東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

技術と表現

2017年04月03日 23時02分13秒 | 時事

 先日行われたフィギュアスケートでは、羽生結弦選手が見事逆転優勝、宇野昌磨選手も2位の大健闘で、日本人選手の活躍が目をひきました。羽生選手はショートプログラムで5位と大きく出遅れていたものの、フリーで世界最高得点を更新するという快挙。驚異的な精神力です。

 それにしてもこのフィギュア(特に男子)、技術の進化が凄まじいですね。前々回のバンクーバー五輪で優勝したライサチェクは、4回転を飛ばずに優勝して話題になりましたが、今後どれほど美しい演技をしても、この競技で4回転を飛ばずに金はあり得ないことでしょう。体操などもそうですが、人間って一体どこまで出来るのかと思ってしまいます。

 しかし音楽のように、芸術における技術は、それとは異なります。スポーツはやはり勝負の世界ですから、一人での演技であっても全て数字がつき、それが結果の全てです。芸術の技術は、あくまでも表現の手段であり、それが前面に出ているものは、むしろ邪魔とさえ言えます。「凄いことをしている」と思わせてはいけないのです。聴衆が向き合っているのは演奏家ではなく音楽。それが理想の形です。スポーツの難しさ、芸術の難しさについて、改めて考えさせられました。

 

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