らんかみち

童話から老話まで

人はいつから神様の片棒を担ぐようになったのか

2007年07月15日 | 社会
米国初の犬猫への去勢義務化法案、間際で撤回(ロイター) - goo ニュース

 このニュース、ロイターが伝えるところによると、さっぱり意味が分かりません。「州内の動物収容所で安楽死させられる数を減らせる」というのですが、そこに収容されているのはノラ猫やノラ犬なのでしょうか? それとも売れ残った犬をブリーダーが匙を投げて送り込んだ動物たちのことなのか? 
 
 増やしては売れ残ったからといって殺し、障害を持って生まれたから売り物にならないといっては殺すブリーダーが、「恐ろしい」と口にしたとはどういう意味なんだろう。どちらにしてもこのニュースだけでは分からないことが多すぎます。
 
 ちょっと古い話ですが、元ビートルズのポール・マッカートニーさんが、「中国は犬猫を殴り殺して毛皮を取っている。こんな野蛮な国のオリンピックなんてボイコットしよう」と世界中に呼びかけたことがありました。
 
 彼が観たというニュース映像が本物なのかどうか分かりませんが、中国ならやりかねんなって思いますよね。しかし毛皮の売り先はイギリスなどの欧州だというんですから、中国が反発するのも無理からぬところでしょう。
 
 それにポール、あんたの国だって「狐狩り」っていう野蛮な遊びやってるじゃない。よその国のことをとやかく言えるんかい? でも毛皮を取った後の肉が日本の肉まんに入っていたらぼくだって切れるぞ!
 
 うちの近所でも子猫を見かけるようになりました。ついこの前まで人目もはばからずいちゃついていた連中の子どもたちらしく、まだ母親らしき猫に見守られながらの夜の散歩です。
 ぼくも彼らに遊んでもらいたくはあるんですが、餌付けなんぞしようものなら、彼らが本来持っている自然への適応力をそいでしまいそうですし、「餌をやるから増えるんだ」と怒られそうです。
 
 でも彼らが増えたら人間にとってどれほどのマイナスがあるんでしょう。確かに犬は噛むこともあるでしょうし、猫の糞尿の臭いだって問題です。でも彼らが100匹集まってもぼくが環境に与える負荷以上のことができるでしょうか。ガソリンを消費して地球の温暖化を加速させることができるでしょうか。スーパーのレジ袋一枚ですら彼らは消費しないじゃないですか。
 
 ノラ猫を可愛がりたくはあれど増えては困るし。だからといってノラ犬もノラ猫もいなくなってしまった世界なんていやだし、想像もできません。ならば去勢して数を調整しようってなるのは確かに筋が通っていますし、そうすべきなのかもしれません。
 
 ですがちょっと待ってくださいな。「人間が増えすぎたね、悪いけど去勢手術させてもらうよ」と、神様が言って来たら我々はどんな反応をするでしょう? 勝手なことするなって誰もが言うでしょうね。だのに神様でもない我々人間がそれを犬猫にやろうとしているんです。
 
 ノラ犬やノラ猫の存在がそんなに悪いことでしょうか。嫌いな人にとっては負担ですが、可愛いじゃないですか。それに何といっても、こうして命の大切さを議論する対象になってくれているのです。避妊、駆除、ましてブリーダーによる間引きなんてとんでもない思い上がりのように、ぼくには思えてなりません。