朝、おばあさんは畑へ、おじいさんは裏山に竹を片づけに行きました。おじいさんが竹を切り、杭をつくって、遅れて畑に行ってみると、どうもサツマイモのあたりの様子が変です。サツマイモの端のほうが掘られて、食い散らかされているようです。横の土手のカボチャを見るとこれも食べた跡があり、転がっています。
「なにか動物がやってきて食い散らかしたようだ」とさらに様子を見ると、カボチャの株の間に植えたトウモロコシもまだ実は入ってないけど折られています。今年のサツマイモは順調に育っていると内心ホクホクしていたのに、30株は掘られているでしょうか。ナルトキントキは長い芋なので途中まで食っては土がかたいから隣の株を掘りして、次々と食い荒らしているのです。
これはアライグマだろうか。それにしては大量に食い荒らしている。イノシシが親子連れでやってきて食い荒らしたのではないか。アライグマだったら甘いものが好きだから、トウモロコシとかスイカをねらうのではないか。(大きなスイカにはテグスが張ってあり、例のタイガーがにらみをきかせています)それが被害にあわず、カボチャがかじられているとは、さては犯人はイノシシか?
心はイノシシ犯人に傾きます。
イノシシなら電柵をすぐに張るのは大変だからとりあえず白いロープを張ってみようか。ひと晩でこんなに食い荒らすとは一匹や二匹ではない。集団で襲っている。こんな調子で襲われたらサツマイモは三日でなくなってしまう。とにかく畑のそばの家の人にたずねてみよう。
経験豊かでよく作物のことを知っておられる方なので、対策も聞こうと早速訪ねました。「そうですか。一度現場を見せてもらいましょう」とぼくより先輩らしいご夫婦が長靴をはき帽子をかぶって出てこられました。ところが土手の下の畑を見ると、その家もカボチャやサツマイモが食い荒らされています。
うちの現場を見てもらうと、「これはどうもアライグマのようですな。イノシシなら馬力があるというか、もっと深く土を掘って食い荒らしますよ」といわれました。
「そうか。アライグマが夜盗軍団になって襲ってきたのだな。なんとかしなくては」
去年の6月にはアライグマを役所で借りた檻で捕まえました。山一つ南の、細川町の谷にあるメダカ庵のブログでは「今年になって5匹目のアライグマを捕まえた」とあり、あの谷は大変だなあ、と読みました。でもうちの畑が襲われるとは思っていませんでした。そこでうちの村の老人会のお仲間に電話してきいてみました。
「うちの畑は二週間ほど前にアライグマに襲われて、サツマイモは全滅。カボチャも全滅。もうつくる元気がなくなるほどやられました」
きょうは土曜日で役所の檻は借りれないし、とにかく晩までになんとかしないとサツマイモは全滅します。
そこで動物ネットを買いに出ました。2メートル×50メートルのネットを買い、4メートルの鉄筋なども買ってかえり、昼寝をして(どんなことがあっても昼寝はするのです)、夕方4時から仕事にかかりました。
竹の杭を打ち込み、高さ50センチで切り、杭にマイカ線を張り、その上に動物排除ネットを張ります。サツマイモを植えた畝は4箇所あり(分かれていたから助かったところもあります)全部にネットをかぶせ終ったのは7時半過ぎでした。月齢13,3の真ん丸に見える月が山よりかなり高く昇っていました。
被害にはガックリですが、落ち込んではいられません。残ったサツマイモを守らなくては。月曜日までもちこたえて、役所に檻を借りに行き、敢然とアライグマの来襲に立向うことにします。
なお買物に出たとき、タイガーくんの弟を買ってきましたので、兄弟並んだ写真をアップします。被害の写真なんかより勇ましくていいでしょ。ピンクタイガーくんも、日光に鍛えられ、次第に兄貴のようなホンモノのタイガー色(いろ)になって、頑張ってくれるでしょう。