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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

蛹化!

2014-04-20 | ツマグロヒョウモン

4月19日(土)。朝,スミレの葉からぶら下がった前蛹を見ると,かなり大きな動きが見られました。連続して続く,例の動きです。「しめた! これは蛹化近しだ!」と思い,カメラを三脚に据えて待ちました。

前蛹は,からだブラッとさせて,筋肉の弛緩運動を繰り返しました。その動きは頭部辺りから始まって,後尾に順次伝わるといった規則正しいものです。

午前9時59分。時折小休止をして,また運動を再開して,また小休止をする,そんな感じが続きました。 
 


午後0時21分。観察し始めてから3時間ほど経ったときでした。 からだの周りにある突起が倒れて,激しい動きが現れました。これは蛹化への大変化目前の兆候。


午後0時23分。頭部上側の皮が避けて,褐色の肌が見えてきました。 


午後0時25分。皮が大きく裂け,頭部の殻も真っ二つに。蛹に付いている特有の突起が,白く見えかけました。 


午後0時29分。皮がゆっくり上に送られていきます。触覚がはっきり確認できます。 


午後0時32分。翅全体が現れました。 


午後0時34分。夏季よりもずっとゆっくりとした変化です。ゆとりをもって撮影できます。 


午後0時47分。腹部全体が現れました。皮を上に送るのに,からだをクネクネさせます。 

 
午後1時03分。なんとか皮を落とそうとするのですが,落ちません。ふつうは事もなげにポロリといったふうに落ちていくのですが,今回はちがいました。

 
午後2時26分。結局,皮を落とすのは諦めたようです。蛹としてのかたちが固まっていきました。そして,色もやや黒さが出てきています。


4月20日(日)。午前11時。脱皮後ほぼ一日が経過しました。ずいぶん黒みがかってきました。

 

  


自然を見つめ,自然を守る試み

2014-04-20 | 日記

4月20日(日)。曇り。

午前8時。集落の指定場所に集合。恒例の生活排水路の出役作業がありました。“生活”ということばが付いているのはおかしな話ですが,今は自然水のみが流れてくるだけ。要するに,昔からの慣わしでそう呼んでいるのです。

そこに土,石,それに木やらが堆積し,さらに水草が生えたりしています。結果,水の流れが遮られているので,淀むことなく流れるように清掃するのです。

その排水路の一部に,以前わたしはカラスガイを放流しました。100個近かったでしょうか。ぜひこの貝が生きていく環境を保全したいという気持ちがあったからです。ついでに,タナゴも戻ってきてほしいと願いながら。その放流のことについては本記事でもご紹介しました。

今日,その結果が見えてきました。「残念!」の一言です。見つかるカラスガイはすべて死んでいました。たぶん,餌不足と酸欠によると思われます。昔(排水路改修前)はたくさん棲んでいたと聞きましたが,今の環境では生きていけないでしょう。たまたま生きて見つかったのはたった一個体のみ!

 


とても残念なのですが,この排水路ではカラスガイは生きていけないことがはっきりしました。

午後4時。ジャコウアゲハの棲息地で,ウマノスズクサの保護に向けた取組を開始しました。ウマノスズクサが刈り取られないように,株ごとに竹を立てて,わたしがその区域の草刈りを買って出るという作戦です。これには脇の水田所有者の理解と協力が必要です。それに,ヨッさんの協力を得なくてはなりません。とりあえず,今年,やってみることにしました。

場所は,大きくわけて二カ所(下写真のAポイント及びBポイント)です。


立てた竹は,30本を超しました。これから芽が出てくるので,もっと増えるでしょう。50本ぐらいになるかもしれません。


今冬見かけた蛹は極めて少なかったので,なんとかジャコウアゲハを増やそうと思っています。

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その4)

2014-04-19 | ジャガイモ

発芽率を確認しておくのは,植物の特性を知るうえでとても重要です。まだ発芽していない種子もあるでしょうが,芽生え最盛期の今,どの程度の発芽率なのか,計算しておきましょう。以前の記事に,「かなりの高率だろう」と書きました。その時点では,4分の1程度に見えました。今は50%近くに届いているのではないかと予想していました。

 

4月19日(土)。発芽数の結果は以下のとおりでした(カッコ内は実播種数)。

 ① A ポット群(大)  ………… 15( 20) 

 ② B ポット群(小) ………… 62(120)

 ③ C ポット群(小) ………… 35( 57)

 ④ D ポット群(大) ………… 37( 55)

 ⑤ E 播種用苗床   ………… 53( 63)

