カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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20日、広島市内北部で記録的な集中豪雨 その実態は?

2014-08-21 01:56:02 | インポート

?8月20日3時の天気図 気象庁HPより引用

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引用図時刻頃、広島県広島市内北部の安佐北区や安佐南区の一部で記録的な豪雨が発生、安佐北区の三入では、3時までの3時間に217・5㍉、3時間雨量の最高では257㍉ 意時間雨量では101㍉もの記録的な降水量を観測しています。

ただ、広島県内各地の24時間降水量では、三入から直線距離で10㌔南の広島市中区では、78・7㍉ 南東に30㌔離れた呉では、わずか1㍉と、典型的な集中豪雨ということになりました。

この記録的 かつ 典型的な今回の集中豪雨、私見ですが、Ⅰ:暖湿流の地形的鞍部での収束とⅡ:上空3000m付近の上昇流域 とが合流し、局地的に雨雲を非常に発達させしめた ことが原因と考えます。

まず、

②8月19日22時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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今回の記録的豪雨に先行して、前日22時頃、広島市内周辺に帯状の発達した雨雲Aがかかり、広島市内の一部に浸水被害をもたらしました。このAは、引用画像にはありませんが、北東に進んでいました。

③8月20日0時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版)気象庁HPより引用

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同時刻の水蒸気画像上には、島根県付近から山口県東部を経て豊後水道にかけて、糸状の白い画像域が見られます。これは、上空3000m付近の上昇流域を示すもので、こういった上空3000m付近の上昇流域は、下層の上昇流を加速させる働きをしますので、雨雲あある箇所にやってくると、当該雨雲は発達するものです。

?8月20日0時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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引用図?での雨雲A は、広島県北東部へ進んで弱まりました。が、Aの南西側には雨雲Bが、そして、雨雲Bの南側には雨雲Cが新たに発生。雨雲Bは、雨雲Aの南西側に吹き込む暖湿流が広島県北西部の中国自動車道沿いの地形的鞍部で収束し発生したもの で、雨雲Cは、雨雲Aの南西側と雨雲Bの南側に吹き込む暖湿流が山口県岩国市周辺の地形的鞍部でやはり収束して発生したものです。

⑤8月20日1時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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雨雲Aは、さらに弱まり消滅しましたが、引用図②で紹介した上空3000m付近の上昇流域の東進に伴い、 雨雲Bと雨雲Cとは発達して北東から南西方向へと広がり、双方合流し、一つの帯状の雨雲(線状降雨帯 )を形成し始めました。この線状降雨帯 広島県廿日市市付近の地形的鞍部に沿って特に発達した降水域が見られますが、この地形的鞍部で暖湿流が収束して、さらに、上空3000m付近の上昇流域の接近で、暖湿流収束がより加速させられている状態になっているためです。

⑥8月20日2時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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⑦ 8月20日3時の広島県周辺レーダーアメダス合成図(気象舎HPより引用)

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⑥⑦より、引用図⑤で紹介した、雨雲Bと雨雲Cとが合体した線状降雨帯は、上空3000m付近の上昇流域のアシストを受けて 、廿日市市付近の地形的鞍部での暖湿流の収束は加速している模様で、さらに雨雲の活動自体は発達。当該降雨帯の南側縁を見ると、入 の字型になり始めているが、これは、暖湿流が、ⅰ:廿日市市付近の地形的鞍部と、もう一つ、ⅱ:広島市内中心部に流れる太田川沿いの地形的鞍部にも暖湿流を呼びこみ収束させている様子である。そして、 これら、暖湿流収束ⅰ.ⅱが合流する広島市内北部付近で、とりわけ強い降水域(1時間80㍉以上)がかかり続けているのがわかる。

以上のプロセスが、今回の記録的局地豪雨のたどったストーリーというわけですね。

帯状の発達した雨雲(線状降雨帯)が現れた場合、その東~南~南西側では要注意!新たに線上降雨帯が発生・発達する場であるためです。


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