カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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三陸沖でM7・2地震発生。宮城県内では最大震度5弱。東京ではユサユサと長い揺れ

2011-03-09 23:45:13 | インポート

引用図は3月9日11時45分頃発生した地震の震央と各地震度分布図です。気象庁HPより引用

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3月9日11時45分頃東北地方を中心にかなり強い地震がありました。

震源地は三陸沖 ( 北緯38.3度、東経143.3度、牡鹿半島の東160km付近)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は7.2と推定されます。

この地震で、東北地方の太平洋沿岸には、一時、津波注意報が発表されて、所によっては、50㎝~60㎝程度の津波が観測された地点もありました。

この地震で、宮城県内 栗原市金成 登米市米山町 登米市迫町 宮城美里町木間塚では震度5弱を観測しましたが、目だった被害は発生していない様子です。

この地震は、東北地方が載っている北米プレートの下側に沈み込む、太平洋プレートとの境界部分で発生した、プレート間地震 とみられ、こういうプレート間地震は、来るべき、宮城県沖地震や東海地震などと同じタイプの地震です。

プレート間地震は、地震のエネルギーが、プレートの境界の方向に沿って発散される部分が大ききため、地震の強い揺れも、プレートの境界に沿って分布するようになります。今回の地震は、陸地から160㎞以上も離れていたため、深刻な被害を発生させる揺れとはなりませんでしたが、それでも、北上川沿いの軟弱な地盤上に位置する前記した地点で、震度5弱を観測したわけです。

また、プレート間地震は、比較的長い周期の地震波を発生しやすく、当該長い周期の地震波は、エネルギーが大きく、減衰しにくいために、長時間揺れて、遠方まで揺れが伝わると言う特徴があります。

東京都23区内では、江東区枝川で震度3を観測したほか、殆どの地点で震度2でしたが、周期2秒~5秒の地震波が卓越したため(NHK調べ)、高層ビルなどでは、ビル自体の固有周期(簡単に言えば、ビル自体に外力を加えた場合、ビル自体が揺れる周期と言えます。)と合い、共振現象を発生させて、ビル自体、かなりの揺れが生じました。都庁内など、数分にわたって、ユサユサと大きな揺れに見舞われ、庁内エレベーターも一時停止したほどです。

建物の回数と固有周期との関係ですが、建物の回数をNとすると、当該建物の固有周期をTとは

15階以下→T=0・054N

15階を超える回数のもの→T=0・79N (鹿島出版会、地震でも倒れない家具の止め方 より引用)

の関係があります。

東京23区内では前記したように、周期2秒~5秒の地震波が卓越したとのことでしたから、前記関係式より、今回の地震では、階数20階以上の超高層建造物が共振現象が大きくなったと言えます。

こういう、長周期の地震について、我国では、あまり対策が講じられていないように思われますが、東京や横浜、名古屋、大阪と言った大都市部を中心に、超高層建造物が林立し、益々増加しつつあります。一刻も早く、長周期地震に対する対策が望まれます。