健康食品のコールガール

　L＆Gっていうんですか、円天とっかって金を1000億円分集めたのは。詐欺師って、平気で嘘をつけるだけでは寸借詐欺やって臭い飯を食う羽目になるだけでしょうが、あの破産した社長は度胸もあって頭も良いんでしょうね。
　しかし売ってる物が健康食品だからこその成果だったのかもしれません。今日もそんな健康食品の勧誘電話を、どっかのおばちゃんに頂きました。

「プルルルル――　はい、HALでございます」
「HALさんって、お声からするとお若い方ですよね」
「はあ、声は若いか知りませんが、頭の中は年金生活願望で一杯です」
「それって、仕事する気が無いってことですか？」
「ほっといてくださいな。それより何の用ですの？」
「あら、これは失礼。ゲルマニウムというものをご存知でしょうか？」
「えぇ、きいたことありますよ」
「ゲルマニウムには無機と有機がありまして、本日は有機ゲルマニウムの入った健康食品を無料で送らせていただこうかと思いまして。飲んだことはありますか？」
「もちろん。あれはきくもんですね」
「そうですか、良く効きましたか！」
「ええ、そりゃもう、子どもの時分ですがね、あの頃は鉱石ラヂヲいうてましたな」
「それは、ゲルマニウムラジオのことでしょう。効いたんではなく、聴いたんじゃないですか」
「すんませんな、このところ耳の調子が悪うてね」
「あら、それはいけませんねえ。他にどこか悪い所は？」
「膝になんですが、人面疽ができたみたいで……」
「人面疽、ですか？　それでどんな症状なんですか」
「膝にね、ケロイドみたいなコブが出来まして、それがだんだんと育って人間の顔になると、しゃべり始めるんです」
「まあ恐ろしい！」
「お寺とか神社の階段を登るでしょ、すると上に着いたころに『ワハハハハ』いうてます」
「そりゃあ運動不足で膝が笑ってるだけじゃないんですか」
「あ、運動不足といえば、一日中パソコンの前に座ってると、根っこが生えてしまったように感じるんです。これが木病っていうやつでしょうかね」
「それもいうなら奇病でしょうが！」
「ところで、お姉さんどこから電話してるんです？」
「こちら松山からですがぁ？」
「な～んや、ベルリン辺りからかけてるんか思いましたがな」
「あのねぇ、ゲルマン民族のことじゃなくて、ゲルマニウムのことPRしてるんです。あなたみたいな人とはやってられません。失礼します。ガチャ！」

　とまあ、こらえ性の無いコールガール（じゃなくて何て呼ぶんでしょうね、ああいう電話オペレーターのこと）だったんですが、たまにならこうして遊んであげたりしています。