らんかみち

童話から老話まで

天然ムカゴ

2014年10月02日 | 酒、食
                   

 初めてとろろ汁を食べたのは、東海道五十三次で最も小さいといわれる丸子宿(まりこじゅく)の鄙びたドライブイン。うそ寒い朝で、あったかいかいごはんを食べたくて注文したけど、ぬるい麦飯に冷たいとろろがかかっていて、泣いた!

 初めて伊勢うどんを食べたときも似たような状況で、想像とかけ離れた料理というのは自分の味覚が試される。こんなもの食えるか! そう思ったぼくの味覚は、まあ並かそれ以下だろうな。名古屋の味噌煮込みうどんしかりで、2度目に食べたときに美味しいと感じるまでにずいぶん時間がかかった。

 ある日とろろ汁を自分で作って、ぬるい麦飯でなくてはいけないのだ、と気がついたときにはショックだった。あのドライブインのとろろ汁、実は美味しかったのではないかと、遅ればせながらとろろ汁巡りをした。そんなときに出会ったのがムカゴの唐揚げ。その店のとろろ汁より感動した。

 あれ以来、ムカゴというのは自然薯になる前に地中で育ち始めた赤ちゃんだと思ってきた。違うんだなぁ、パック詰めじゃない天然物って、地上で葉っぱの下にできるんだ! 片手一握り分だけ収穫したので、明日はムカゴ飯。あ、もちろん唐揚げもね。