オドリコソウの群落に入ると,ほんとうに所狭しとばかりに生え,花が咲き揃っています。花の白さは葉に遮られてさほど目立つわけではありませんが,上品で端整な美しさを感じさせます。
花が多くても,訪れる昆虫の種類は多くはありません。しばらくそこにいると,「あー,やって来た!」と嬉しくなる程度の訪花ぶりなのです。
羽音が聞こえました。そちらに目をやると,ヒゲナガハナバチの一種と思われるハチがやって来ました。花に降り立つ前から口吻を伸ばして,蜜を吸う準備をしているのがよくわかります。食欲の旺盛さを物語っているようです。
花に頭を潜り込ませると,ご覧のとおり,すっぽりからだを差し入れた姿勢になります。口吻が精一杯に伸ばされていることでしょう。この姿勢のお蔭で,受粉が滞りなく行われるというわけです。
脚場に脚をがっちりつなぎとめています。長いヒゲ(触覚)が花から突き出しています。 花のかたち適応してからだを発達させてきた,この種のハチの生命史を感じます。 おみごとです。