カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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5日朝 新潟上空でエールフランス機乱気流に 暖気移流と寒気移流との境目は要注意!

2009-03-05 23:49:03 | インポート

①3月5日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月5日9時のAUPQ35図 日本気象予報士会HPより引用

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3月5日午前8時20分ごろパリ発成田行きのエールフランス航空276便ボーイング777-200型機(乗客乗員277人)が新潟空港付近上空を飛行中、乱気流に遭い、客室乗務員2人が負傷したとのこと。2人とも、胸や腰の骨を折る大怪我とのことですね。

同機は成田空港に定刻午前9時05分ですが、定刻より16分早めの、午前8時49分に着陸したとのことです。(エールフランスは確か第一ビル側ですね。先月銚子沖で乱気流に遭ったノースウエスト機と同じく)

今回の乱気流は、晴天乱気流 と呼ばれるものと思われ、積乱雲等が発生して気流が乱れて発生するタイプとは異なるものです。

まず、引用図②の上下両方の図をご覧いただきたいのですが、同機が乱気流に遭ってからすすぐの5日9時の新潟空港上空付近は、上空10000m付近で120ノット以上 上空5500m付近で70ノット以上となっている、帯状に強い風が吹いている部分(特に上空10000m付近のはジェット気流)に入っています、そして、風向に着目しますと、上空10000mと上空5000m双方とも、新潟空港上空付近は西より風ですが、西南西風(暖気移流)と西北西風(寒気移流)とが双方、新潟付近で衝突して、新潟空港付近では西より風となっていることがわかりますね。

上空10000mと上空5500m付近の気流の状態が酷似していますが、同機が乱気流にあった上空7600m付近も上空10000mや上空5500mとほぼ同様な気流の状態であったと推定されますが、暖気移流は気流の層が広がる状態、逆に寒気移流は気流の層が縮まる状態となりますから、それぞれ、暖気移流と寒気移流とが衝突する箇所は水平方向のみならず鉛直方向に回転する気流に流れにもなりますから、気流が至極乱れる状態となるわけです。

このことが、今回の乱気流の発生要因と、私は考えます。

通常、悪天予想図などで、ある程度規模の大きい晴天乱気流は予想表現されますが、今回3月5日の事例は、新潟付近の局地的な範囲で発生した晴天乱気流と思われ、予測が少々難しかったことも事故の一要因ではないでしょうか。

通常 乱気流

Ⅰ・発達した積乱雲の中は当然、当該積乱雲の雲頂から雲頂付近を吹く風向の方向の部分・・・・・積乱雲のかなとこ雲の部分や、雲画像上でお椀をかぶせたように広がる⌒形に分布する雲の部分が要注意です。

Ⅱ・特に、レーダーエコー上で、これから発達途上にあるものは要注意!

と言えますが、晴天乱気流では

Ⅲ気流同士、互いに衝突して強く吹いている部分・・・・・暖気移流と寒気移流とがぶつかり合っている箇所は要注意と言えますね!

今回の3月5日の事例を見ると、当該晴天乱気流の特に強い範囲が比較的狭かったと思われますから、エールフランス機が当該乱気流遭遇箇所上空を通過するとなれば、もうすこし、時間を遅らせて通過したのであれば、事故は防げたかも知れませんよね。