hiroshi hara: saxophoniste

日々の思考の断片

Tc

2007-01-23 22:32:21 | sax関係
今日は自宅練習日。

中高生へのレッスンや講習会でよく話すことなのだが、
「基礎練習では、思いつくことをどのように練習しても良いが、一日のうち、なるべく2オクターヴ半の全部の音を吹くこと。そしてなるべく全部のキーを使用すること。」
ということを、私自身もなるべく実行するようにしている。

楽器は吹き手の癖に呼応し、使い込むほどに共鳴してくると聞いたことがある。
例えば、高音域を音程が高いまま、ほったらかしに練習しつづけると、そのうち音程高い状態で、楽器がよく鳴ってしまうのだ。
指使いも然りで、よく使用する指使いとそうでないものの隔たりが、徐々に甚だしくなる。
あまり使用しない指使いは、その音だけ音抜けが悪くなったり、音程が定まりにくかったりするそうだ。
中高生の楽器を見せてもらうと、はやりTfを使用しない生徒が多く、タンポがしっかり貼り付いてなかなか開かないこともある。

そんな中、実は私自身もあまり使用していないキーがある。
Tcとフロントキーだ。
(キーの名称についてはこちらをご覧ください。)

Tcはトリル等で、フロントキーは「ド-ファ」等の連結で使用するくらい。
Tcは音程が低めになり、フロントキーは音がこもるので、好まない人も多いのではないだろうか。
ただあまりにも使わないと、いつまでもそのままになってしまう。

そういえば学生の頃、ファブリス・モレッティーの公開レッスンのを受講したことがある。
そのときレッスンしていただいたリュエフのソナタで、第一楽章終止部分の「シド」という動きが続くところで、「ここは太い音色で吹くためTcを使用した方が良い。」とご教示いただいたことを思い出した。

Tc、フロントキーを使えるようになれれば、より音色や奏法が洗練されてくるのではないだろうか。