自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キアゲハ,成虫の誕生

2014-04-04 | キアゲハ

4月3日(木)。昼前,我が家の庭にアゲハが舞っていました。アゲハの季節が訪れたのです。そう思って,居間においている飼育箱を見ました。すると,蓋に付いたアゲハの蛹のうち,一個体が透明感を増しており,翅が透き通って見えました。ラッキー! 「これは羽化間近だ!」と直感。それから,ときどき様子を確認していくことに。

そのまま夜に入りました。この日の夜羽化するだろうと思われたので,とりあえず直前の姿を写真に収めておきました。


それから10数分後のこと。ファインダーを覗いていると,からだがピクッピクッと震えました。まったく偶然の目撃でした。「あっ,羽化が始まるぞ!」と思い,妻を呼びました。

すると,予感どおり! なんと幸運なこと! 頭部の殻が裂け始め,中からからだが見えてきたのです。


間もなくスルスルッという感じで,からだが出始めました。それからはじつに滑らかです。ぜんたいが殻からすっかり出ました。


そして上に動いて蓋に脚をかけました。あとは横に移動して,静止しました。


しばらくすると,翅が広がってきました。キアゲハの春型です。無事に誕生したようです。蓋はツルツルしているので,その後アゲハにはからだを保つことがむずかしいようで,何度か落下しました。それで,木の枝に付けてやりました。これで落ちなくて済むようになりました。


4月4日(金)。早朝に見ると,枝にとまったまま翅を広げていました。なんともみごとな姿に見えました。


頭部周辺を撮りました。


複眼を部分拡大すると,意外な世界が広がって見えます。個眼が整然と並んでいます。


今回,羽化直前の個体を確認し,その日のうちに羽化が観察できました。妻と二人で,誕生の前後の様子を見届けることができたのです。幸先のよい,アゲハシーズンの始まりとなりました。

 


ヒラタアブの成長(9)

2014-04-04 | ヒラタアブ

今度は,孵化時にもっと近い幼虫を見つけました。からだがもっと白くて,褐色はまったく見えません。卵の傍や,近くを歩いていました。餌にしたいアブラムシがいないので,探し回らなくてはならないようです。

 


卵の殻と幼虫の大きさを比べても,合点がゆきます。卵から出てきたばかりだという印象が強くします。しかし,出たと思われる穴がよくわからないのが気がかり。

 


殻を食べようとせず,そこから離れて行きました。


近くの葉にいる幼虫を見て,またびっくり。孵化後かなり時間が経っている個体なのですが,自分のからだよりずっと大きいアブラムシを捕獲していたからです。アブラムシは,よもや自分が捕食されるなんて思いも寄らなかったでしょう。弱々しくほんのすこしだけ脚を動かしていました。その姿からは,苦痛から逃れようとする様子が窺えました。


 そうかと思うと,軽々アブラムシを持ち上げる個体もいたり。

 
幼虫が動き回るのは捕食のためです。食べる場面はいくらでも観察できます。とにかく,生まれ出てからは食べてばかりという印象なのです。 

 


マンサクと昆虫(40)

2014-04-04 | マンサク

昆虫の生態を観察していて,そしていろいろ考えて,ふしぎなことが繰り返し見えて,ほんとうにどうなっているのかと思うことが時にあります。

写真のユスリカのなかまの生態もその一つです。3月14日(金)に写しました。

ものの解説では,ユスリカの仲間は口が退化しているので食餌行動はしない,ということらしいのです。このことはこれまでに触れたとおりです。ところが,これはユスリカのなかまなのか,違うのか,よくわからないのですが,間違いなく食餌行動をします。


この種とは別のユスリカのなかまもそうで,以前に報告済みです。この日に見たユスリカの体長は5mmもないほどです。たまたま見つけて,ファインダーを通してシャッターチャンスをうかがっていました。すると,なんと食餌を始めたのです。 


どうやら,大好きな栄養分が付着している模様です。口器は見えないのですが,からだを前後に大きく,何度も揺すりながら,補給しているのがわかりました。

この昆虫も,マンサクの芳香に誘われたのでしょう。もう花はおしまいなのに,最後の最後まで付き合おうとしています。からだには,わずかに花粉が付いています。送粉の仲立ちをしているのです。