らんかみち

童話から老話まで

再入院はお目出度い

2011年10月01日 | 暮らしの落とし穴
 昨日再入院となった母の病室を訪れました。硬膜外神経ブロックの注射は効果があったらしく、入院前よりも快活な様子で、血圧を測定に来た看護婦さんと話しています。
「うちのお婆ちゃんは今日が誕生日」と、母を後回しにして他の患者さんたちにショートケーキを配り、最後に母にケーキを渡すや、
「これはこれはご苦労様で」と、ベッドの上で正座に座り直して頭を下げるではありませんか。息子の顔が分からなくなったのかと、一瞬固まってしまったんですが、自分の誕生日もちゃんと思い出したようです。

 今回の入院で始めた神経ブロックという治療は、腰椎の神経の近くに麻酔薬を注射する、やや危険を伴う手技で、オペというほどではないにしろ難しい処置のようです。
 色んな人に聞いても一様に顔をしかめ、「本当にするつもり?」と、様々な意味で懐疑的な答えしか返ってこなかったのが不安でした。

 そして入院した当日のこと、「神経ブロックは成功しました。息子さん、これ見て。こういう治療なんです」と、先生は絵を見せながら説明してくれました。
「こ、これは、なかなかに難しそうな注射で……」
「そうなんよ、難しいんよ。でもね、ぼくって認証医だから上手なんよ。ほら、この認定証見てよ。この分野では知る人ぞ知るドクターってね」
 せ、先生ぇ、もしかして素人相手に自慢なさって……?
「てへへぇ、ちょっと自慢しちゃったぁ!」

 病室は以前と同じ部屋の上に同じ顔ぶれで、「あれまあ、お婆ちゃん帰って来れたの、良かった良かった」と歓迎され、「いや、あんまり良くはないと思うんですけど……」みたいなリアクションしか出来ませんでした。
 彼女たちはいうなれば同窓生ですから、同じ釜の飯を食った者同士にしか理解できない連帯感というのもあるのでしょう。母も上機嫌で、「戻ってきたよ」と挨拶を返してましたが、定住してもらってもなぁ……。

 夕方だったので、病室に長居して患者さんたちを興奮させてもいけないので、早めにケーキを食べるように告げて病室を出たんですが、なんだか異常な盛り上がりようです。
「◯◯さん、お婆ちゃんに誕生日の歌を歌ってあげてよ」と看護婦さんがいうや大爆笑がおき、続いて「♪ハッピバースディ……」みたいな賑やかなノリでした。再入院、めでたしめでたし。
 

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