自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヒラタアブの成長(8)

2014-04-03 | ヒラタアブ

これまで何匹もの幼虫を見てきて,一つだけ「どうもおかしいなあ」とこころに引っ掛かる点がありました。それは,孵化直後の個体なのに,卵の大きさと比べると意外に大きく感じることです。生まれたばかりと思われる幼虫のどれを見ても,「こんなに大きなものが卵に入っていたのだろうか」とふしぎなほどなのです。卵はせいぜい2mm。この,不釣合いな“でかさ”!

この理由をきちんと突き止めようと思えば,たいへんむずかしい観察になります。 いちばん確かな手は,孵化の瞬間を見届けることです。しかし,これだってずばりその場面に立ち会えるのは,ほんとうにむずかしいのです。

結局わたしは,できるだけ誕生の瞬間に近い時間帯に見届けたくって,卵の付いた葉をたくさん採集してくることにしました。数にして20。卵がある位置にテープでマーキングをしておきます。それを容器に並べておいて,定期的に状況を確かめていけばどうか,と着眼したのです。継続的に調べていけば,どの葉かで誕生直近の幼虫が見られる確率が高くなるでしょう。

この方法は,一つの卵をずっと見続けて観察する労力よりはずっと省力化できます。誕生と出会える確かさは低くなりますが,楽です。程ほどもいいものです。

さっそく,このアイデアが当たりました。ある日,誕生後間もない幼虫を見つけたのです。それも二匹! これまで見たどの幼虫よりも,ずっと小型です。体長は1mm! 色も褐色部分がごくわずか。やはり,誕生直後は卵の大きさに似合った大きさであることがわかってきました。お蔭で謎がすこし解け始めました。

 


この幼虫たちは,なんと,もうアブラムシを口にしていました。それにはビックリ! 食欲がまことに旺盛です。こんな調子ですから,どんどんからだが大きくなっていくのでしょう。

 


ということは,誕生直後と思っていた幼虫は,じつは,そうではなかったことになります。誕生後わずかでも時間が経っていて,そのわずかな時間のうちにアブラムシを食べて大きくなっていたと考えるのが筋かと思います。先に,不釣合いな大きさという表現をしました。しかし,けっしてそうではなかったことがわかってきました。

この幼虫より,さらに,もっと前に生まれた幼虫はどうでしょうか。次は,もう誕生場面に巡り合うしかありません。孵化が近づいてきた卵の特徴がすこしわかりかけてきました。これを取り出して重点的に観察をしては,と思っています。この作戦,さて,どんな結果をもたらすでしょうか。 

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その1)

2014-04-03 | ジャガイモ

4月3日(木)。快晴。最低気温8.5℃,最高気温23.2℃。集落にある氏神さん境内のサクラが満開。ポカポカ陽気の一日でした。

いよいよジャガイモの真正(実生)種子を蒔く日がやって来ました。それが今日というわけです。種子は『北海こがね』から採種しておいたもの。今回は昨年夏から冬にかけて行った予備的発芽実験に続いて行う本実験・観察です。心得としては実験環境を整えること,経過を丹念に記録していくことに留意していきます。

まずは種子の撮影から。1粒は1mm余りの大きさです。 

 
拡大写真を撮りました。種子1粒の内部構造がある程度わかります。胚,つまり芽となって出てくる部分がアルファベットのUの文字になって見えています。

 

ポット及び育苗箱に播種数を決めて植えていきました。小さいポットは3粒ずつ(計177粒),大きめのものには5粒ずつ(計75粒)。育苗箱には,等間隔に63粒。合計で315粒です。なお,そこに雑草が生えるのを防ぐために,播種用の培養土を使いました。このほか,余った種子については植木鉢に適当に蒔いておきました。


播種後,乾燥を防ぐために,新聞紙で覆って日陰に置きました。

前回の例では,25日目で発芽が始まりました。順調にいけば3週間程度で芽が出始めるでしょう。4月24,25日辺りになるのではないでしょうか。 

 


マンサクと昆虫(39)

2014-04-03 | マンサク

3月14日(金)。最高気温8.9℃,最低気温0.9℃。昼間は概ね晴れたものの,弱いながらも風が吹いて,ゾクゾクッと寒さを感じました。

マンサクの花は,一本の木を残してほとんどが散ってしまいました。散った後も,訪れる昆虫がいます。花弁の僅かな色彩と,匂いに惹かれてやって来るのでしょう。

例のハエが,やっぱり目にとまりました。ほんの5mm程度の体長。これが絶え間なく訪れているというのは,このハエの行動力と花の魅力を物語っているのかもしれません。

アカバナマンサクの枝に,メスが一匹。寒さのためにからだが動かなくて,じっと休んでいるようでした。 

 
時間が経ってからもう一度確認。一つの花で同じ種を見かけました。同一個体かどうかは定かではありません。残った一枚の花弁裏にいました。


昼近く,まだ黄色の花を付けた,露地植えのマンサクを見ました。すると,メスが訪れていました。 


夕方近く見ると,花弁に一匹のメスが。 寒いので,さすがに弱々しい動きでした。

 


もっとよく見ていきました。すると,このハチのオスが,クモの餌食になっているのが目にとまりました。本シリーズ№26でご紹介した場面と似ています。こんなときは,観察者としては自然の摂理に従ってそのままにしておくほかありません。生きとし生けるもののドラマが進行しているのですから。


クモには貴重な獲物です。どれだけ待っていたかわかりませんが,そうそう口にできるものではないはず。 

 
クモの姿からは,「放してなるものか」という決意が現れているようにみえました。

 


さらに別のところで,同じ種のハエがやっぱり同じように捕獲され,いのちが果てていました。これだけ容易に捕まるのは,ハエの動きが緩慢なせいもあるのでしょう。


もうそろそろ,マンサクの季節は終わります。 今回で39話を数えます。一カ月以上も,この話題が続いたことになります。わたしにはたいへん感動的だったので,いつかぜひ写真展のテーマに取り上げたいと思っています。