合計は202(315)。 発芽率は64.1%になります。


播種後16日で,この発芽率をみました。これが多いか少ないかわかりませんが,予想を軽く超していました。わたしには驚きです。たぶんこれからも発芽することを考えると,最終的には80%に達するように思われます。 

 


ヒラタアブの成長(20)

2014-04-19 | ヒラタアブ

ヒラタアブの幼虫が付いたホトケノザをカップに挿しています。それを手に取って見ていて,偶然目にとまったのがヒラタアブの蛹です。懐かしい,あのかたち! 背には,黒い筋が走っています。 

 
ちょっとした衝撃が加わったのか,カップの縁から落下してしまいました。それで,改めて背の筋を撮っておくことにしました。 

 
終わってから,「それなら,ホトケノザの群落でも蛹が見つかるかもしれない」と思い,探してみることにしました。

探し始めて,しばらくして見つかりました。それも複数です。茎や萼片に,横向きになって付いていました。尾端付近でくっ付いています。その様子の頼りなげなこと。わずかに力が加わっても,落ちてしまいそうなのです。

 
別の個体は,茎にしがみ付くようにして丸まっていました。この個体の背にも黒い線がありました。

  
蛹期間はどれだけか,つまり,いつ頃羽化するか,気になります。

 


まもなく蛹に

2014-04-18 | ツマグロヒョウモン

4月15日(火)。スミレの葉を一部食べた証拠“食痕”が観察できました。しかし,動きがとても鈍くほとんど動かないので,「これは蛹化が近いな」と感じます。

4月17日(木)。ツマグロヒョウモンの終齢幼虫を,野生スミレを植えた鉢においていたところ,その時期がきたらしく,蛹化の準備に入りました。葉の縁で,尾端を固定してぶら下がっています。

植木鉢の縁でなく,草であることが注目したい点です。幼虫の食草はスミレ類なので,蛹化場所としてはその場所はもっともありふれています。しかし,ふつう,わたしたちはスミレを見かけて蛹を探したりしませんし,探してもそう見つかるものでもありません。理由の一つは,意外に人工物で蛹化する例が多いためです。今回のように,本筋にしたがって自然環境下で蛹化するのは観察者にとっては理想的です。

4月18日(金)。出勤前に写真を撮っておくことに。ぶら下がったら,頭部が地表ほんのわずかなところにきています。地表に付かない微妙な距離加減は,計算されたものでしょうか,偶然なのでしょうか。

 


白くなっているのは固定用の絹糸です。 隣りの葉を寄せてきて,丈夫な礎にしています。

 


まもなく蛹になるでしょう。長い冬を越した個体が,ようやく成虫になる準備期に入るのです。大きな変化は何度観察しても飽きることはありません。見届けることができるのなら,ぜひそうしたいと思っています。

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その3)

2014-04-17 | ジャガイモ

4月16日(水)。

今日は,初発芽を見た翌日。次々に芽が出てきています。 蒔いた種子は一定の間隔があり,加えて芽生えが小さいので,“次々”といっても,とっさにそう思えるわけではありません。ざあーっと数えてみて,そしてポッポッと子葉の緑が見えるなあという印象から,そう思えるのです。

以下,芽生えの画像をいくつか載せておくことにします。ただ,「これは!」と思うものに限って。

ついつい種子をたくさん落としてしまったポットです。一気に発芽した感のある風景です。

 


根毛がくっきり。 


この芽生えでも根毛が。なお,茎の太さは0.7mm程度ですから,根毛の長さ・細さは想像できると思います。実際は想像が及ばない世界かもしれません。


三きょうだいのような感じでなかよく同じ向きにカーブしています。光の加減でしょうか。からだの緑が,いのちの始まりを告げているかのようです。 


まだ双葉が開いていませんが,スマートに伸びています。 

 
根が出てきたばかり。からだはまだ真っ白。


頭をもたげました。すこし緑がかっています。光を浴びている証拠です。


双葉の片方に種皮が残っています。いかにも芽生えという感じが伝わってきます。


別の双葉を見ましょう。種皮が落ちて,自立して生きようとする双葉です。葉の緑が,いかにもその決意を物語っているようです。

 


発芽期には特徴的な変化が見られます。胚が伸びて,まず幼根が出てきます。そうしてからだを固定して,水分を吸い上げます。そうしながら,光合成の準備を整えていきます。大変化には見る者のこころを動かす営みが詰まっているのです。 

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その2)

