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■テキスタイルの未来形2012網走展 (3月24日~4月30日)

2012年04月29日 09時10分14秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 2005年からインディペンデントキュレーターの加藤義夫氏により全国の美術館やギャラリーで開催されてきた展覧会。テキスタイルを日本語にすれば染織ということになるのだろうが、一般的に染織という言葉から聯想されるような伝統工芸的な作品はあまりなく、むしろ、染織とは何かをあらためて問い直すような、あるいは、ジャンルの境界線上にあるような、素材も形状も多彩で、意欲的な作品が多く、見ごたえがあった。
 無料というのもうれしい。 

 道内からは、西本久子さんの「ふぁー」、加藤祐子さん「緑苔の巣穴」が出品されている。
(チラシには、下村好子さんの名前も記されているのだが、どうしたわけか作品を見つけることはできなかった。この3人の名前が出ているのは、妥当な人選であろうと思う)。

 とりあえずここで書いておきたいのは、市村富美夫さん「記憶と虚構」。
 鳥のような図案の周囲にあちこち、ガマのような草と、地図の切れっ端をちらすように貼りつけてあるのだが、地図をよく見ると、気仙沼や大船渡、石巻などの地名が見える。まん中に貼ってある地図は、福島県双葉町。そう、海岸線沿いに並ぶ施設は福島第一原発だ。地図を貼るというのはテキスタイルの手法としては異例だけど、この分野でも、東日本大震災と原発事故に触発された作品というのは、やっぱり出てきているのだなあと思った。

 石井香久子さん「Japanese paper strings museum B」(タイトル違ったらごめんなさい)
 素材はなんと水引。黒く染めて、柱状に整形して床に立たせている。それが10本。
 水引を素材にした作品は千代田恵子さん「Mizuhiki works '11-1」もそう。こちらは知恵の輪の連鎖のようなかたち。
 田中秀穂さん「VANISHING」は、2メートルはありそうな巨大な麩菓子のような作品が3本。ごろんと床に転がっていた。

 佐藤賢司さん「Untitled」は、墨で黒くした紙が素材。これを、縦横に編み上げた正方形を九つ並べている。
 縦糸と横糸を交互にくぐらせることが「織り」の原点であるとすれば、そこに着目した作品なんだろうと思う。
 久保田緑さん「foundation」は漆喰や原毛を使い、こちらは素材から「織り」の始原を考えているようだ。


2012年3月24日(土)~4月30日(月)9am~5pm(最終日~4pm)、月曜休み(最終日は臨時開館)
網走市立美術館(南6西1)

・JR網走駅から1.2キロ、徒歩16分
・網走バスターミナルから330メートル、徒歩5分



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