最近は「認知症」という言葉を耳にする機会が増えました。まあ、つい最近まで「痴呆」と呼ばれていたんだから、仕事柄耳にして当たり前なんだけど・・・。
この名称変更には色々と反対意見もあったし、複雑な力関係があったように聞きます。一般名称としての「痴呆」は侮蔑的な印象があり、また意味をもつために「認知症」に変更されました。ただ、医療的な意味での名称（例えば病名など）は「痴呆」のままとのこと。たぶん医師からの苦情があったので、こんなややこしいことになったんだと思う。
個人的な意見としては、「痴呆」という言葉に対して侮蔑的な印象は全くありません。例えば右半身麻痺とか、人工肛門とかと同様に、その人の状態を表してくれる言葉だし、あるいは糖尿病とか、脳梗塞とかのように病名の一つとして捉えるからです。たぶん同じように感じている福祉業界の人間は沢山いるんじゃないかなぁ。
以前、「精神分裂病」が同じような理由から「統合失調症」に名称変更されました。たしかに本人や家族の心情を考えると、誤解を招きそうな名称は変更するべきだと思いますが、その変更によって逆に社会の人間の理解不足に繋がらないだろうかとも危惧します。名称変更時は賛成意見や反対意見が出てきて社会的な注目もありますが、時間と共に名前を耳にしなくなるのです。その時に「統合失調症」とか「認知症」とか言われて、どれくらいの人が理解できるのでしょうか。唯でさえ、病名っていうのは分かりにくいものなのに・・。
そういえば、最近は病院でも「精神科」から「神経内科」とか「メンタルクリニック」とかに名称変更しているなぁ。受診する人にとってみれば、社会の目が気になるから、それに配慮したってことなのかなぁ？自分が受診するようになれば、偏見の目で見られるのが嫌なくせに自分が健康なときは平気で偏見の目で見ているんだよね。名称変更じゃなくて、そこから直したら？偏見社会。
認知症という言葉が一般に普及すれば今度はまたそこに偏見が発生するでしょう。心の中に偏見がある限り、うわべの呼称だけ変えても同じことの繰り返しと思いますね。
たぶん、こういうふうに言っていても僕たち福祉に携わっている者は、何年か経てば当たり前のように「認知症」と言っているんでしょうね。
ただ、慣れることで本質を見失いたくないですよね。どうもこの名称変更はその本質から逃げようとしているんじゃないかと思えるので・・・。
僕は医療関係で働く者です。
2年くらい前でしょうか、「精神分裂病」が「統合失調症」に変わったのは。当時の周囲のエピソードです。
精神科に新患が来て統合失調症と診断されたそうです。その患者は「何ですかそれ」と聞いたそうです。医師は「昔で言う精神分裂病です」と答えたそうです。
これを聞いて名称変更ってなんか意味あるのか？と思ってしまいました。また名称が変更になったことで、自分の病気が軽くなったと勘違いした患者が多くいたそうです。
偏見については、非常に難しい問題だと思います。もし完全に偏見をなくそうとするのなら、地球上すべての人類の人生を1からやり直して、教育しなおさなければならない。しかもその地域の文化についても作り直さなければならない。自分自身に偏見が完全にないとも言えないし…。
この業界で仕事をしている人間としては、複雑な問題ですよね…。
コメントありがとうございます。
福祉ネタの場合、僕がうまく書いていないので、コメントもあまり頂けないので、ありがたいですよ。
病名の名称変更は、当事者たちのとって誤解を招きやすいものだと思います。十分な説明が必要でしょう。
仰るように、偏見などを無くそうとするなら、人類をリセットするしかないのでしょうね。
ただ、人類はおろかなもので、必ず歴史を繰り返すのでしょうが・・・・。
医療・福祉業界で仕事に関わっていると、矛盾ややりきれなさを感じることが多いですね。