ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

再びの横岳縦走:小さな登山者

2015年05月07日 21時52分09秒 | Weblog
地蔵の頭を目の前にし、下ってきたルートを振り返った。
碧い空に残雪の岩稜群が映える美しいルートだと思った。
時に泣き出したくなってしまう程の苦しさと辛さを与え、時に感動と充実感を与える。
すべては天候や己の技術、経験によってその違いはあからさまとなるが、今回は山の神様が微笑んでくれたようだ。


地蔵の頭で行動食を摂り小休止とした。
再び横岳方面を見上げ、そして赤岳も・・・。
赤岳の山頂から下山してくる登山者が数名目視できた。
できることなら赤岳をも含めての縦走としたかったが、目的はあくまでも横岳。
今日はこれでいいと満足できた。

地蔵尾根ルートにはやはりみごとなナイフリッジの雪庇があったが、前回よりも雪は溶けており、スムーズな下山となった。
行者小屋までの下山時間は30分だった。
おかげでかなり時間を稼ぐことができ、ここでも小休止をとる余裕ができた。

越えてきた横岳をもう一度振り返った
「今日もすれ違ったのは一人だけだったなぁ・・・。」
そんなことを思いながら煙草を吸う。
あとは美濃戸口までの樹林帯をのんびりと戻るだけなのだが、リベンジを果たしたという嬉しさよりも、天候に恵まれた事の方が遙かに嬉しかった。
「さぁ、帰ろう。」

行者小屋をスタートしてほどなく、一人の登山者と出会った。
今日出会った二人目の人で、これから小屋まで行きテント泊をするそうだ。
赤岳へは明日登頂を目指すのだが、実はソロではなかった。
なんとまぁカワイイ!

名前は忘れてしまったが、とても人なつっこい柴犬だ。
明日は共に登るそうだ。
「頑張れ、しっかりとね」
そう何度も言いながら頭を撫でたのだが、ふいに宗次郎のことを思い出した。
「あいつには無理だろうなぁ。(笑)」
そんなことを思いながらも、早く家に帰り宗次郎に会いたくなった。

行者小屋から美濃戸口まで休憩を入れてちょうど2時間で着いた。
予定よりも早く戻ることができたが、どっと疲れが襲ってきた感じだった。
緊張感が切れた証拠だろう・・・。
ヘッドランプの灯りを頼りにザックを開け、荷物の整理をした。
「腹が減った。ブーツを脱いで足を伸ばしたい。風呂に入りたい。」
そんな欲求が次から次へと頭をよぎる。
娑婆へ戻ればいつもこんな感じだ(笑)。

次なる目標は奥穂高岳。
今期最後の雪山登山として締めくくりたい。