東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

ダンシング・チャップリン

2011年06月13日 11時28分23秒 | 映画
 映画「ダンシング・チャップリン」を見て来ました。
 「Shall we ダンス?」で脚光を浴びた周防正行監督とバレエダンサー草刈民代が再び一緒に仕事をする、ということで注目された本作。以前からバレエが好きで、山形に来る前から時々見ていたので、今回スクリーン上ながら、久々に本格的なバレエが見られると楽しみにして来ました。期待に違わず素晴らしい出来で、ただの「バレエの映像化」ではない、映画として完成された作品になっていると思います。

 この映画は、ローラン・プティのバレエ「ダンシング・チャップリン」を映画化するまでの記録である第一幕と、バレエ本編の第二幕の二部構成となっています(ご丁寧にも、幕間と称して五分間休憩までありました)。前半には周防監督によるプティとの打ち合わせ等、興味深い内容ばかりですが、圧倒的なのはやはりリハーサル部分です。中でも主役、チャップリン役のルイジ・ボニーノは突出した存在感。実は60歳と明かされますが、その年で凄い、というレベルではなく、一人のダンサーとして超一流であることが素人目にもわかります。
 第二幕では、登場人物の動きや表情の滑稽さを笑いながら、ふとした場面でその哀しさに共感し、愛しく感じる、まさにチャップリンの映画をみているような感情をかきたてられます。ダンスばかりでなく、チャップリンばりのパントマイムも要求される難しいバレエですが、ルイジの動きは全て堂に入っていて、昔一度だけ見た事があるマルセル・マルソーの舞台を思い出しました。草刈民代も役柄によってコケティッシュ、清純、やんちゃといった様々な演じ分けを見せ、見事な女優振りを発揮しています。

 2009年からロケをスタートさせたこの作品、まさかこんな大変な時期に公開されることになるとは監督も思ってもみなかったでしょうが、「独裁者」での戦争批判は言うに及ばず、多くの映画で一般庶民に勇気と希望と笑顔を与えて来たチャップリンのオマージュ的作品が上映されることに、何か運命的なものを感じずにはいられません。
 
コメント
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