武田邦彦教授の原発緊急情報 「逃げられない人のために」

2011年03月20日 18時30分00秒 | 生き方・人生観

▲<3月19日の豊崎総合公園>
◎福島原発の復旧作業の進み方が何とももどかしい・・・。自衛隊および東京消防庁の献身的な努力には感謝するが、なぜ最悪の事を考えて20kmエリア内の住民避難をさせないのだろう。「縄文通信」の中に、武田教授の「原発緊急情報」を見つけた。テレビでは聞けない解りやすい解説なので紹介します(武田邦彦氏は、「第一種放射線取扱主任者」を保有する工学博士です)。

原子炉に水を投入するのを失敗したら、放射線レベルが10倍になるという事は正確には解りませんが、東京の放射線レベルは現在、低いのですが、私がやや高めの数字を示しているのは、この事を加味しているからです。私は、今の東京の放射線レベルは心配する事はないと言っておりますが、しかし人によっては不安に感じる人もいます。本当に原発に水を入れるのが失敗し放射性レベルが大きく上がっても、新幹線等が混んでいて赤ちゃん等を抱えている人は直ぐには移動出来ないでしょうから、だいたいどのくらいの事になるかという事を、私の知識の範囲でお伝えをしています。
1時間に10マイクロシーベルという事は、たった1時間しかそこにいない人ならその数字で良いのですが、生活をしていて1ヶ月あまり同じ場所にいたら、10ミリシーベルトになります。これは法律でも許されてないような大きな値なのです。重要な事なので繰り返して説明します。1時間に10マイクロシーベルというのは放射線の強さですから、1秒当たりで言っても、1ヶ月当たりで言っても良いわけです。1秒当たりで言えばとても小さな値になりますし、1ヶ月当たりで言えば大きな値になります。
瞬間的にその場所を通り過ぎるのならば、1秒当たりでも1分当たりでもいいと思いますが、今多くの人が判断しようとしているのは、「ここに住んでいて良いのか」、「赤ちゃんは大丈夫か」という事です。そうなると1ヶ月はそこに居ますし、子供は感度が高いのです。現在の状態では、「自衛隊のヘリコプターが受ける放射線」と「原発から少し離れた所で住んでいる人が浴びる放射線」とは少し意味が違うという事を理解しておかなければなりません。仙台から東京辺りの間に住んでいる人達は、福島原発からある程度、放射性物質からの放射線を浴びると考えていいと思います。
その場合、放射線と体の関係を少し知っておく必要があります。人間の身体は放射線に対して防御する能力を持っています。従って、一旦、放射線に当たると、その時には身体の一部が極僅かですが損傷します。
しかし、人間の体というものは、常に外部からの攻撃を防御する事が出来るようになっています。例えば風邪のウイルスが体に入っても、体の抵抗力さえあればウイルスを撃退出来るのと全く同じです。
つまり、放射線に当たったらもうそれで終わりと思っている人がおられるのですが、普通の病気と同じように一旦放射線に当たっても、自分の体の抵抗力と免疫力が高ければ、元の体に戻してくれます。
そうなると普通の病気と同じですからまず第一に体力を付けておくという事が必要である事が解ります。
私がやや放射線に対して楽観的なのは、放射線が弱いという事ではなく、人間の体が治す能力がある事によります。人間は他の動物に対しても放射線で受けた傷を治す力が強いのです。
そして第2には、「連続的に放射線を浴びない」という事です。逆に「連続的に放射線を浴びる」という事は、風邪で言えば「風邪をひいているのに、まだ寒くて乾燥している所(ウィルスがいるところ)にいるようなものです。 放射線でも同じです。外部に出て放射線を浴びたと思ったら、そのあとは家の中に入り、しばらくじっとしている事です。それで回復をします。
風で飛んで来た放射性物質は外を歩いている時に、自分の体の衣服に付きます。多くの放射性物質は水で洗えば取れますので、洗濯機で洗ってとるという事が必要です。
非常に厳密に言えば、1回汚染された服は着ない方が良いのですが、注意して洗濯するというのが良いと思います。下着が心配です。だから、ちょうど冬の季節でもありウインドブレーカーのように風を通さないような衣服を上に来て出かけて、それを洗うという事が出来ればベストです。
外出を多くしなければならない人は、外から放射性物質を少しずつ家の中に持ち込む事になりますので、玄関先でそっと脱いで放射性物質が家の中にあまり入らないようにする事が大切でしょう。また放射性物質は結構、拭いて取れるものですから床等の拭ける所は出来るだけ拭く事も大切です。
原発に近い所以外の放射線はほとんどこのような物質によってもたらされますので、家の中を密閉してその中にじっと入っていれば、被曝量は10分の1ぐらいにもなると言われています。
「放射線で損傷したところは体が直してくれる」事と、「放射線は空気中にある小さな物質から来る」という二つを組み合わせますと
1) 外出を控える事
2) 外出する時には、ウインドブレーカーのようなものを着る事、マスクや帽子を被る事
3) 帰宅したら玄関先でそっと脱いで洗濯する事
4) 連続的に外出しない事
5) 外出した人が放射線物質を家の中に持ち込んで来て、その放射線で赤ちゃんが被爆するという事がないようにする事などが有効である。

もちろん、何らかの手段で2,3日でも遠くに行く事が出来れば、その間は放射線で損傷した体は少し元に戻ります。このような事を十分に注意すれば、原発に近い人は別にして、「東京と福島との間に住んでいる人、仙台辺りの人は比較的安全になる」という事が出来ると思います。これに関連した少し専門的な事に言及します。 400ミリシーベルトぐらいの放射線を浴びると多くの人が白血病になりますし、100ミリシーベルトぐらいでも免疫力の弱い人は白血病になる場合があります。
しかし、この100ミリシーベルトとか、400ミリ シーベルトというのは、比較的短い時間に被曝した場合の事です。 例えば1時間に100ミリシーベルトを浴びた人はかなり危ないのですが、1ヶ月間で100ミリシーベルトを浴びても、その間に自分の体が直していきますので安全サイドになります。でも、1ヶ月の場合、どのくらい安全になるかは極めて複雑です。 女性と男性との問題、赤ちゃんとお年寄りの差等多くの事がありますので、なかなか一概に1時間で100ミリシーベルトを浴びたらそれは1ヶ月でどのぐらいかという事を具体的に示す事は出来ません。 そこで、このブログでは1時間に浴びた量で1ヶ月の打撃を示しています。つまり打撃を受ける上限を言っているという事になります。(2011.3.18)


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