①3月24日12時の天気図 気象庁HPより引用
②3月24日12時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用
③3月24日12時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用
④3月24日9時の茨城県つくば市館野の気温、風向風速鉛直分布図 ワイオミング州立大学HPより引用
⑤3月24日13時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
24日は、前線を伴なった低気圧が本州南岸を東進し、この低気圧や前線に向かって南海上から暖かく湿った気流が流れ込んだため、関東以西の太平洋側の所々で、強い雨が降りました。
関東平野ですが、24日は、関東平野特有の気象現象が現れました。それは、引用図①より、天気図上は関東平野は南東風が吹くと予想されて気温も上昇するはずでしたが、ところが、ところがです。引用図②③より、沿岸部の千葉県の一部で気温が15℃以上となっているものの、関東平野内陸部を中心に広範囲で気温9℃以下の寒々しい状態となっています。そして、南東風が千葉県の一部のみしか吹いておらず、関東平野の大部分では、おおむね風向は北より(と言うか、疎らな箇所もありますよね。)となっています。
実は、こういう現象は、低気圧が本州南海上を東進する際に、低気圧が日中(古すぎくらいまで)関東平野に差し掛かるまでに頻繁に発生するものなのです。
関東平野の東海上、鹿島灘では寒流で、北から南への海流となっています。このため、関東の東海上から南東風が吹きつけると、当該海流の影響で、南東風は関東平野には鹿島灘方面からは東から北東の湿った風として吹き込み、関東平野内陸部では、摩擦の影響をも加わり、気流が澱んでしまいます。また、夜から朝にかけて、関東内陸部の冷え込みがあり、当該澱んだ気流は気温が低下したまま、関東平野内陸部へ滞留するのです。低気圧や前線の接近に伴い、夜間から朝方にかけて降水があれば、降水の蒸発も加わって、関東平野内陸部に滞留する気流は、よりいっそう気温が低下してしまいます。そこに、上空(おおむね1500mより上側ですが)には暖気が流れ込んでいる状態ですから、滞留した冷気はさらに澱み、関東平野内陸部を中心に地表付近の気温を低下させます。
以上が、関東平野に局地的に発生する冷気発生のメカニズムです。関東平野で北東気流時の気温低下も同じ理屈ですね。
よって、この、関東平野に発生する冷気は、地表付近中心に分布し、鉛直方向へは分布しにくく、言ってみれば、背の低いものです。おおむね、上空700mから1000m、せいぜい1500m程度までとなります。引用図④より、24日は、関東平野内陸部に滞留する冷気は上空700m付近までで、上空700m付近を境に風向が変化し、それより下側の北東風から、南東風へと変化しています。※この風向が変化する箇所は気流が乱れているもの(乱気流)で、航空機がこの箇所に入り込んでしまうと、時には強い乱気流で運航に支障をきたす場合もあります。厄介な箇所なんですよね。
この、関東平野内陸部の冷気と、海上から吹きこむ南東風(暖気)との間に、沿岸前線(本ブログで何度も紹介していますよね。)と言う局地的な前線を発生し、当該沿岸前線周辺では雨雲が発達しやすく(引用図⑤をご覧ください。24日も沿岸前線が発生した千葉県内では、日中強い雨が降りました。)、時には沿岸前線上に竜巻や突風も発生します。
また、冬季に関東平野で降雪となる際に、当該沿岸前線を境にして、暖気側では降雨、寒気側では降雪と分かれるものです。
最後に、沿岸前線が関東平野の何処に発生しやすいか?と言えば、それは、千葉県周辺でしょうね。沿岸前線を挟んでの、暖気と寒気の勢力如何で沿岸前線は関東平野の内陸部へ移動しますが、東京多摩東部~埼玉県南東部、茨城県県西地域を結ぶ線上の内陸側にはほとんど発生しません。また、房総半島沿岸部の地表付近の南東(南~南西風向の場合は)の風向で、風速10m以上になると、沿岸前線は内陸部へ移動し、神奈川県沿岸から千葉県北西部周辺にかかるようになります。※房総半島沿岸部で南~南西風向の場合は、沿岸前線はよりいっそう内陸部で発生するようになりますね。
沿岸前線の件、拝読させていただきました。
では、沿岸前線がどういう気圧配置のときに何処に現れるか
今度、機会ありましたら、是非教えてください。
よろしくお願いします。
返答遅れてすみません。
ご指摘の点は、詳細述べると、このコメントスペースだけでは到底足りない内容です。今後、沿岸前線発生が予測される際に、逐次、小出し的に説明はさせていただきますが、まず、沿岸前線(関東地方では)は①関東内陸部に冷気が滞留しやすい状態 のところへ
②南海上からの暖気が入る この2つは満たされる状態時に発生します。
また、関東南岸で南東風が吹き、房総半島の勝浦あたりで風速10m以上(おおむね勝浦上空1500m付近で南東風20ノット以上となれば、沿岸前線は、おおむね、神奈川県南部沿岸~千葉県北西部千葉市付近あたりに発生します。
さらに、本州南岸を低気圧が東進時に、南海上からの暖気の吹き込み勢力が増し、関東南岸上空1500m付近で南西風が入り風速20ノット以上になると、沿岸前線は神奈川県中部から東京都23区東部をへて千葉県北西部東葛地域を通り、茨城県南部あたりに発生するようになりますね。
一番、関東地方の内陸部にかかるバターンですが、低気圧の暖域に入ったが、大気が不安定な場合とか、南海上から張り出す高気圧の縁辺に入って暖湿流が大量に関東地方へ流れ込むパターンの時など、千葉県沖から伊豆諸島北部近海にかけて、上空1500m付近で南西風がおおむね20ノット以上となれば、沿岸前線発生は、東京多摩東部から埼玉県南部から東部、茨城県南西部にかけて発生します。