古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『吉福伸逸』氏の名前を見て考えました。

2012年09月26日 05時58分34秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 岩波新書『原発はなぜ危険か』 - 元設計技師の証言 - (田中三彦 著 1990年発行)をまだ手元に置いてときどき読んでいます。とてもむずかしい本です。科学者が、ふつうの人でもわかるように、一生懸命原発の危険性を説明しています。アバウトな言葉で煽って「危ないぞ!」と無責任に時流にのっているのではありません。本が出たのは22年も前の1990年。日本がバブル景気にまだ浮かれていた頃です。
 そんなときに精魂傾けて「原発の危険性」を伝えようとしたのです。感情的にではなく理知的科学的に。彼は原発設計の中枢部にいた人です。そんな人がこんな本を書いたらどんな目に遭うか。覚悟の上で、それでもこの地球上の人間のために、書くしかなかった。<人間という存在への良心>が伝わってくる本です。
 その<あとがき>に「吉福さん」の名前を見て、びっくりしました。


 最後に、お礼を申し上げたい。まず福島四号機についての発言後、私が混乱した時期に的確な助言を与えてくれた多くの朋友、とりわけ元C+F研究所主幹、吉福伸逸氏に深く感謝したい。私は、吉福伸逸氏との出会いをとおして、もっとも多くのことを学んだ。 ……

 
 なんで、こんなところに、「吉福さん」の名前が?
 吉福伸逸氏とリタ・ローエンのセミナーを大阪で受けたのは25年も前のことでしょうか。セミナーのセッションの中で、ペアになった高野山のお坊さんが「タコになる」と言い、ぼくは「タコといえば、ねじり鉢巻きをして<タコ踊り>をするのか」と思いました。しかし彼が、体全体で海底を這い、岩を這い登るタコになるのを見て、自分の観念の浅はかさに気付かされました。それをあとの話し合いで<シェアーして>、“You had a beautiful learning. ”とリタ・ローエンに言われたのを覚えています。
 吉福さんは『トランスパーソナル心理学』の中心的な存在です。原発とはなんの関係もありません。
 原発の設計にかかわった、真にわかる科学者・技術者たちは、この本の著者が「心臓を射抜くように的確に危険を指差してくる」のに恐怖を感じたでしょう。それを原発を支える<体制>に伝え、あらゆる妨害が著者に及んだでしょう。それをはね返して著者がこの本を書いたのは、いろんな精神論・根性論・責任論などを超えた高みにある <何か>と、吉福さんのとりもちで遭遇したからでしょうか。
 
 朝夕涼しくなり、畑を縁どるリコリスが咲きはじめました。
 
コメント
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