ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

やっぱり登りたい!:「桜はまだかいな」

2019年07月18日 23時25分00秒 | Weblog
最初の休憩ポイントである「明神館」まで、約50分だった。
朝食をまだ食べていないこともあり空腹感はあったが、次の徳澤まで頑張ることにした。
理由は簡単だ。
今日のこの好天、どうせならお日様の光を浴びながら食べた方が気持ちが良いだろうということ。
空腹ではあったが、早く食べたい思いもありやや急ぎ足で徳沢へ向かった。


木々の合間からの木漏れ日が美しい。
ザックは重いが、この美しさが僅かでもその重さを軽減してくれている。(ような気がする)

そしてこのコースでの楽しみの一つ。
「ニリンソウ」だ。
この時期、若干のズレはあるが間違いなく群生となって目を楽しませてくれる。

さっそく幾つか見つけることができたが、残念ながら今年はやや時期尚早かも知れない。

ピンクに見えるのは花びらの裏側であり、まだ完全に咲きそろってはいなかった。


足元にニリンソウを見つけては写真を撮っているKMさん。
剱に登ったパワーウーマンとはいえ、やっぱり乙女だった。(失礼)

画像では殆ど葉しか分からないが、結構咲きそろっている所もあった。

なんだかんだでニリンソウに癒されながら徳澤へ近づいてきた。
その証拠がこれだ。


山桜。

徳澤園のすぐ手前にある桜の樹木で、自分ににとってはこの桜が一つの指標のような役割をしてくれている。
「まだ蕾か・・・。ちょっと残念だけど、明後日ここを通る時にはどうなっているかな・・・」
そんな楽しみ方も登山ならではのものかも知れない。

建物の外でベンチに座りながら朝食を食べた。
気持ちが良い・・・しかし暑い。
雨に降られ寒い思いをしながら食べるよりは遥かにましだが、スタートして2時間、しかもこれだけの重量を背負ってとなると汗もかき始めた。

次は横尾へ向けての出発だ。
腹もまぁ満たしたし足取りも軽い。


梓川沿いの樹林帯を歩く。

この道を何度歩いたことだろうか・・・。
平坦な道ではあるが、涸沢をベースとするなら必ず往復この道を歩くことになる。
涸沢へ向かう時は、いつも同じような思いになる。
「ザックが重い。体がまだ慣れていない」
「明日のアタックの天気はどうかな・・・」
「事故なく、怪我なく登れるだろうか。いや、そうでなきゃならない。」

そしてもう一つ、いつもいつも思うこと・・・。
「俺は、帰りはどんな気持ちでここを歩いているんだろう」

充実感や達成感で一杯なのか、それとも敗北感を感じているのか・・・。
大好きな徳澤園のソフトクリームをどんな気持ちで食べているのか・・・。
アタックのことよりも、下山時の復路でどんな気持ちでここを歩いているのかという、数日後の自分自身を想像しながら涸沢へと向かう。
そう、いつもだ。

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残雪が現れた。
壁になっれいる分、例年よりも多いかも知れない。


徐々にだが、涸沢に近づいてきたという実感が湧いてくる。

戯れに登ろうとするが、前爪なしではどうすることもできない。
するとN君がこんな事を聞いてきた。
「奥穂の壁ってこれくらい(斜度が)あるんですか?」
「その年によって違うから何とも言えないけど、ポイントによってはこれくらいあっても不思議じゃないと思う。」
その時のN君の驚いた顔が印象的だった。
雪壁を初めてトライする時、実際には70°程度の壁であっても、それが完璧な垂直の壁に見えてしまうことはよくあることだ。
N君の不安はよく分かる。

予定よりもやや遅れてはいるが横尾に到着。
さすがにGWほどの登山者はいなかったが、何人かがベンチで休んでいた。


二人にはここで休んでもらったが、自分はそうもしてはいられなかった。
一応はリーダーだし、やらねばならないことがあった。

涸沢方面から下山してきであろうと思える登山者から情報収集をした。
これから先のルート状況、涸沢の積雪、奥穂へ登った人であればザイテングラードや雪壁の状態。
そして、何よりも最新の「雪崩情報」が欲しかった。

嫌な情報を得た。
大小の雪崩が頻繁に起きているようだ。
自分たちが登るルートはもちろん、北穂の南壁では大きな雪崩で数人が巻き込まれたばかりらしい。

事前の下調べで分かってはいたことだが、やはり現地の直前の情報には叶わない。
天候が良いことは決して悪いことではない。
だが、それにより起こりうるリスクもある。
明日のアタックはかなりリスキーな登攀になるかも知れない。
おそらくザイテングラードでは、デブリ(雪崩の跡)の上を登ることになるだろう。

今はまだこのことは話さない方がいいと考えた。
言わなければならないことだが、テントの設営が終わり、アタックへの最終確認の時に話そうと決めた。
その時大切なことは「決して大袈裟には言わないこと」だ。
事実は事実として伝えるが、不安を煽ることだけはしてはならない。


吊り橋を渡り「本谷橋」へ向けて出発。
しばらくは雪崩のことが頭から離れなかった。

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