2014-04-16 | ジャガイモ

4月15日(火)。午後6時。

勤務を終えて帰宅。ジャガイモの種子床に灌水しようと思い,覆いの新聞紙を取り除いたところ,びっくり! なんと発芽が始まっていたのです。播種時(4月3日)から数えて12日目のこと。わたしの予想とはまったく違っており,その早さにすっかり驚きました。やはり,冬の寒さを十分体感した後に春を迎え目覚めた種子のこと,擬似冬を短期間体感させるのとは大違い。

順調過ぎるほどに芽生えたことがなによりです。うれしい,うれしい。

その様子を写真でご紹介しましょう。まずポットから。1粒だけの発芽です。高さは7,8mm といったところです。


育苗用苗床(平床)はいくつも。ここは63粒の種子を蒔いたところです(もっとも,種が小さいために一箇所に数個落ちたところもあります)。小さくて確認しにくいのですが,なんとか数えてみると13の芽生えが。種皮を被ったものがあります。

 


種皮の落ちてしまったものもあります。


これから,観察が本格化します。密かに描いているオモシロ実験も試みることができます。春のたのしみが増します。

 


ナガメの恋

2014-04-16 | 昆虫

カメムシ科ナガメ。赤と黒の,このカメムシならではの色彩が特異さを主張しているかのようです。 

ナガメは漢字で“菜亀”。アブラナ科植物の汁を吸って生きているカメムシです。謂れを知ると,忘れられない名でもあります。

菜の花のあちこちでカップルが成立しているので,ついつい写真に収めておこうという気持ちになりました。

 
からだには花粉が付いています。積極的な花粉の運び屋さんでなくても,送受粉になにがしかの貢献はしているのでしょう。

 
カップルになり損ねているオスがいて,恋の邪魔をしている場面もありました。このオス,この結び付きにはかなわないと見えて,そそくさと退散していきました。


甲虫を撮る際は,翅からの反射光を気にしておかなくてはなりません。あまりに強いととんでもない出来上がりになります。 わたしは昼間でもフラッシュをずいぶん使う方なので,それを使用するかしないか,使用しなくても反射光をどの程度考慮するか,その匙加減に気を使います。

黄色い色彩の上に乗った,赤と黒模様。カメムシを好まない人には,どう見えるでしょうか。わたしはもちろん,「ほほーっ!」と感じましたが。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その290)

2014-04-16 | ジャコウアゲハ

4月16日(水)。まあまあ暖かさを感じる春の一日でした。

仕事を終えて帰ると,ヨッさんから留守電話が入っていました。内容は「玄関のチョウチョがかえって,下に落ちていた。翅が縮んでいたので,近くのモミジに木に付けておいた」というもので,発信時刻は正午過ぎ。もちろん,このチョウチョとはジャコウアゲハのこと。

昨日ヨッさんと会ったとき,20日あたりには羽化するだろうと話していたのですが,予想外に早く羽化したようです。

すぐに電話をして,様子を確認しました。チョウチョは翅が順調に伸びて飛んでいったということで,ほっとしました。「これから,どんどん羽化すると思うと,たいへんや。はははは……」。そんな笑いで,ヨッさんの話は締めくくられました。

我が家の庭のウマノスズクサも,棲息地ウマノスズクサも,ぐんと伸びてきました。ヨッさんのお宅でもそうです。それに呼応するかのように,時季を感知して羽化したのです。このぴったり度はどう考えても,どう思っても,ふしぎです。


しかし,今の環境で,両者の巧妙な関係を築きながら生き残ってきたのが現生するジャコウアゲハです。考えてみると,ちっともふしぎではないわけで,みごとに環境に適応している結果であり,それを今に生きるわたしたちがたまたま見ているだけです。

自然界のたった一つの例にすぎませんが,そんなしくみが自然界には網の目のように張り巡らされています。自然がバランスよく形づくられていることに,感じ入ります。

いよいよ,待ちに待ったジャコウアゲハの登場です。

 


旅の味,極上の味

2014-04-15 | 旅行

旅には出会いが付きものです。それが上質であれば,旅の思い出が心地よく残り続けます。今回の金沢の旅でもそんな出会いがありました。ささやかなふれ合いでしたが,なんとも上品なひとときをプレゼントしてくれたのでした。

ここに住まう愚息に「ずいぶんお世話になっている蕎麦屋さんがある。一味も二味も違う。ホンマモノが味わえる。是非訪ねてほしい」と言われ,旅の途中,訪ねたのです。店の名は『蕎麦 やまぎし』。場所は金沢駅前。店の位置を尋ねて探しても,ついつい見落としてしまいそうなビルの一角に,その店はありました。

