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2018 12/11の拝観報告2 最終(南座 顔見世興行)


写真は、2階のロビー。

9:30に四条河原町のひさご寿司でお弁当を頂いて、やって来たのが南座です。
今回は通常の顔見世です。

10:00開場、10:30開演でしたので、10:00開店の高島屋でお弁当を買って行くのは世話しないのでひさごさんにしました。

さて演目です。

最初は「菅原伝授手習鑑」の寺子屋です。
以前に車引は観たことがありますが、寺子屋は初めてです。

まずは話の背景から。
梅王丸、松王丸、桜丸という三つ子がいます。
それぞれ主君が菅丞相、藤原時平、斉世親王です。
構図としては松王丸ー藤原時平が悪者です。
藤原時平が権力を拡大するため、菅丞相と斉世親王を失脚させたので、兄弟も敵味方になってしまっています。

さてここからが今回のお話。
寺子屋をしている武部源蔵(片岡愛之助)は菅丞相の息子、管秀才を匿っています。
そこに管秀才をも亡きものにしようとする藤原時平の使いとして、松王丸(中村芝翫)が押しかけてきます。

ちょうどその前に千代という女性が連れてきた新入りの子供が管秀才と背格好が似ていました。
武部源蔵は妻の戸波(中村扇雀)と懊悩した結果、身代わりとしてその子の首を差し出します。

その首実験をした松王丸は動揺を隠しながらも「管秀才に間違いない」と言って帰ります。

そして子供を連れてきた千代が迎えに来ますが、武部源蔵は止むなく母も討ち果たそうとします。
その刹那、松王丸が登場し「わが子の首は役立ったか!」と言い放ちます。

つまり松王丸は今まで藤原時平の悪行に加担したことを後悔し、なんとか罪滅ぼしをしようとわが子を管秀才の身代わりになるように妻の千代に届けさせさせたという今まで悪者キャラだった松王丸が、良い者になるお話です。

真実を打ち明けてから松王丸の妻、千代が泣いてばかりいるのを(当然ですが)、松王丸は泣くなと何度も諭します。
しかしわが子が死に際に見苦しいところを見せるどころか、「事情を把握してニッコリと笑って死んだ」と武部源蔵から聞くや松王丸がおいおい泣き出す場面は感動でした。

2つ目は鳥辺山心中。
菊池半九郎(中村梅玉)は、上洛している将軍のお付きで京に滞在しています。
当然のように夜は遊郭に、同朋の市之助(市川左團次)と入り浸っています。
そこで半九郎が仲良くなったのが、遊女の染川(片岡孝太郎)。
もうすぐ江戸に帰ることになる半九郎は家宝の刀を売って染川を身請けし、親元に帰してやろうと考えます。

そこへ市之助のマジメな弟、源三郎(市川右團次)が登場し、遊郭で遊んでばかりいる兄を責めます。
兄はまあまあと奥に逃げてしまうと、今度は兄の遊び相手である半九郎をなじり始めます。

これが売り言葉に買い言葉で、決闘にまで発展。
とうとう鴨川河川敷で、半九郎が源三郎を討ち果たしてしまいます。

軽率な行動に半九郎は死を覚悟しますが、染川はそれなら私も連れて行ってくれと、2人で鳥辺山に心中にしに行くというお話。

市川左團次さんは、滝沢秀明さん主演の2005年大河ドラマ 義経で金売り吉次役で出演されていましたし、
市川右團次さんはいいですね。ドラマ陸王のシューフィッターさんですね(笑)。

最初は華やかな雰囲気ですが、段々雲行きが怪しくなって、最後は鴨川での決闘から心中となかなか暗いお話でした。

ここ終わりで13:00過ぎ、30分の幕間。

お弁当を頂きます。


朝頂いた、ひさご寿司の祇園(2106円)です。
久しぶりの鱧の箱寿司。
京都人でも普段は頂く機会がないですね(笑)。
美味しかったです。

3つ目は、ぢいさんばあさん、。
こちらは森鴎外の原作を読んだことがありました。

美濃部伊織(片岡仁左衛門)と妻のるん(中村時蔵)は、近所でも評判の仲良し若夫婦。
主君の京在番に同行する予定であった美濃部伊織の弟が怪我をしたために、代わりに1年間上洛することになります。
上洛した京で見事な刀を見つけますが、130両もします。
手持ちが100両しかないが、どうしても欲しかったので、同朋ですが粘着質で皆から敬遠されている下嶋甚右衛門(中村芝翫)から30両を借りて買いました。
その刀の披露を伊織が仲のいい同朋としているところへ、酔った下嶋が押しかけます。
そして悪態三昧。
最後にい伊織を「貴様はこの刀で人が切れるのか」とバカにしたところで、伊織がバクハツ。
下嶋を一刀両断してしまいます。

そして伊織は、越前に謹慎となります。

そのまま37年間が経過。
かつて伊織とるんが住んでいた家には、弟の子共である久弥(片岡愛之助)と新妻のきく(片岡孝太郎)が住んで家を守っていました。
伊織が帰る日に、るんとこの家で再開できるように2人がセッティングします。
ようやく37年ぶりに涙の再開をし、これから仲良く暮らそうと桜を眺めるというお話。

芝翫さんの憎まれ役、よかったです。
イヤな感じがよく出ていました(笑)。

仁左衛門さんはさすが、いややはりのカッコよさでしたが、武士の立役の方が僕は好きですw
時蔵さんは舞が観たかったです(メッチャきれいなんです)。


最後は、恋飛脚大和往来 新口村(にのくちむら)です。
公金横領をして逃げる忠兵衛(坂田藤十郎)と傾城の梅川(中村扇雀)。
捕まれば死罪です。
路銀も尽き、最後に一目父に会いたいと父親のいる雪深い新口村にやってきます。

知り合いに匿ってもらっているところへ、父の孫右衛門(中村鴈治郎)が通りかかります。
隠れて父の姿を涙ながらに拝みますが、その父の鼻緒が切れて転びます。
それを見かねた梅川が助けに駆け寄ります。
助けてくれた梅川と話すうちに孫右衛門は事情を察して、息子が近くにいると気付きます。

たまりかねた梅川は孫右衛門に目隠しをして(罪人と分かって見逃すと罪になるため)、忠兵衛と会わせます。
でも最後は目隠しも外してしまいますが。

そして追手が近づく太鼓が聞こえて来たので、孫右衛門は2人に路銀を渡して逃がすというお話です。

顔見世では毎回説明していますが、坂田藤十郎さんの長男が中村鴈治郎さん、次男が中村扇雀さんです。
ちなみに坂田藤十郎さんの奥さんが扇千景さんで、妹が中村珠緒さんです。
今回は扇雀さんの手引きで、鴈治郎さんと藤十郎さんの親子の対面(親子逆ですが)ってことですw

藤十郎さんももう86歳。
少しお声が小さくなられたような印象でした。
いつまでもお元気で舞台に立って頂きたいです。

16:05頃、終演でした。

今回は死を背景にした演目が多くて、ちょっと暗めでしたね。

1つは華やかな演目が欲しいところでしたが、楽しかったです。

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