らんかみち

童話から老話まで

ヒジキって、密漁じゃないよ

2015年03月15日 | 暮らしの落とし穴
            

 プチ施行(せぎょう)をしたら地元特産の乾燥ヒジキをいただいたので、本日はヒジキの炊いたん。ん? ヒジキを炊く、というのは間違った表現かも。というのも、ヒジキは元々炊いたものだから。

 乾燥ヒジキを作る工程を詳らかにすると、まず未明に目を覚まして家を出る。磯に到着した頃は大潮の干潮手前で、ヒジキの繁茂域が干上がっている。股間まで達する長靴を履いて岩場に入り、潮が満ちてくる数時間の間に急いでヒジキを刈り取る。
 それを2時間ほど茹でるらしいけど、そのときに茹で上げた柔らかさが、水戻ししたときの柔らかさを決定するという。

 文章に書いてノウハウや緊張感を伝えることが難しいけど、海が荒れていたら人は波にさらわれるだろう。それに、一年中で最も寒いときこそが海の中の春だから、人がヒジキを刈るのは命がけだ。あっ、密漁だったら海上保安庁に狩られるかもね。

 みんながみんな暗い内に密漁をしているっていうんじゃない。太陽と月による地球を巡る恋の駆け引きによって大きな潮の満ち欠けが生まれる1月末から今ごろがヒジキ漁にちょうど良い潮なんだそうな。

 当地に生まれながらヒジキに関する諸々の事情を知ったのは、つい最近のこと。モズクが当地で採れるのも知らなかった。生きていくだけなら、自給自足でなんとかやれる地域かも知れない。