らんかみち

童話から老話まで

売れなきゃ作品とは呼んでもらえない

2009年02月13日 | 童話
「そろそろ売る物を作りましょう」といわれ、「まさか、ぼくの技術ではまだ無理ですよ」と答えたんですが、陶芸教室には、作品を売って教室に還元する、という不文律があるといいます。
 そりゃそうですよね。無料で教えを請い、ろくろを回す電気代よりも安いか知れない教室使用料しか払っていないのは確かに心苦しい。作品が売れてわずかでも教室の足しになればと思います。。

 とりあえず20作品ほどのストックがあるから、これを焼いてみたらどうか、なんて考えていたら先生が、
「あんた、それ全部焼くつもり?」
「はあ、そのつもりですが?」
「フム……。某という人間国宝の陶芸家はね、師匠の門に入って朝から晩までろくろを回し続けたそうですが、2年修行して初めて窯入れが許されたそうですよ」
「……」

 己が作品を省みて、なるほど、ごもっともでございます。こんなサンドペーパーで修正しないといけない出来損ないが売れるはずもないな、と確信しました。せっかくこしらえた物だといっても、引き取り手がいなくては自己満足の域を出ません。釉薬の無駄、窯のスペースの無駄。少なからず思い入れはあるものの、あからさまに出来の悪い10作品ほどを土に戻しました。
 
 昨夜はそばを打って皆さんに食べていただいたんですが、そばだって食べてくれる人がいればこそ打てるのです。出来損なったら自分の胃袋でエネルギーに戻すしかないけど、それにも限度があります。今でこそ、そばが繋がらないという失敗は無くなったけど、初めの頃は捨てるような気持ちで場末の飲み屋に持って行って常連客に食わせたもんです。
 
 それはそれで感謝されたものの、趣味だからといって、いつまでも他人様に評価していただけない物を作っていたのでは成長がありません。ぼくの書く文章も同じで、数打てばどこかの公募に当たるだろうと(まあ実際に当たることもあるけど)駄文ばかり書いてきたのを改めねば、と反省してます。陶芸も、ビギナーだから、で許されてきた粗製濫造は昨日まで。次回からは5月の「吉海薔薇祭り」のバザーに向けた作品にとりかかります。