らんかみち

童話から老話まで

3月のライオン、やばいって

2007年07月14日 | エンタメ
 将棋って野球やサッカーに比べたらマイナーな趣味かも知れないけど、日本の伝統芸能みたいな位置づけにあるからそれなりに知名度は高いはず。なのに、クラシック音楽と同じく、漫画になって好評を博しているものは少ないと言えるかもしれません。それはたぶん将棋指しという職業から連想する「賭け将棋人生=破滅型の男」といったイメージが世間に定着しているからではないでしょうか。
 
 そもそも将棋とは、などと言って、江戸時代に幕府の庇護の下にあった頃の家元制に見られる格式なんぞを持ち出すつもりは毛頭ありません。羽生七冠王が登場するまでは、政治家などの有名人の間には「趣味は将棋です」と大手を振って言えない雰囲気があったのも事実なんです。
 
 そんな中にあって遂に出ました。人気漫画家「羽海野チカ」さんの手による「3月のライオン」です。何もかも失った孤独な17歳の少年棋士が、過酷な運命に抗いながら愛の力で全てを取り戻していく物語らしいです。
 今までの将棋漫画といえば、生か死かの狭間で凌ぎを削る勝負師の世界を描いたものが多かったように思いますが、これは全く趣を異にしていそうで期待できます。
 
 しかし、連載第一回目を読んだ限りでは、これはマズイ! と思わざるを得ません。この作家、これを最後まで描き切れるだろうか。もしかしたら途中で投げ出すか、当初意図していた方向とは違ったストーリーに変貌しそうで気が気ではありません。
 なにも、「ハチミツとクローバー」で不動の人気を得た作者の技量を疑うのではなく、物語が実際にあった悲しい事件を連想させ、関係者が読んだら何かしらのアクションがありそうに思うんです。
 
 児童向けノンフィクション作家として不動の地位を確立したかもしれないお師匠さまのホームページを読んでいると、ノンフィクションを書くことがいかに難しいか分かります。
 ですから「3月のライオン」が実在の人物や事件とは関係のないフィクションであると断っていたとしても、ただでは済まないようなきがして、そういう意味でこの先が楽しみになりました。