五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のドリフ

2018年04月17日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年5月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ドリフターズ (平野耕太 先生)

 

 決死の殿。

 敗色濃厚となる中、殿(しんがり)を務めることとなった総大将・島津豊久。
 彼に従うは、命知らずのドワーフたち・・・という状況でしたね。

 敵陣ど真ん中への突撃を、笑顔で宣言する豊久。
 「(殿が)前へ!?突進すんのか」と驚くドワーフたち。
 それでいて、豊久と同じように笑っているのは、頼もしい。

 黒王軍は、軍の大きさの割に、侍大将(一軍を率いる指揮官)の数が少ない。
 ゆえに、総大将である黒王を狙えば、全軍が自分たちに集中して攻撃してくる。
 そのスキに、自軍の主力である信長たちを逃すことができる・・・

 と述べる豊久の戦い方は、理にかなっていて納得できる凄味があります。
 島津の軍法は今際の際までやけは無い、とも言っており、単なるやけくそ突撃とは
 わけが違うというのも、狂気の中の理を感じさせますね。

 

 

 

 己の死すら、高らかに・・・

 自分たちは死ぬことを分かりきっている殿部隊。
 それでも豊久は、信長が逃げた後で勝ってくれるから問題ない、
 百代末まで語り継がれるだろう、なんて言っているのが面白い。

 ドワーフたちは、吟遊詩人が自分たちの歌を格好よく作るかのうと述べ、
 やはり嬉しそうな所に、悲壮感など微塵も感じさせない“前向きさ”がうかがえます。

 そして、突撃!
 鋒矢の陣を組み、黒王の本営めざして突進を始める豊久たち。

 「鋒矢」は矢印型で、強力な突破力を持ちますが、防御力に難のある陣形ですね。
 すなわち、ただ突撃するためだけに組んだ陣形で、守ることは考えない。
 まさに決死の覚悟で放つ最期の一撃を思わせます。

 だからこそ、凄まじい威力を発揮!
 側面にも後方にも目を向けず、次々と敵を討ち倒し、ただただ前へ突撃あるのみ。
 それを「晴れ舞台」と言ってのける豊久の笑顔の、なんと痛快なことか!

 続くドワーフたちも、若干引き気味ながら、豊久の狂気に引っ張られるように
 大笑いしてますが、「なんでおめえドワーフに生まれなんだ」とか言っているのには、
 声を出して笑ってしまいましたよ。

 

 

 

 土方歳三が見るものは・・・

 そして、そんな豊久たちの突撃を眺める土方さん。
 彼が思い浮かべるのは、彼にとって最期の地である函館での戦いの風景・・・

 負け戦となり、脱走兵が出る状況、怖じ気づく面々に、発破をかける場面。
 逃げ場などない、ここを死に場所と思うべしと語る土方に対する反応は、
 「ついていけない」「戦さ狂い」「お前に殺される義理など無い」といったもの。

 「いつまで新選組気分だ」とまで言われ、彼について来る者のなかったことが
 描かれていて、土方歳三の無念を思わせます。

 ゆえに、敗軍の将であるはずの島津豊久、その決死の突撃について来る者がいる
 という事実だけでも、彼にとっては大きな衝撃だったのではないでしょうか。

 ラストの言葉に、敵である豊久に対する真っすぐな想いを感じてしまいます。
 それは、武士への憧憬の念と重なっているようにも見えて、切なくなりますね。

 などなど、ついに始まった豊久による決死の突撃。
 これで信長たちは逃れらるのか? 豊久たちは黒王に迫れるのか?
 そして、その命運や如何に? ・・・と気になりつつ、今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想