席がテーブルカウンターに5つ,座卓机が1つ。じつに小ぢんまりした店づくりです。しかも,昼の3時間だけ開店していて,準備した材料がなくなった時点で閉店。「この時間帯だけに蕎麦作りの熱を最大限込めたい」「ホンモノの味を,息長く,確かに,無理なく届けたい」という主張,志が見えてきそうな感じです。

材料の蕎麦は,地産地消の精神ですべて県内加賀市産というこだわり。それを自家製粉。純蕎麦にこだわった『蕎麦粉10割』の手打ち蕎麦。したがって,とくべつなつなぎはなし。使う水は白山麓の名水。麺とつゆだけで勝負。“この風土ならでは”を生かした“この蕎麦ならでは”への熱いまなざし。食材についてのこうした一つひとつの吟味に“この店ならでは”が息づいています。とはいえ,この手法で蕎麦を我が手の内に置きとどめるのは至難にちがいありません。

わたしはメニューから,『粗挽き入り田舎(大盛)』を注文しました。「大盛って,わたしに食べられますか」と尋ねると「大丈夫ですよ」の声。粗い粉を練って作られた蕎麦なので,腰が強い一方,切れやすいという特徴があるということでした。盛り付けを見て,「ほほーっ!」とつい思ってしまいました。「これは,ふつうでは食味できないぞ」という気持ちですね。

粗挽きですから,皮が細かく砕かれて混ざっています。いざ食べると,たしかに強味の腰が歯をとおして伝わってきました。大胆な食感です。ツルツルでは味わえない,独特のボソボソ・ゴツゴツ感。噛んでいるうちに,素朴な味がじわーっと口内に広がって,味覚を刺激しました。この,なんともいえぬ旨み! 着飾った感じではちっともないのですね。

いただきながら,店主山岸隆さんと奥様と話をすることができました。というより,店の間取りからみると,会話をたのしむひとときもたぶん山岸さんのこころの刺激になっていそうです。厨房とカウンターとは壁一つの距離,会話が行き通う距離なのですから。もちろん,店主山岸さんとの会話は厨房から出て来られてからの話です。


話は開店のきっかけ話にもなりました。山岸さんが好きだった蕎麦打ちが高じて,リタイア後に“自分ならでは”の思いを抱いて店を始めた,他県の蕎麦屋とのつながりもできた,といったことが出てきました。わたしの愚息がよく訪ねてくるという話も出て,話は気さくに続きました。「O君の親御さんかいね。もっと早く言ってもらっていたらよかったものを」。そんな感じです。

我が子が,ふるさとを離れたこの地でこうしたかたちで懇意にしていただいていることを,うれしく感じました。思いもかけない出会いができたことをとてもうれしく思った次第です。

蕎麦つゆも,滑らかさがあってばっちり。おかげさまで極上の味わいができました。

お世辞でもなんでもありません。他の店のふつうの蕎麦と比べてどうのこうのというレベルの話をしてもまったく意味がありません。この店にはこの店としての主張があり,この味があるのです。

よく似た話を一つ。わたしの漉いてきた野草紙は,その草だけを使った“純粋紙”であり“生漉き紙”です。つなぎ(他の繊維)を入れて漉く人と公開論争をした経験がありますが,結局,「どちらが優れているか」「どちらが意味があるか」なんて言い合っても無駄であることがわかりました。疲れただけでした。わたしは,どこまでも植物一つひとつの固有の特徴を紙に見出したいという立場を貫いています。今も,つなぎを入れた紙に魅力を感じることはありません。つなぎの入った紙とは,スギの繊維にコウゾ繊維を入れて,『スギ紙』と呼ぶ類いです。どんな点に着目して自分風につくり出すのか,それをはっきりさせて両立させればいいのです。多様性の共存,といったところでしょうか。

繰り返しますが,山岸さんの手打ち蕎麦は,10割を押し出した素朴な“山岸蕎麦”であることに純粋な価値があります。純蕎麦作りのなかで,我が技,我が道を極め,蕎麦道をたのしみ,拓こうとされているのです。その意気込みと熱に共感する人が訪れて,今の店が成り立っているのでしょう。

愚息がすてきな方とお近付きになれたこと,それがきっかけで旅が一層味わい深いものとなったことに感謝。

なお,山岸さんは「蕎麦粉100%手打ち蕎麦のお店」を掲げ,HP『蕎麦 やまぎし』で情報を発信されています。興味をお持ちになった方は,ぜひアクセスしてみてください。