圧は通過後も気をつけて!

2009-04-01 23:47:26 | インポート

①4月1日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月1日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③4月1日18時のレーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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4月1日は、上空に寒気を伴なった低気圧(寒冷低気圧)が本州(丁度、山陰地方から濃尾平野周辺へと進んだでしょうか)を通過しました。

引用図①②より山陰地方には小さな低気圧があり、この低気圧に伴う雲パターンは、渦を書いている形です。上空に寒気を伴なった低気圧(寒冷低気圧)の典型的なものです。

以前、本ブログで、寒冷低気圧の進行方向の南東方向では、暖湿流が入りやすく、雨雲(雪雲)が発達しやすいと言いましたが、引用図③より、当該低気圧の前側の中部地方や関東地方で雨脚がやや強まっていますね。 1日18時現在、中部地方や近畿地方、中国地方のあちこちで雷を観測しており、東京渋谷でも、1日20時ごろから、夜空に稲妻が走り、ゴロゴロと雷様の大合奏??を耳にしました。

寒冷低気圧と言うもの、通過時に強い雨や雷など、厄介な現象をもたらしますが、通過後も油断がなりません。それは、寒冷低気圧の前面(おもに南東側)で対流が強まって、積乱雲などの対流性雲が発生しやすいことで、強い降水が発生する訳ですが、対流性雲が発達した箇所の隣接部では、その反動で、上空3000m付近では逆に、下降流が卓越するようになるからです。

よって、寒冷低気圧の後面では、件の 山越えおろし風 が強まりやすく、引用図①での山陰地方付近のように、地表付近で局地的に等圧線が混んで入る箇所では、上空3000m付近の強い風が地表付近へ吹き降りて来やすく、局地的に相当な強風に見舞われることも多いものですね。

現に、山陰地方では、1日夜になって各地で風(北~北西風)がだいぶ強まり、鳥取県の湖山では、1日21時29分に、10分間の平均でも17・9m(北北西風)と、台風並みの強い風を観測しています。

④4月2日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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4月2日は、低気圧(この低気圧は引用図①での関東南東海上にあった低気圧が発達したものです。)が三陸沖で台風並みに発達し、引用図①で山陰沖にあった低気圧(寒冷低気圧)は、地上天気図上から姿を消すように見えますが、実は、上空1500m付近より上側では低気圧として残り、東北地方や関東地方など、当該寒冷低気圧の後面に入る予想です。

こうなりますと、東北地方や関東地方中心に強い風(北~北西風、一部で西より風)には充分に注意が必要です!